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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
43/100

43 鳥の国から 時々スズガモの大群が  1990年2月

鳥の国から(すずがも通信60号) 1990年2月


 時々スズガモの大群が入ってくれるので、この冬は何だか気楽。どうせ今年もだめだろうと、例年「初日の出とスズガモの帰還を見る会」としてやっている元旦の会を「初日の出とスズガモの大群を見る会」に変えてあったのをお気づきでしょうか。幸運にも、すばらしい初日と素晴らしい群れの飛行が見られたので、今年は春から縁起がいい、とにこにこしてしまいました。

 大群といっても、かつての数には及ばないようで、多くても3万羽前後、1万羽をこえれば大満足、というところです。ただし、以前のように日の出前に全群が飛来、日没後に飛去、というパターンではなくて、朝のうち(遅い時は10時過ぎ)に飛来、夕方(早い時には3時ごろ)に飛去、という状態で、日がある明るい時間帯に大群の飛行が見られることが多く、それはそれはみごとです。特に入ってくる時には、はるか上空を飛ぶ群れが、観察舎を通り越したあたりで急に向きを変えて、ザーッ、ゴーッという羽音とともに急降下してきます。一度ビデオにとりたいと思いながら、さぼっているところ。

 もっとも、カモは全体にひどく少なめで、中でもヒドリガモがあまり見られません。種類はひととおり出そろっていますが、スズガモの群れが入らない日には、見られたカモの合計が千羽にならないこともあります。

 新浜鴨場のお話では、今年は渡来数が少ない割にはもう二千羽もの数が捕獲されたが、そのうちの半分近くが既に標識リングをつけたカモ(つまり、大半が去年以前にも来ていた成鳥)で、こんなことは初めてだそうです。お濠のカルガモでおなじみのように、ひとつがいのカモは数羽から十羽以上もヒナをかえします。ヒナが順調に育っていれば、若鳥の方が成鳥よりも多いか、同じくらいの数であるのが普通です。渡ってきたカモの全部に標識リングがついているわけではないので、どうかすると、今年の新浜鴨場のカモの中には若鳥がずいぶん少ないのではないかということになるのです。

 今年、アラスカでは繁殖期の5月がひどく寒かったとか。アラスカ大学の松木護さんにうかがった話では、彼が調査していた太平洋岸の繁殖地で、数万羽のミツユビカモメがすべて繁殖に失敗し、育ったヒナがたった1羽だったそうです。カモのヒナに同じようなことが起こっていなければよいのですが。


 12月中旬まで、毎日のように見られていたカワセミ。職員の富田さんが丸浜川にカワセミ用の止まり木を何本か立てたら、ちゃんと止まってくれました。でも、水温の低下で魚がとれなくなったらしく、その後はごぶさた。かわってゴイサギがいつも止まっています。ゴイサギたちは餌場にいついてしまって、ねぐらまですぐそばに移したようです。「インドひとり旅」でおなじみの鈴木希伊さんが、卒論の細菌調査のために、ゴイサギの糞をとりたいとがんばっているのですが、なかなか都合よく新鮮な糞が見つからない、と泣きの涙。

 セイタカシギは、おもに北池と湊排水機場湧水池で20羽近くが見られています。ユスリカが主食らしいとのこと。神戸から引っ越してこられた加藤忠良さんが、すばらしいビデオを撮影してくださいました。観察舎にお出かけの時には、ぜひごらんください。



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