55 水車ニュース 50㏄に90ひき 1991年4月
水車ニュース 50㏄に90ひき スズガモ通信67号 1991年4月
コガモやハシビロガモがいつも見られるようになった丸浜川。水位が下がると、カモたちはしきりに何かを食べています。いったい何を食べているのでしょうか。
観察者正面玄関の近くは、しゅんせつでできた不規則な深みがあって水が滞留するため、長いこと最悪の状態が続いていました。いまでも底の泥はまっ黒で、泥をすくうと硫化水素のきつい臭気がします。
1987年3月から毎月1回、水位がいちばん低い時に、水深10㎝ごとに水底の泥をとって、硫化水素をはじめ、アンモニア、CODなどの汚濁物質量を調べています。昨年から同時に泥の中の生物の記録を始めました。毎月の底生動物調査では、だいたい1リットルほどの泥を一番深いところからとってふるいにかけ、生物をよりわけていますが、水深別の調査では、泥の量は50㏄程度とごくわずかです。
3月4日、「水深0㎝」のところでとった泥、約50㏄をうらごし器でふるいわけ、残ったカスを容器にとってみると、なんとイトミミズ(もしかしたら何種類かのミミズの類がまじっているのかもしれません。ふつうのイトミミズとは動作がまったくちがうものが大半を占めていました)が90ひき以上とユスリカの幼虫が11ひきもいたのです。ごくぼそ、特小のものがほとんどで、全部あわせても1グラムにも満たなかったでしょうが、たった大さじ3、4杯の泥の中にこんなたくさんの生きものがいるなんて、信じられないくらいでした。もしかしたら、カモたちがすすりこんでいる泥の中には、こうした小さな生きものがどっさり含まれているのかもしれません。
もうひとつの驚き。「水深10㎝」の泥ではユスリカが1ぴき見つかっただけ。それより深いところはすべてゼロ。12月以来、猫実排水機場では月に1、2回しかポンプ排水をせず、水深はほとんどいつも高いままだったので、「水深0㎝」であろうが「水深30㎝」であろうが、1m近い水の底の状態だったことに変わりはありません。それでも0㎝と10㎝にこんな大きな差があるのは、泥そのものの状態が異なるからと思われます。
時々空気にさらされる「0㎝」と、まったく空気に触れることがなく、汚れた水に浸りっぱなしの「10㎝」の差です。いまさらのように「空気」ひいては「酸素」の大切さを痛感しました。




