66 鳥の国から クチボソが鳴く? 1992年4月
鳥の国から クチボソが鳴く? すずがも通信73号 1992年4月
暖かな日が続き、松の新芽ものびはじめたところで、小雪がちらつく冷え込み。こんな日はコタツでぬくぬくごろにゃんしたい、と思いつつ、ワープロ机に向います。
2月に産卵を終えたヒキガエルたちは、また冬眠の続き。傷病鳥舎まわりの整備工事がまもなくはじまるので、堆肥やコンポスターをどけたり、木を掘り上げたりするたびに、かえるを掘り出してしまいます。工事でつぶされてしまうものが少ないとよいのですが。
保護区の実験池(「田の字池」と呼んでいる四角の池です)から取ってきたクチボソ(モツゴ)を入れておいた水槽から、聞きなれない音。ジ、ジ、とガラスがきしむような低い音ですが、モツゴが鳴いているらしい。口ではなくて、浮きぶくろで発声しているようです。クチボソが鳴くなんて、思ってもみなかった!
昨年入所、防鳥網にかかって片足をなくしたフクロウが2月末に死にました。5年前からいる古参のフクロウはまたひとりぽっちになってしまいました。相棒がいなくなってから10日近くも絶食。やっと餌を食べるようになりましたが、夜になるとオウオウ、ボロキテホウコウ、と鳴いています。なんだかさみしそうな声。
新浜鴨場のメダケが一斉に開花しています。何十年ぶりのことかわかりませんが、開花のあとは枯れてしまうので、鴨場の周囲の目かくしがなくなってしまいます。ねぐらをとっているサギをはじめ、ムクドリやキジバトやスズメもさぞ困ることでしょう。
明るいニュース。今年の丸浜川では塩浜橋のあたりでもハシビロガモやコガモが餌をとるようになりました。それから新池ではカワセミのつがいが求愛のディスプレイをしていました(3月14日)。夏鳥のコチドリが渡ってきました。ウグイスが歌い、アブラコウモリが飛びはじめました。
誰かれなしに寄ってきては餌をねだっていたあいきょうもののバリケン、リバちゃん。このごろ姿を見ないな、と心配していたら、なんと21個もの卵をこっそり抱いていました。たぶん無精卵のはずなんだけど、当人は真剣。やりたいようにやらせてやります。場所は、ヒミツです。




