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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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38 水車ニュース カエル三段積み 1989年6月   ミジンコ大発生 1989年8月  

1989年6月 すずがも通信第56号


 今年もまた、新池でユスリカの蚊柱とイトトンボの大群が見られる季節になりました。去年の同じころにくらべると、水が格段にきれいなようです。特にサイホンから流れ出す「新ウラギク川」の水は澄み切っています。

 「たたみ屋の若だんな」こと鈴木晃夫さんがはりきっていて、この春はもう2回も茨城県境に出かけて、角くん、白石くんなどとカエルを取ってきてくれました。1回目は4月9日で、中くらいの容器にはアマガエルがぎっしり(24ひき)。道中の負担が少ないように氷で冷やされていたカエルたちは、氷から出されて体が暖まると、急にゲッゲッゲッと鳴きはじめました。

 2回目は5月4日。「はい、これ。」とばかりにさし出された容器には、カエルが何と3段に重なっておりました。下積みのカエルは何とか上にでようとして、じとじと、じわじわとうごめいていて、そのものすごいことといったら。氷がなかったら大惨事。トウキョウダルマガエル38匹、アマガエル26匹、ヒキガエルとアカガエルが1匹ずつ。ヒキガエルは少し大きい上にふとっているので、かわいそうにいつも下積み。アカガエルがニホンアカガエルなのか、ヤマアカガエルなのか調べようとしたのですが、図鑑にはそれぞれたっぷり1頁ずつの記載があって、おまけにどこがどう違うのか全然書いてない!あきらめました。

 はるばる遠くから誘拐されてきたカエルさんたち、ごめんなさい。新天地での新生活が幸運でありますように。


註:

「インドひとり旅」=1989~93年「すずがも通信」にて連載。




1989年8月 すずがも通信第57号


 7月1日、70~80cmの深さまでくっきり見通せる水にびっくりして、猫実排水機場まで様子を見に行ってみました。塩浜橋の下、深さが2~3メートルもある遊水池の部分は、水はたいていまっ黒で、きつい臭気が漂っています。この日も水面にぷつぷつガスの泡が立っていましたが、水はなまり色というか、いわゆるどぶ川色。においもほとんどなく、ふだんのまっ黒な水にくらべてずいぶんましな状態に見えました。

 排水機場の水門のすぐそばで、鉛色の水面に、まっ赤なすじが何本も見えました。血を流したみたい、とぎょっとしたのもつかの間。ミジンコだ!もっとぎょっとしました。赤いミジンコの大群が水面近くに群れていたのです。

 まっ黒な水にミジンコが泳いでいるのを見たことはありますが、猫実排水機場近くのいちばん汚れたところ、それも道から見てわかるほどの大群のミジンコを見たのは初めてです。すごいなあ、とひたすら感動。




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