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鳥の国から  作者: 蓮尾純子(はすおすみこ)
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16 前段 その7 1985年6月・8月

16 前段 その7


「すずがも通信」32号(1985年6月)


【バンのカップル】

 愛鳥週間特別行事が終って、ようやくひと息ついたところです。タイミングよく今日は雨、利用者7名でまさに休養日。カモもカモメもいなくなり、シギやチドリばかりかサギまで少なく、年間で見られる鳥が最も少ない時期となりました。

 今年は3月の低温と長雨の影響が続いているのか、繁殖もいくらか遅いようで、まだカルガモのヒナもスズメの巣立ち子も見ていません。(この号が出る頃には、あたり一面が巣立ちビナだらけ、野鳥病院が迷子養育場にかわっているでしょうけれど。)

 餌場のバンは、毎年おなじみの「ピンク」と「オレンジ」(カラー足環で区別できます)が向かって左手の方に、リングのないつがいが右の方に、それぞれ巣をもつ様子。右のつがいは、いかにもお熱いカップルで、お互いに相手の顔や首すじの羽づくろいをやっています。もうもうあてられっぱなし。交尾も見ているので、産卵中(抱卵中?)だろうと思います。


【休館日の風景】

 5月13日は休館日。ほっとするのは管理人の私たちばかりと思ったら、さにあらず。護岸の上に陣取ったまっ黒なノラ猫(わが家の黒猫ススム君と生き写しで少し尾が長い)が、くつろいだ様子でていねいに体をなめていました。また、道路にツバメが2羽おりていて、近づくと20mくらい飛んでは下り、というのを3回ほどくり返していました。芝生の上ではムクドリとスズメがおちついて餌さがし。キジが芝生の上を歩いていることもあります。休館日、だ~い好き!(来館者のみなさん、ごめんなさい。)


 4月15日からユリカモメの点灯飼育をはじめました。蛍光灯を夜の12時頃まで点けておくというだけですが、相性のよいつがいがいるので、なんとか産卵させたいと願っています。みごとな夏羽の5羽、さかんに求愛行動をやっていますよ。


註:愛鳥週間=毎年5月10日~16日。バードウィークともいう。行徳野鳥観察舎では、愛鳥週間に合わせて観察会などを行なっている。



「すずがも通信」33号(1985年8月)


【鳥たちが少ない!】

 6月はヒナの月、といっても今年はどうもぱっとしない状況。観察舎前の水路では(あ、丸浜バードリバーって名になったんだっけ)、一向にヒナの姿を見ません。猫さん犬さんの暗躍によるものでしょうか。欠真間三角かけままさんかくや鈴ヶ浦では、バン、カルガモの家族を何組か見ています。

 ヨシゴイの姿、ほとんどなし(7月3日に雌1羽が歩いていた)。タマシギ、ヒクイナ、一向に聞かれず。オオヨシキリ、例年より少ない。セッカ、ヒバリも同じ状況。

 サギは悲惨なほど少ない! 6月23日の記録では、シラサギ類(ダイサギ、コサギ)は新浜鴨場内で10つがい程度しか巣をつくっておらず、ベストシーズンというのに、観察舎から10羽以上シラサギ類が見られた日はほとんどなし。餌場となる湿地や干潟の消失とともに、新浜鴨場のコロニーはまさに消滅寸前。あと3年もつでしょうか。

 多少とも順調なのはキジで、何組も家族が見られました。母親だけに育児がまかされるカルガモと違って、キジは派手な雄もちゃんとヒナの面倒をみています。6月25日には、何と13羽ものヒナを連れた一家を見ました。雨の中、11羽までのヒナは母キジの羽にもぐりこんでいました。ぞろぞろ出てきた様子のおかしかったこと。

 セイタカシギ、今年も無事に巣立ちました。鴨場内で3つがいが巣をつくり、1巣4羽だけが育ちましたが、6月30日の台風以来、姿を消したそうです。もう飛べるようになっていたので、移動したのでしょう。


【希望をもって環境改善を】

 ああ、とにかく鳥が少ない! ともかくおちこむばっかり。早く、早く早く環境改善をやらなくっちゃ、手遅れになってしまいそう・・・・もう手遅れなのかしらん。

 でも、今年は観察舎前の鈴ヶ浦でトビハゼやヤマトオサガニ、オキシジミなどがたくさん見られます。希望は捨てないぞーっ!


註:丸浜バードリバー=観察舎前を流れる水路の愛称。現在は丸浜川という呼び名が定着している。





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