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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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48 鳥の国から  アカガシラサギ、ぴかぴかの夏羽  1990年8月

鳥の国から  アカガシラサギ、ぴかぴかの夏羽 すずがも通信63号  1990年8月


 ホー ホケキョ

 目のさめるような美しい声で、ウグイスが鳴きました。

 デーデデー ポーポオ

 あれ、こんどはキジバト。せっかくしゃっきりしかけた頭がまたぼおっとしてきます。こぬか雨がしとしとふる中で、楽々と室内におさまって、机に向って、と、ここまではいいのですが、まだ使い勝手がよくわからないパソコンソフトの「一太郎」くん相手にキーボードをたたいていると、だーんだん、時ならぬ眠気がおそってくるのです。あっちにも、こっちにも、猫どもがごろごろして、安らかにまるまって寝ています。さあ、あとひとふんばり。「すずがも通信」の原稿を仕上げなくっちゃ。


 ヤマモモのところにヒヨドリのヒナがきましたよ。ピーヨ、ピーヨとしきりに鳴きたてて、親鳥に餌をねだっています。カーテンをあけてのぞきたいところですが、じっとがまん。ヒヨドリのヒナもスズメの巣立ちビナと同じで、目の前にある実をつまむかわりに、親鳥にねだるのです。親は実を一つくわえては、ヒナの口に入れてやります。10日程前、ヒナを3羽連れた親鳥が来ていましたが、いまのヒナもそのうちの1羽でしょうか。


 5月31日から3週間以上にわたって、珍しいアカガシラサギ、それもぴっかぴかの夏羽のものが1羽、ほとんど毎日のように姿を見せてくれました。ゴイサギの若鳥に似た地味な冬羽とはうってかわって、あざやかな赤栗色に輝く頭から首、胸と背は灰色がかった黒、あとは純白。赤・黒・白とそれだけでもじゅうぶんに派手なのに、くちばしはもとが黄色、先の3分の1が黒というそめわけ。おまけに付け根近くはうっすらと水色がかっているのです。

 やることも他のサギとは少々違っていて、ひょこひょこした頼りない歩き方で干潟をあちこち走りまわり、アシ原にかくれたり、またふらっと出てきたり。トビハゼをとるところがよく見られ、時には観察舎前の護岸堤に止まってくれたこともありました。それなのに、出てくるのが夕方か、朝か、昼ごろか、潮と関係があるのかないのか、一向にわからず。

 「アカガシラサギがいるんですって?」ひと目でも見たいという方には申し訳ないのですが、6月22日以降の確実な記録はありません。今ごろ、どこにどうしているのでしょうか。




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