第1話 留学先は異界でした
初投稿ゆえ至らぬ点も多いと思いますが、何卒ご容赦を、、、
俺はゲームが好きだ。プレイしている間は現実逃避できるから。
俺は本が好きだ。熱中して読んでいると周りのことを忘れられるから。
悲しい時、辛い時、苦しい時、俺はいつも君たちに助けられてきた。だけど、、、
「これから1年間、君たちとはお別れかぁ」
家に突然送られてきた、赤紙、もとい広告のチラシは俺の普通だけど幸せな日常をぶち壊した。
〈援助金返金不要!今の時代、留学しないと逆に損⁉︎あなたのお子さんは大丈夫ですか?〉
赤と黄の文字で書かれた、いかにも怪しい留学の広告に、俺の親はつられてしまった。
『ごめんなさーい。12位は双子座です。様々な困難が降りかかってきてあたふた。自信を持って用心深く過ごしましょうー』
「今日に限って双子座12位かよ…」
テレビから流れるいつもの星座占い。全然信じてないけど最下位だとなんか落ち込む。
「八雲〜準備出来た〜?」
徳山八雲、それが僕の名前だ。
「もう出来てるよお母さん」
俺は俺の大切な友に別れを告げ、小さめのリュックを肩にかけ、大きなトランクケースを転がした。
「行ってらっしゃい。頑張ってね。」
「うん。行ってきます。」
俺はいつもより重い足取りで家を出た。
親はかなりの放任主義なので、空港に行くところから一人で行動しなくちゃいけない。
まあ俺はもうすぐ17歳になるし、親の放任主義も今に始まったことじゃないから、これといった不安は無いけどね。
でもこれが親との最後の会話だってわかったら、もう少しは一緒に居たかったと思うよね、、、
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異界〈アーブルース〉にて、
この日、歴史が変わった。
「あれは何だ?」
誰かが空を見上げて言った。
そこには、、、
いつもの活気ある市場の上空に、圧倒的な異物があった。
いや、その表現は少し違う。
あるのでは無く、落ちてきているのだから。
「い、隕石だああああああぁぁぁ!!」
「逃げろおおおぉぉ!!」
賑やかな騒がしさで包まれていた市場はすぐにパニックになり、悲鳴や叫び声が飛び交う混沌とした場になってしまった。
地元の警備兵達の声は既に意味を成さなくなっていた。
逃げ惑う人々。
刻一刻と迫ってくる異物。
大地にぶつかる。そして、、、
この日、歴史が変わった。
このアーブルースで最も栄えていた国の一つ、〈テレト王国〉が大きなクレーターとなった。
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空港に到着した。
一応親に連絡を入れた。
そして俺は飛行機に乗るまでの間に、今回の留学についてのパンフレットを改めて読むことにした。
このパンフレットは、親が広告のチラシにつられ申し込みをした後日届いた物の一つだ。
「はあぁー」
思わずため息をついてしまう。
今回の留学の目玉、それがホームステイなのだが、それはつまり外国語を喋らなければやっていけないということと同義だ。
好きな事しかやってこなかった俺が、外国語を喋れるはずがないのだ。
ホームステイ先の家族の写真を見る。
笑顔。
とても申し訳ない気持ちになってしまう。
しかしうだうだここで悩んでいても仕方ない。
頑張ろう。そう思った。
その時俺はパンフレットの他によく分からない物が入っていたのを思い出した。
「あ、あった。」
それは、一言で言ってしまえば透明なプレートだ。
大きさはポケットに入るぐらいで、文庫本より少し小さめなサイズ。
そのプレートの上の方に小さく俺の名前が彫られている。
またそれ以外何も彫られておらず、何なのか全くわからない。
しかし、パンフレットにはこのプレートを絶対に持って来いと書いてあったので、持ってきたのだ。
腕時計を見る。
そろそろ飛行機に乗り込めるはずだ。
手持ち用の小さなリュックに取り出した物を仕舞う。
この手持ちのリュックには、貴重品とパンフレット、そしてプレートが入っている。
ゲームや本は親に持っていくなと言われたため持っていない。スマホも連絡にしか使ってはいけない。
***
飛行機に乗った。
席に座った。
どうしようかなぁ…大丈夫かなぁ…
「すいませーん」
考え事をしていたら、明るい声で話しかけられた。邪魔になっていたみたいだ。
「ああ、いえ。どうぞ」
「ありがとうございまーす」
俺の隣に座った。俺と同じぐらいの歳の女子だ。この人も留学生かなぁ…俺とは違って明るくて元気で自信たっぷりって感じ。
「もしかしてアナタも留学生ですか?」
「はい。不安だらけですけど」
「大丈夫ですよ!楽しみましょう!」
いい笑顔で返されたらもう何も言えないよね。
「はい。お互い頑張りましょう」
少し話しをしていると飛行機は離陸の準備に入った。
離陸。
それからまた少しすると席を立てるようになる、、、筈だった。
動きが不安定過ぎる。
飛行機ってこんなに上下したっけ?
ん?
皆、悪いニュースだ。
なんかこれ墜落してるっぽい。
「キャアーーー!!!」
隣の女子の叫ぶ声が聞こえたが、声をかける余裕なんて無い。
俺さ、ジェットコースターダメなタイプなんだ。
この浮遊感がさ、身の危険を感じんだよね。
お父さんお母さん、、俺、終わった…
そこで、俺の意識は途絶えた………
「ん?」
意識が覚醒する。
「はっ!」
慌てて飛び起きる。
「ここは?」
周りを見渡す。
一面に広がる荒野。
「…」
「どこ?」
どうやら俺はとんでもないところに留学することになったみたいだ。