51 鳥の国から 夏羽のクロハラアジサシ 1990年12月
鳥の国から 夏羽のクロハラアジサシ すずがも通信65号 1990年12月
アシ原の上をひらひらと飛んでゆく鳥1羽。白っぽい、翼がずいぶん細長い、はばたきがゆっくりしている、ユリカモメかな?それにしてはきらきら輝くような白さがない。ゴイサギの翼の色に似ているけれど、かっこうがまるで違う。あれあれっ?本当に何かしら。
餌を無理に呑み込ませようとしていたイワツバメをあわててかごに戻して、双眼鏡に飛びつきました。黒い帽子のような頭、白いほお。なんだ、アジサシじゃないか。でもアジサシにしては翼の色がベージュっぽい。えーっ、胸から上腹部が黒い。おまけに嘴と脚は赤っぽく見える。
クロハラアジサシの夏羽ではありませんか。何度か保護区のウラギク湿地のあたりと丸浜川の上を行きつ戻りつした後、行徳高校の方へと飛び去っていきました。10月29日月曜、午後3時すぎのこと。アジサシ類の渡りとしては遅めの時期ですが、まあ、仕方ありません。見てしまったんですから。また、私ひとりだけの確認種がふえてしまった。どうせなら、珍しい鳥を見てもっと喜ぶ人に見せてあげたかったなあ。
セイタカシギは別格として、毎年冬をこすオオハシシギ、どうやらとぎれとぎれに丸一年ほど出たり出なかったりしているアカガシラサギなど、「珍しい」種類の鳥も時々見られています。ただし、餌場に陣取るアカツクシガモは、ペットショップの引っ越しで観察舎に来た飼い鳥です。ごめんなさい。
ずっと暖かい日が続いているためか、カモのふえ方はおそめ。セグロカモメもやっと2、3羽で、餌場にもあまり集まりません。その割には小鳥の渡来が早く、1週間から10日ほど例年より早い時期に初確認されています。10月下旬のうちに、冬の小鳥は全部出そろったようです。反対に、渡り途中の衝突事故などで野鳥病院に保護される鳥は、ふつうは10月が多いのに、今年はあまり入院しませんでした。暖かい陽気がどのように影響しているのでしょうか。




