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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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22 鳥の国から  水車ニュース 1986年8月

すずがも通信39号  1986年7月20日発行


鳥の国から


 いやあ、まあ、何といったらよいのやら……ともかく、鳥さんがいない!

 もう、6月いっぱいというものは、ヒサンの一語に尽きるといった状態でした。ヨシゴイも、タマシギも、ヒクイナも、一回も見られも、聞かれもせず。その上、チュウサギやアマサギの記録なし。コサギすらわずか。カルガモだってほんのちょっぴり。

 欠真間三角にカルガモの一家がいます。4羽のヒナはすっかり大きくなりました。それにしても、バンのヒナを一羽も見かけないのはどうしてなのでしょう。ずっと前から巣作りや交尾を見ているというのに。青大将君のせいなのか、丸浜川の汚れや水位変化のためか。

 それでも、6月下旬になってウミネコが姿を見せはじめると、いくらか鳥が目につくようになってきました。6月23日、ウグイスのさえずり、22日、シジュウカラ、7月8日、ササゴイ1羽。カワウは6月中旬から80羽くらい、アオサギは7月6日、6羽。シギが渡ってくるのももうすぐです。

 セイタカシギは、新浜鴨場の中で3組9羽のヒナがそだったとのこと。7年連続の繁殖成功。

 野鳥病院は例年のごとく大にぎわい。ドアをあけると、大きな口をあけたヒヨドリとツバメがとびついてくるというすさまじさ。でも、幸か不幸か、カルガモのヒナはほとんどきません。今年の特徴というか、なさけない現象としては、巣ごととられてしまったものが多いということ。街路樹のせん定で追い出されたキジバトの兄弟、木の移植でとられたカワラヒワ、よっぱらいがまるごとさらったツバメ。でも、天井裏に6羽全部が落ちてきたというムクドリは、1週間後に無事巣立ち、親鳥にかえしてやることができました。ほっ。

 梅雨空のもと、ツバメたちがねぐらにむかって行きます。鴨場のムクドリの大群がにぎやかな季節です。



水車ニュース 2


黒と白

 泥底の上をちょろちょろと流れる汚れ水、せっけんを溶いたように白くなって いることがあります。夏の日ざかりに見ていると、白くにごった水が、1時間もするときれいに澄んでしまいます。何回見ても感動的な光景で、川の自浄作用を まのあたりに見るような気がしました。

 ところで、この白い水。私はせんたくの汚れ水とばかり思っていたのですが、 さにあらず。せっけんがはいるわけがないようなところでもよく見られます。 まっくろな泥の上の白いにごりは、何と硫黄なのです。酸素がない状態でも生きてゆけるものに、嫌気性の細菌がありますが、こうした細菌は硫化水素やアンモ ニアなどの悪臭のあるガスを排出します。ところが、よく泥の上に白い膜のようにかぶさるベギアトアというバクテリアは、硫化水素を酸化して水と硫黄にし、 エネルギーを得ます。(H2S+O=H2O+S+62カロリー)こういったバクテリアを硫黄細菌といいます。

 水中の硫化水素が酸素にふれると、同様に硫黄が析出し、そのために水が白くにごります。海で見られる青潮の青白い色も、まったく同じ現象です。

 硫化水素は、水や酸素と結びついて硫黄となり、これが水中の鉄などと化合して硫化鉄などになります。硫化物はたいてい黒い色をしています。水が黒くなったり、泥がまっくろでくさくなったりするのは、硫化水素のためです。

 白い水は硫黄、黒い水は硫化物、どちらも嫌気性細菌が出す硫化水素のため。

 いやあ、どぶ川って本当に面白いもんですねえ。






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