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カラクリワールド  作者: 加藤イセ
2/5

機械人形

「君は…」


 少し困惑しながら訪ねた

 彼、(彼女?)にはまったく気配がなく

 僕にはハシゴを降りた事さえ気づけなかった


「失礼しました。私はエタフィと申します。ナムフ様がお目覚めになられるまでのお世話をしておりました。」


 どこか無機質な声でそう言った


 見た目は丸くて青色をしていて、頭からはふさふさした耳が生えている。


 僕は立ち上がって話しかけた


「えっと、エタフィ、よろしく。僕はナムフというの?」


 驚いて詰まってしまったけど、僕から話しかけて無視するのも嫌だったので返答した


「はい。あなたはナムフ。ヒトとして作られた初めての存在です。個体名は『ナムフ369』我々とは異なる整体電気を持った。生命体です。」


 な、なるほど?

 よく分からない単語が沢山出てきて焦ったが、とりあえず僕の名前はナムフというらしい。


「君はここでの僕の世話を?僕はずっと寝ていたの?」


『ウィ』という機械音と共にエタフィは頷いた


「ナムフ様は本日で14年と181日間生きておられます。その間電気信号にて年齢に即した情報をお伝えしていました。お食事は栄養液を注射しておりました。」


「なるほどありがとう」


 難しい事を言っているがとりあえず流した


 それにしてもお腹がすいた

 さっきから虫がぐぅぐぅと鳴き出している


「エタフィ、何か食べ物はある?出来れば固形がいいな…」


 栄養液?というので想像してしまった流動食は避けたい。

 見たことないはずなのに嫌悪感があるということは、あまり美味しく無いのを体が覚えているのだろう


「分かりました。少しフルイですが、備蓄食があります。何分生命体は少ないもので、こちらも少ないのですが。どうぞ。」


 ガチャりと自らの丸いお腹を開け、パサパサした長方形の物体を僕に差し出した


「フルイ言葉で、『レイション』と言うらしいです。味はエタフィには分かりかねますが、機械人形なもので!」


 何だかロボットアピールがあった気がするが、スルーして受け取った


「あむ」


 1口、口に含む…


 うむ、なるほど

 おいしい…気がする…?


 余りにも食品を口にする経験が少ないからか、味覚の判断が主観的になってしまうけど、これは多分、「美味しい。」

 甘くて、サクサクしていてお腹に溜まる


「あむ」


 勢いよく2本ほど一気に食べて、お腹がいっぱいになった。


「ごちそうさま、エタフィ」


 イエイエ、と首を振り、かしこまるエタフィを横目にすこし笑いながら座り込むと、壮絶な眠気に襲われた


「おや、目覚めたばかりで動いたりものを食べたりでエネルギーが足りなくなりましたか。今しばらくおやすみをーーー」



 という声も遠くなり、深い深い眠りに落ちて――――――――――――――――――――

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