41 鳥の国から トビ騒動 1989年12月
トビ騒動 すずがも通信59号 1989年12月
さんざんあちらこちらにご迷惑をおかけしたトビの“ピーヒョロ”が無事に再捕獲されて、ほっとひと息。こわい思いをされた方にはおわびのしようもないけれど申しわけございませんでした。
“ピーヒョロ”は2年前に六郷川付近から持ち込まれたもので、ヒナから飼われたらしく、傷がなおっても一向に自立する様子がありませんでした。これまでに扱った猛禽類のヒナは、放鳥後お腹がすくと戻り、自分でも獲物をとるというリハビリを続けて、少しずつ野生に戻るのがふつう。ところが“ピーヒョロ”は、脱走の都度、警察やご近所からの通報。「大きくてワシみたいな鳥がいるんです」 網を持ってかけつけると、どこかのお宅のベランダや軒先から家の中をのぞきこみ、ものほしげな目つき。網戸を破って入り込んだ室内で取り押さえたり、半日かけて無双網で捕獲したり。
今回は10月22日の脱走から11月9日の捕獲まで20日近く。観察舎付近でワルのかぎりをつくしました。屋根からすうっと舞い降りてきて、背後から人の頭をけとばす。事故を出すまいと主人が朝6時すぎから8時半ころまで、見張りをしながら餌をやっていました。とび方は野生のものより上手になったほどなのに、とうとう自分から餌を探すようにはならなかったし、素行の悪さはつのるばかり。“ピーヒョロ”は自分がトビとしての自覚を持つことができず、半分人間だと思い込んでしまったのかもしれません。むずかしいものですね。頭のよい鳥ほど、自立させにくい。考えさせられます。
トビ騒動が終わってから間もなく、スズガモの大群が入りました。11月11日に2万羽近く、12日には4万羽くらい、13日に2万羽、14日に3万羽、15日は2万羽。さあ、これからどうなるでしょう。16日は雨天らしいので、全然入らなくなるかも知れないとひやひやしています。ここ数年、11月中には大群が見られ、12月以降に入らなくなるというパターンなので、「今日だけしか見られないかも知れません」とご説明しています。せめて元旦には大群が見たいなあ。
今年の暖かさは気味が悪いほど。そのせいか、カモメの餌付きはまだまだ。それよりゴイサギの方がたくさんいます。アオサギも3羽ほど来ているし、餌場でサギと猫がいっしょにアラを食べている光景はしょっちゅう。望遠鏡でスズガモの大群を見るより面白いみものです。
魚のアラを切る手間を少しでも減らそうと、アラにドッグフードをまぜて増量をはかりました。すると、しゃくなことにサギたちはドッグフードをつまみ出しアラだけ選んで食べるのです。つまみ出されたドッグフードをドバトがぱくぱく食べています。前途多難、ため息。
野鳥病院にはトラツグミとシロハラが例年になく多く入院してきました。窓や電線に衝突したと思われるものです。晴れてちょっとうす雲がかかるような夜など、外に出ると、ツグミ類の渡る声がとてもよく聞こえます。渡ってくる数が多いのか。それとも例年になく低空を飛んでいるのか。10月末におびただしく見られたジョウビタキは、もうだいぶ減りました。どこまで動くのでしょうか。
今のところ、ほとんど毎日カワセミの声か姿が記録されています。あっ、鳴いた、と思って声の方を見るのが早いか、飛びすぎる方が早いか。たまに止まる姿を見ても、しゃっくりのように頭や尾を動かしたり、飛びこんだり、飛びさったり。本当に気ぜわしい鳥ですね。




