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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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65 鳥の国から お腹をすかせたセグロカモメ 1992年2月

鳥の国から  お腹をすかせたセグロカモメ     すずがも通信72号 1992年2月


 暖冬のためもあるのか、ともかく今冬はカモが少なくて、一望数十羽からせいぜい数百羽。「あんまり鳥がいませんね。いつごろが多いんですか」とお客様に聞かれるたびに身の縮む思いです。

 カモが少ない割には小鳥類の渡来が多いのか、木の実の食べられ方は例年になく早め。トベラ、ノイバラなどの赤い実はとうに食べ尽くされ、トウネズミモチの黒い実もなくなり、例年なら立春をすぎてから食べられるヘクソカズラやセンダンの実をヒヨドリやツグミが食べています。餌不足が心配で、保護区の本土部に早めに青米やもみをまいてやりました。

 1月13日、ひさびさに丸浜川に3台の水車がそろってしぶきを上げました。2号機はすり減ったシャフトからどうしてもプロペラがはずせず、とうとう新調。1号機はジョイントを交換。夏ごろから修理がのびのびになっていて、ご心配をおかけしました。休みをつぶして修理にあたられた森田さん、お疲れさまでした。1号機の近くではカワセミが何度も飛んでくれたそうです。

 1月14日朝。いつも見慣れたチュウヒの「サシ」(翼の中央―初列風切と次列風切の境目あたり―の羽が白いので、すぐ見分けられる個体)とからむように飛ぶタカ。どうもチュウヒとは飛び方が違う。望遠鏡のピントを合わせると、やっぱりハヤブサ! 午後にはこの「サシ」君、今度はトビの若鳥にからまれていました。ワシタカびよりです。

 同じく14日の午後、観察舎前の道路に台を出して給餌用に魚のアラを切っていた主人が、ちょっと離れたすきに、台のまわりにセグロカモメがわっと集まって、バケツやまな板から餌をさらいました。水路の餌場でなく、人や自転車が通る道路にまでカモメが下りたのは初めて。今年は給餌量を例年の半分、1日10㎏にしています。その理由―カモメ類は繁殖地で他の海鳥のヒナや卵をとったりして、何かと問題になること、そして毎日20㎏の餌確保の労力がたいへんなこと。そんなこんなで、カモメたちもきっとお腹がすいて、餌場にアラが出されるまで待ちきれなくなったのでしょう。

 そうそう、年末に観察舎の1階でちいちゃなヤモリを見つけたんですよ。観察舎住み込み後16年目にして初めて見つけたヤモリです。荷物のかげで冬越ししていたのか、どこかからまぎれこんだのか、しっぽも切れていないし、指先の吸盤もきれいで、かわいい顔つき。展示室の工事にまきこまれないよう、傷病鳥救護棟の治療室に持って行って放しました。どこかにもぐりこんで、春を待っていることと思います。「家守」くん、すみついてくれるといいなあ。


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