11 前段 その2 1984年4月・6月
11 前段 その2
「すずがも通信」24号(1984年4月)
スズガモの大群は、1984年1月24日からこっち一度も入らないまま、とうとう渡去の時期を迎えてしまいました。他のカモまで例年より少なく、それに比例してお客さんまで少ない! さみしいなあ、もう・・・・
1984年2月10日頃から餌にこなくなり、20日頃からほとんど餌場に姿を見せなくなっていたセグロカモメ。どうやら漁業組合の新しい潮干狩り場にお邪魔していたようです。潮干狩り場がオープンした3月15日になって(すごすごと?)戻ってきましたが、まだ餌付が悪いのです。どうなるのでしょうか。
【セイタカシギ入院】
1984年2月26日のみぞれまじりの雨の中で、餌場に来ていたセイタカシギ成鳥がしょんぼりふるえているのが見つかり、友の会の百瀬さんが手取りで保護。水路のどぶ泥ですっかり汚れ、羽毛の保温ができなくなったようです。一日6匹のワカサギをむりやり飲まされ、ミルウォームやパンをつまんで、いくらか体重もふえ、羽もきれいになったところで、3月11日に放鳥しました。でも14日の雪以来見られていません。どうしているかしら。
【トビの放鳥】
舞浜から入院したトビを放鳥しました。ちょっとまだ寒いとは思ったのですが、12日に同じ小屋のユリカモメをバラバラにして食べてしまい、13日にもう1羽とりおさえて、食べようとしているところを、やっと追い払ったのです。三宅島から持ち込まれ、放鳥後も観察舎付近にとどまって、3ヶ月ほどの間、身近な方たちにさんざん悪さをした“ミルブス君”とは対照的に、さっさとどこかに姿を消してしまいました。
【新潟では】
1984年3月16日、新潟県自然保護課の本間隆平先生が来館され、色々お話をうかがいました。ハクチョウが何と県内で130羽も餓死したそうです(凍結のため)。大半がコハクチョウの幼鳥で、保護され回復に向っているものも50羽近くいるとのこと。例年、ハクチョウが死ぬのはこれから(3月末~4月)が多いはずなので、先が思いやられると心配されておられました。昨年は県内に渡来した3600羽のうち死んだのは、数えるほど。今年は4200羽のうちもう200羽近く。やはり、今年の冬の寒さはこたえる!
トキのミドリ(雄)とキンちゃんは交尾しているそうですが、この数日来お互いに冷淡なので、不安とのことでした。もう17歳で大年増のキンちゃん、1個でも2個でも卵をうんでくれるといいのですが。
【新浜に春を告げるツルシギ】
1984年3月11日、新浜自然観察会でツルシギが1羽、妙典で見られたそうです。今年は春のくるのが遅い遅いといわれていますが、鳥の世界ではしっかりと春が歩みを進めているようです。
「すずがも通信」25号(1984年6月)
【鳥の渡り、やや遅め】
春がくるのが遅かったせいか、冬鳥たちの帰るのが例年よりいくらか遅いようです(1984年5月21日現在)。
<終認(渡り鳥をそのシーズンに最後に観察した記録)>
チュウヒ 4月27日 1羽
セグロカモメ 5月3日 2羽
ヒドリガモ 5月8日 ♀1羽
ハシビロガモ 5月8日 ♂2羽・♀2羽
キンクロハジロ 5月21日?
オナガガモ、コガモ *まだいます
スズガモ 5月19日 140羽± *これまでで一番遅い記録
ツグミ 5月21日(これまでで一番遅い記録)
ジョウビタキ 4月3日 1羽
夏鳥の到着は……これも遅いみたい。
<初認(渡り鳥をそのシーズンに初めて観察した記録)>
ツバメ 3月25日
コチドリ 3月18日 7羽
コアジサシ 4月24日
オオヨシキリ 4月29日
*ヨシゴイはまだ見ていません。
【ヒナたちの季節】
1984年5月5日には、必ずカルガモのヒナを見るんだ、とはりきっていた、ジュニア会員のツノ君。残念ながら見られずじまい。ヒナの初認は5月19日、水路を泳いでゆく10羽づれの親子。ところが、この日何があったのか、午後になって4羽のはぐれビナが水路に新しくできた水門のそばで見つかり、夜にはカモメ橋(観察舎の入口)のところでまた1羽。うち3羽が保護されましたが、1羽は夜のうちに死んでしまいました。親鳥に何かあったのか、ネコか人間に追い散らされてしまったのか。
バンの「オレンジ」と「ピンク」の夫妻(註;足のカラーマークによる)。去年は別々のつがいになりましたが、今年はまた一緒になって、ヒナをかえしました。8羽。お目見えは5月17日。19日には餌場にぞろぞろやってきました。まっ黒でくちばしの赤いヒナは、足ばかり大きくて、とってもユーモラス。親鳥はむきになって、餌場のゴイサギを追い払っていました。




