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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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57 鳥の国から  今年の黄金週間  1991年6月

鳥の国から  今年の黄金週間  すずがも通信68号 1991年6月


 4月末から5月10日すぎまでの半月ほどというのは、日本全国と同じく、わが「鳥の国」でもたいへんあわただしい時期なのであります。ちまたではもちろん「黄金週間」、ひきつづき「愛鳥週間」。

目に青葉、アシ原行行子 初がつお。

 まず鯉のぼりのご報告。くたくたにくたびれた満18歳のわが家の鯉のぼりに代わって、今年はぴっかぴか、初登場の真鯉、緋鯉、青鯉が観察舎正面玄関前で堂々と泳ぎました。福栄4丁目の田中さんからのご寄贈。5mもの真鯉が南風に乗ったところはみごと。ただ、旗ざおが6mしかなかったのがしゃくの種。屋上より高く泳がせたかったなあ。

 鯉のぼりに見守られた黄金週間、特に後半は上天気。5月2日に湊排水機場のまわりの草刈りがはじまりました。さっそく土のう用の袋と熊手を持ってきて、毎朝、毎夕干し草の取り込み。連休最終日の6日にはアルバイトの長尾さん、ボランティアの荒井さんと主人の3人がかりで、百袋以上も干し草袋をこしらえました。梅雨どきに備えての禽舎用しきわら備蓄。ああ、ありがたや。

 この間にセイタカシギが上池(と北池)におちついたようです。産卵にこぎつけたかどうか、まだ確かめてはいませんが、少なくとも巣作りと交尾は見られています。がんばってアシを掘り返したかいがありました。


 さて、現在5月11日午前1時。愛鳥週間特別行事当日。保護区の観察会や記念品配布にくわえて、観察舎1階の視聴覚室で映画会が行われる日です。

 視聴覚室はこの冬じゅうずっと、仮の野鳥病院になっていました。そればかりか、わが家の荷物(特に書籍の大半)や、かつての旧館「研究室」に置かれていたポンプから四つ手網からホルマリン、水槽、棚板、救命胴衣等々の種々雑多なしろものがみんなつめこまれていました。当初では3月末の予定だった新傷病鳥救護施設の完成は、結局のところ5月7日にずれこみ、その日もまだ床の塗りなおし最中。物置兼飼育小屋を本来の視聴覚室に戻す時間は、なんときっちり3日半!

 ええ、みんなしてかかったので、ちゃんと終わりましたとも。鳥さんたちもひろびろとした新居で、できたての青々とした干し草の上で、少しずつ落ちつきを取り戻してきています。でも、私の頭の中はいまだにパニック状態。ああ、今日の観察会、どうなるんだろうか。いまだに通勤猫をやってるカスミが堂々と餌場に出てきて、ウミネコとダンスでもするんじゃなかろうか。


 さてさて、ここまで書いたところでいったん休み。現在は5月12日午前2時。夜風に乗ってオオヨシキリの声が聞こえてきました。特別行事はつつがなく終了。保護区の中では、香り高い花ざかりのノイバラやみごとな松の新芽、セイタカシギ、オカヨシガモ、ユリカモメ、チゴガニやトビハゼ、でっかいアオダイショウ、それにちらっとではありますが、カワセミや湿地の代表のオオバンなどが迎えてくれました。カスミは野良さんの「お嬢さん猫」と餌場で派手なとっくみあいを演じました。

 本日の野鳥病院への来所患者6羽(うち2羽は指導のみで持ち帰り)。あーあ、いよいよ入院ラッシュの季節です。


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