〜長説教と、手がかり〜
「構いませんよ。妹がすいません、アズサ遠征隊長殿」
「年が近いからね、そんなかしこまらないでくれ。君ら兄妹は似ているな。
可愛らしい、良い友を得た。私は感謝をしているぞ? 学院外に出るのは、これだから辞められない。が!!」
アズサさんは、足を高くあげて、シャンレイの頭を踏んだ。高い、いい音が響いて、ぐぇっと声をあげる彼。
「貴様は何をしているこのダラケ猫! いや、可愛くないからネコでもないな。
ダラケ! 現地民に迷惑をかけるとは何事だ! それに貴様、まぁた閣下に書類を押し付けたろう! 部下が上司の仕事をやるならともかく、その逆があるとは聞いたこともないわタワケ! この、黒髪ロングの女男が! だいだいそうだ、外見からして紛らわしい!」
のどが渇くだろうね、あんな長説教。
周りの部下の方々、こっちにも面倒が回ってきませんようにって祈ってる。
僕の隣にいる人、さっきまで何の酒奢っていただこうとか楽しげに話してくれたんだよ。なのに、今、日記から顔をあげると、
「すいません、隊長。俺が先に叱っておくべきなのに… あぁ、このままじゃ的になっちまう… 明日の叔母さんの式、見たかったなぁ… 」
涙目で震えている。
僕のせいでもあるんだよなぁ。
この村に来てから、証拠として絵を描いとけ、みたいに言われて渋々描いてたら、うっかり足を踏み外して落ちかけた。その先で発見もしたんだけど。
「ま… て … ア …」
「何だ。下らない冗談ならこの子の的にするぞ。
ん?そーかそーか、フリューゲルス、お前も早く射抜きたいかー」
「それ、本当軽いよなぁ、羽みたいだし。お前にしちゃあいい名前を、待って待って矢を出すな、やめてくださいセンパイ!!
洞窟、見つけたんだって! いかにも生活感ありまくりの!」
そう。僕らが見つけたのは洞穴。中にはたき火の後とか、水飲んだ後の器とか。
そして、
「ほら、これ! 賊操ってる家の紋章! たぶんだけど! お前、見分けつくだろ?」
小さなバッジだった。
受け取って確認し、どこか納得したようにため息をつくアズサさん。
「あの、自己矛盾しまくりのまん丸野郎なら確かにな。すまん。よくやったが、
私が蹴る前に! さっさと言わんかノロマ!!」
また、床が軋んだ。
アズサさん。貴女、僕らがここに来た瞬間、シャンレイを蹴りましたよね!?
二人の言い争いの中、妹を見ると、ファリナちゃんの膝で寝ていた。
最近疲れてたし、ゆっくりしてね。
僕は、何も出来なくてごめん。
作者のひとりごと。
書いてて思ったんですが、学校のクラスに一回は、こんなやりとりがあったような気が。
悪ふざけしすぎた同級生、こんな感じで、超怖い女担任から説教くらってた気がするなぁとか、懐かしく思い出したり。




