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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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27 鳥の国から  彩雲   1987年12月

すずがも通信47号  1987年12月


 今日、すばらしい雲を見ました!11月17日、午後4時から4時20分の間。いわゆる“彩雲”という現象に違いありません。西の空にかかった繊細なさざ波のようなみごとな絹積雲が何とも言えない微妙な緑と桃色に染まっていたのです。五色の雲がたなびくなんて)夕焼けが近く、金色、オレンジ色、白、灰色など雲の色もとりどりでしたので)まるでおとぎ話の世界。生まれて初めて見た光景に有頂天。ほかに誰か見ていないかしら。私一人で見るにはもったいない美しさでした。

 ようやくこがらしらしい北風が吹きはじめました。別に待ちこがれていたわけではないのですが、この秋はいつまでも暖かくて、渡りの動きも遅めです。何しろ10月28日にツバメを2羽も見てびっくりしてしまいました。暖かいせいではないと思いますが、スズガモの大きな群れが11月7日からこっち、さっぱり入ってくれません。きれいな雄のコオリガモが1羽まじっていたりして、その前まではまあまあみごとな数だったのですが、先ゆきがどうなるのやら。“吉兆”もあったことだし、何とかなるとよいのですが。

 スズガモの群れのかわりといっては何ですが、こともあろうに観察舎の南側の竹やぶで、この4、5日というものムクドリの群れがねぐらをとっています。夕方帰ってくる時の騒ぎは相当なもので、いつご近所から苦情がくるかとひやひやしているところ。でも、夕焼け空をバックに群飛する姿はなかなかのみものです。どうか、近所迷惑になりませんように。

 このところ、連日のようにトビやチュウヒがカモやカモメをおどかしています。柄の大きなセグロカモメやアオサギは、慣れてしまえばタカをあまり気にしなくなるのですが、オオタカの若鳥が出てきた時(11月12日、15日)にはさすがに大さわぎになりました。11月8日にはハヤブサがいコガモを1羽さらって、対岸(500m先)のコンクリート岸壁で食べました。14日にも観察路でスズガモの残がいを見つけました。タカが食べたあとは、羽毛をていねいにむしってあるのですぐわかります。残酷なようですが、体力や知力、経験などが劣っていたり、体調がよくないカモをとって食べるということで、カモの個体群全体の健康状態を保つのには、タカは欠かせないお医者さまです。

 今年は例年にないほどアオサギが多く、今日(11月17日)73羽を数えました。そのためか、電線衝突事故にあうアオサギが相次ぎ、死因不明の死体を含めて3羽がこの秋に入院しました。今いる1羽は大きくて、よく肉がついて、見るからにおそろしそう。かたいボラだって突き刺してしまうくちばしは、とがっているばかりか、へりがかみそりのように鋭いのです。餌をやるのがこわいので、一計を案じました。お尻を向けて小屋に入るのです。どこを攻撃したらよいかわからなくておたおたしているうちに、壁に押し付けておさえこみ、首をつかんで、あとはサバをつめこむだけ。でも、早く自分から食べるようになって欲しい!




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