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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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鳥の国から  黒と黄色 1989年8月

黒くなったり黄色くなったり  すずがも通信57号 1989年8月


 あれっ、と思わず目をこすって見ました。変わりません。「ねえねえ、ちょっと見て」と宮島さんを呼んで見てもらいました。やっぱりそうです。“うちのダイサギ”のくちばしが、また黒くなっているのです。

 あれは4月のはじめ頃。毎日のように禽舎のところに飛んできては、魚をねだる“うちのダイサギ”(ずっと前の入院患者で、放してからもう何年もたつのに、おなかがすくと餌をもらいにくるのです)のくちばしが、急に黒くなりました。ダイサギのくちばしはふだんは黄色ですが、繁殖期にかぎって黒く変わります。金曜日に見た時にはたしかまだ黄色だったのに、日曜には、内側から色が変わりはじめた時に特有の奇妙な緑っぽい色、そして木曜にはほぼまっ黒。

 この時には目とくちばしの間のふだんは黄緑色の皮膚は、トルコ石のようなあざやかな空色に変わり、同じく白っぽいもも(本当はすねに当たるのですが)は派手な紅色になっていました。

 わずか1週間ほどで、くちばしの色が黄色から黒に変わるなんて、信じられない思いでした。でもちょうどその頃、自転車でころんで目のまわりにあざを作りました。ふつうの色をしていた皮膚がみるみる赤紫からやがて黒にかわるのを身をもって体験したわけですから、なんだ、ダイサギの変身と同じりくつなのかな、とあきれたり、感心したり。

 目先の美しい空色とももの紅色は、1週間たつかたたないうちに消えてしまいました。その後しばらく姿を見せず、きっと卵を抱いていたのだと思います。

 ところが、5月の末頃になると、もうくちばしが元のほうから黄色くなりはじめました。残念ながら、きちんとした記録をつけていないのですが、今度は2週間くらいたってもあまり黄色の部分がふえず、ずいぶん時間がかかるなと思いました。口元から3分の1くらいが黄色くなったままで6月がすぎ、見たところそれほど忙しそうな様子でもないので、今年の繁殖は失敗だったのかも知れないと思っていました。

 7月7日のこと。禽舎の屋根にどさりと舞いおりたダイサギのくちばしがまっ黒。冗談じゃない、ほんのおととい、餌をやった時には確かにまだ黄色と黒だった。それがまたまた空色・黒・紅色のはではでカラー。いったい何で、とつぜん染めかえになっちゃったのか。でもどう見ても“うちのダイサギ”に変わりはないし、よくよく見ると、黄色かったつけ根の方はまっ黒というよりちょっと黄色みが残り、境目もわかるのです。

 もう1回巣作りをやり直したに違いない。かわいい(サギのヒナはちっともかわいくなくて、グロテスクなのですが)ヒナがかえりますように。


セイタカシギのヒナたちは


 セイタカシギは、北川先生によれば5組15卵が産まれました。うち1卵は満潮時に水没する干潟に産まれ、その晩に消失。新浜鴨場にあった4卵の巣は卵をとられ、新池には3巣。どれもこの3月に作られた新しい島の上でした。1巣4卵がふ化直前にとられた他は無事で、6月5日に上池で2羽、21日に下池で3羽のヒナがふ化しました。

 7月9日夜、親子で飛ぶ声を聞きました。ケッケッという親鳥の声に、ピピ、ピピピというヒナたちの声がまじっていました。元気でやっているようです。


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