〜ネコネコ・かるちゃーしょっく〜
〔にーちゃん、にーちゃん! いいこと、思いついたんだけど、聞いてくんない?〕
レイン君の声に耳を傾ける。… … うん、それなら勝てるかもしれない!
「分かった。よく思いついたね! あと、ここを ー ー したらいいんじゃないかな?」
あの付近で見かけるんだよね、“彼ら”は。助言をすると、元気のいい返事が響いた。
ヒースが炎を喰い終わり、ビートと一緒に満足気に腹をさする。こいつら、俺より大分若いくせに … …
「おいおい、親父くせぇぞ。さ、進もうぜ」
少しふらつく足元を隠して、声をかける。黒猫が、目の前を横切った。そのまま、俺の目の前に座る。 ー ー なんか、私、可愛いでしょ? って言われた気がした。
「猫さんよ、確かにあんたは可愛い。けどさ、今は急いでんだ。 退いてくんねぇか?」
返事は、ミャーゴ。 これだけじゃ訳せねぇ、とか思っていると、代わりのように頭の中に尋ねられた。
〔さて、その猫は男の子でしょうか、女の子でしょうか?〕
シーエの声だ。やれやれ、あんたの差し金か。ま、害はなさそうだ。あえて言うなら、時間稼ぎ。先行け、って仲間に呼びかけて、考える。当てたらいいことありそうだからな。俺のカンは、結構あたる。
リボン付けてるけど、飼い主の趣味って線は捨てきれない。けど、さっき頭の中で自然と訳したの女口調だったな。
「女か?」
〔さて、どうでしょう? … … もう一問です。そうですねー、もう一匹おいで〕
軽々と背後からトラ猫が出てきた。次は三毛猫でも来るんじゃなかろうか。
〔この猫の名前は?〕
知るか! ヤケかよ… …
「なんかヒント。さっき答えたろ」
〔よくあるやつですよ〕
うちの国と一緒と考えていいのか?
「じゃあ… … トラさん。それか、シマさん」
〔違います。ティグルです。シマシマの子が産まれたら、大概そうですよ?〕
「地域色でるなぁ… … な、次はやっぱ三毛か?」
〔ミケって ー ー すごい貴重ですよ! お金持ちが、なんで盗賊を?〕
「金持ちなんかじゃねぇよ。
故郷 ー ー 此処とは別の国だが ー ー 其処にゃ、よく居たぞ?」
そうか… …三毛、いねぇのか… …
こういうの、旧世界じゃ【かるちゃーしょっく】って言ってたらしいな。 どういう意味かは知らん。
にしても、寒いな。辺りを見回すといつの間にやら霧が立ち込めている。ミスティの奴、エミッション出しすぎじゃねぇか。何処にいるのか分からない。とりあえず呼ぼうとして、ヒースにぶつかってコケた。
ー ー おいおいおい … …
「なんで、此処にいる!!」
行けって、言ったはずだ!




