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           :第2話

 対峙する1人の少年と1人の兵士。

 自分の身長の2倍以上はある大剣を構えているが、まったく隙だらけの少年。

 反対に、軽装ではあるがプロの雰囲気を漂わせる兵士。

 どちらが勝てるか、そんなのは見ればすぐに分かる。

 それには少年も気付いていた。

 だからこそ頭脳を使う。

 学校での成績はなかなか優秀だった少年にとって、それは難儀することでもない。 

 

(ここは作戦B−28決行か…)

 

 学校で培った対不良作戦を思い返す。

 剣を再度構えなおし、兵士を睨みつける。

 緊張の一瞬、そして――。



「ぁあー!!アレなんだ!!??」

 


 いきなり叫び、兵士の背後を指差す。

 見事につられて後ろを振り向く単純兵士。

 少年はその時を見逃さなかった。

 兵士へと一気に接近し、大剣を振りかぶり――。


「どりャァッ」


 大剣の刃の平面部で、思いっきり兵士の顔面を打ちつけた。

 フライパンの底で叩く要領である。

 兵士はそのまま吹っ飛び、出口あたりで大の字で失神していた。

 些か不憫であるが致し方ない。

 

「さーて、とっとと逃げるかー」


 とにかく建物の外へ出ようと教会らしき所を後にする。

 出口から出たすぐそこは、右と左とで通路が別れていた。

 

「よし、じゃぁ右」

 

 とは言いつつも足は左へ向かう。

 そちらへ一歩踏み出したその瞬間。

 

「あ。」

 

 目の前に本日2人目の兵士が出現。

 兵士は当然の如く任務を全うする。


「侵入者だぁーーーーー!!」 

 

 兵士の叫びが建物全体へ響く。

 少年は逃げを選択した。



 

 命からがらというかなんというか。

 少年はなんとか逃げ切った。

 あの後、ものの数分も立たないうちに、少年を追いかける兵士達の数は30人を越えた。

 対不良作戦(内容は極秘)を駆使したものの、少年は当たり前だが疲弊していた。

 逃げ切ったというのは運が良すぎたに過ぎない。

 そして今は大剣を杖代わりに、どこかへ向かってふらふらと歩いている。

 大剣の大きさがどうとか重さがこうとか最早関係ない。

 

 どれくらい歩いたのだろうか。

 ちなみに教会があった所は、実際は城の一部であった。

 その城というのが此処周辺の国々をいくつか統括している王の所有物の1つである。

 ということは、少年はとてつもなく危険なことを犯した事になる。

 勿論そんな事は少年は知り得ない。

 何十分も疲弊した体で歩き続けた少年にとって、過ぎたことはもうどうでもいい事だった。

 そのあたり周辺は何もなく、見渡す限りの草原が広がっている。

 既に少年は限界に達していて意識朦朧。

 膝を地面に着いて倒れこむ。

 

「腹へった……」


 そこで少年は力尽きた。


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