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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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24 鳥の国から  1987年2月

すずがも通信42号  1987年2月号


 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしく。早いもので年が明けてからもう20日、そろそろ立春にさしかかるころ。びっくりするほど日がのびてきました。カモたちのプロポーズ作戦がさかんで、いつ見ても、どこかしらで求愛ダンスをやっているグループが目立ちます。のそっとしていてあまりぱっとしないカルガモたちでさえ、軽快にぴょこりと尾をたてて、彼女のまわりをぐるぐる泳いでいます。

 今冬は本当に暖かですね。松の芽がもうのびはじめました。白い綿帽子にきっちりとおさまっているはずの新芽が、2から3cmものびています。強い寒波がきたらどうなるのでしょう。その割に木の実のなくなり方が早いこと。いつもは1月下旬から2月にかけて食べられているトウネズミモチの黒い実は、お正月にあらかたなくなってしまいました。堤防の上に落ちているツグミやヒヨドリのふんは黒から茶色にかわり、ヘクソカズラが主食になったことを示しています。大陸は寒気が厳しいそうですが、冬の小鳥の渡来数は多いような気がします。

 しゅんせつ工事のクレーンショベルが観察舎の前にさしかかって以来、姿を消していたスズガモの大群は、現金なもので、クレーンが引き上げてから1週間ほどでもどってきてくれました。餌場は船橋の海浜公園前の浅瀬が中心で、保護区に入らない時は海浜公園前に大群がいるそうです。このところ、だいたい毎日2万羽から3万羽が入っていますが、雨の日をはじめ、ちょっと変わったことがあった次の日は群れが消えることがあります。

 まじめなニュースはこのくらいにして、まあ、聞いてください。毎年元旦には、何かしら印象的なできごとが起こることが多く、去年はコハクチョウが6羽も入りました。今年はというと……おだやかでよいお正月でした。豚汁やおしるこのでき具合もまあまあ。輝かしい初日の出は文句なしで、スズガモがちょっと少なかったにせよ、とどこおりなく恒例行事が終わるはずだったのですが……

 例年のように行徳ラジオ体操会の方々のお手伝いで、まず第一陣のみなさんが図書室に集まり、おしるこを食べはじめようというまさにその時、いきなり警報ブザーが鳴りひびきました。仰天して警報盤を眺める間もあらばこそ、事務室・図書室と観察室をへだてる防火シャッターが、しずしずと、しかし断固としておりてきて、ガタンと音をたててしまりました。さあ大変、このシャッター、おりるのは自動ですが、上げるのは手動。おまけに私はまだ一人で上げたことがないのです。常連はまだ誰も戻ってきていないし、もうまっ青。体操会の会長さんが手伝ってくださって、ともかく天井裏にもぐりこみ、鎖をひっぱり始めたものの、引けども、引けどもシャッターはぴくりともしません。お客様方はみなさん平然とされているのに、私一人、ほとんどパニック状態。ほどなく姿をみせた農水産課の鈴木係長が仏様に見えました、ホント。やがて常連が次々に戻り、みんなで根気よく鎖をひっぱった結果、シャッターが一引きに1ミリ位ずつじりじりと上がりはじめました。30分ほどで、シャッターの下をくぐりぬけられるようになり、1時間でようやく復旧。元旦早々こんなにあせったり、笑ったりしたのは生まれて初めて。

 原因は、こげたおもち。煙感知機が作動して、防火シャッターがおりたというわけです。12月28日に修理してもらったばかりで、とびきり敏感に作動したようです。換気扇をまわさなかったのも私のミス。ごめんなさい。

 年明けからてんやわんやの大さわぎ。だからこそ、今年はいいことがきっとある!なきゃ困る!

 



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