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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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44 鳥の国から  珍鳥 アカガシラサギ  1990年4月

鳥の国から  珍鳥 アカガシラサギ  すずがも通信61号  1990年4月


 見ちゃった、見ちゃった!アカガシラサギ!

 はじめは半信半疑だったのです。クレイジー・バードウォッチャーに属するリチャードさんに「さっき、あそこでアカガシラサギを見たよ」と言われたのが1月13日。

 「アカガシラサギの仲間;ポンド・ヘロンには、チャイニーズと、ジャバと、インディアンと三種類いるんだ。冬羽だと飛んでるところは見分けられない。特にそのうち二種類は、冬羽じゃ、いくらよく見ても見分けられない。僕は越冬地でいっしょうけんめい見てきたんだ。」

 いつも「今日は何か珍しい鳥いない?(レア バーズ、トゥデイ?)」があいさつになっているリチャードさんのことですから、見誤るはずはないのですけど、こんな冬の記録なんてあるのかしら。ほんとに?と聞き返さずにはいられませんでした。

 2月24日の夕方。雨がふったりやんだり、どんよりと曇って暗い日でした。雨の様子を見ながらバンディングを続けていた原島氏が、何気なく観察台にすわった、と思ったとたんに、興奮した様子で呼びにきました。「アカガシラサギ!すぐそこ!目の前!」

 まあ、なんてこと。いつもゴイサギがならんでいる護岸堤の上に、しれっとして止まっているじゃありませんか。本当に珍しい鳥なのです。3年ほど前の夏、セイタカシギを観察されている北川先生が、「そう言えば7月に新浜鴨場でアカガシラサギを見ました」と言われたのが保護区での初記録。少しずつ分布をひろげているらしく、これまた原島氏が、昨年千葉県のサギのコロニーの調査中にこの鳥の成鳥を2羽、またヒナと思われるものを見つけたのが、千葉県下初の繁殖記録になると思われます。でも、そんじょそこらにごろごろしている鳥ではないのです。

 一見ゴイサギの若鳥風。ちょっと見にはそっくりな色。体はずっと小さく、きゃしゃな感じがします。おもしろいのは翼と尾が白いので、飛ぶと「一見ゴイサギ風」が突然「コサギみたいにまっ白」に変わってしまうこと。

 アカガシラサギは、妙になれなれしい態度で、食い入るように餌場を見つめていました。魚のアラが欲しいんじゃないか、と主人があわてて餌を出しに行ったところ、水路におりていたコサギが驚いて飛び立ち、アカガシラサギも一緒に飛んで行きました。うす暗い中ではコサギにまぎれて、どれだかわからなくなってしまったことにびっくり。

 その後も、真夜中や午前4時などというとんでもない時間に餌場の近くで見られたリ、コサギが集まった時に一緒になっておりたりしています。下りているとゴイサギそっくりなのに、当人はコサギたちの仲間のつもりのようです。換羽が始まったらしく、少しずつ夏羽に近くなってきました。いつまでいてくれるか、楽しみにしています。


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