49 鳥の国から 秋がきた 1990年10月
鳥の国から 秋がきた すずがも通信64号 1990年10月
かつん、かさっ。
庭のマテバシイの木から、どんぐりが落ちる音がします。落葉の上だと「かさっ」、小屋の屋根にあたると「かつん」。ころころにふとって、つやつやしたどんぐりは、煎って食べるとこうばしくてなかなかおいしいのです。犬もよく知っていて、時々なまの実をカリカリかじっています。
いかにも秋らしい音風景だというのに、まあ、いつまでも暑いこと。猫どもも犬どもも、あっち、こっちにどてっと寝ころがって、風とおしのよいところを占領しています。わがパソコン机は南の窓ぎわで、風さえあれば天国のような位置ですが、お昼前後はしっかり日が当たります。日当たりのよいことも天国のような席です。残暑の時期でさえなければ、しあわせいっぱいなのです。ああ、暑い!
鳥さんたちの方は、もののみごとに秋まっさかり。カモが毎日ふえています。コガモ、オナガガモ、ハシビロガモ。オカヨシガモは夏中見られたので、渡ってきたというより、そこらで育ったのが集まってきたような感じです。今年もまた、とうとうヒナや卵は見つからなかったのですが、ペアが何組も繁殖期中残っていて、明らかになわばり争いといった行動(つがいで飛ぶ鳥を雄が追いかけて行くところ。一度など空中でかみついた)を見せており、保護区の中でも繁殖したはずだと思います。来年こそは、しっかりオカヨシガモの親子を見たいものです。
夏鳥のコアジサシは、早々と消えてしまいました。もうニューギニアに到着したものがいるかしら。ツバメはまだ見られますが、見るからに移動の途中といった様子で、ちっとも落ちついていません。モズが高鳴きしています。それでもまだ、餌をしきりにねだるヒヨドリやオナガガよく目につきます。留鳥タイプの鳥たちは、暑さと雨の少ない好天のおかげか、たいへん順調に、その上例年より長期に渡って子育てを続けているようです。
長い繁殖期のためか、わが野鳥病院は泣きの涙。5月からこっち、ずうっと入院鳥の数が多いまんま。親とはぐれた、窓や電線や車に衝突した、猫にとられた、時には薬物(農薬?)中毒のような症状のものも含めて、旧館2階の野鳥病院は常時ケージが20箱ほど置かれ、足の踏み場に困るほど。ふつうは8月に入ると患者さんがぐっと減るのに、8,9月とも週に7,8羽の入院ペース。受け入れ側は夏バテも手伝って、さすがにグロッキー気味。
猫わるさ
野外復帰訓練中で外を飛び回っている幼鳥がいるので、わが家の5ひきの猫どもは日中は室内にとじこめ、夜だけ出すたてまえです。夜おそく、足長黒猫のチョンマくんが網戸の外で妙なそぶりを見せているので、いそいで様子を見に行くと、何だかころんとしたものをもてあそんでいるではありませんか。最初はネズミのなま首かと思って、おそるおそる取り上げると、まあ、ちっちゃなイエコウモリ! 見たところは特に外傷はないものの、ショック状態で、きっちり翼をたたみ、目を半眼に開いて、身動きひとつしません。どうなることかと思ったものの、翌日ゆっくり小箱の中で休ませて、夕方出してやったら、幸いに飛び去って行きました。もちろんチョンマくんには反省の色など全くありません。だって、翌晩には水路で放し飼いのはずの飛べないヒドリガモが、新館二階のベランダでかけずりまわっていましたもの。猫が水路でつかまえて、階段を上がってベランダまで持ちあげたに違いない。あーあ。




