〜どこかで拾った、お兄さんの日記〜
まだ、時計なんてものが世界を支配していた時代に、 食べものがなくなりかけたらしい。 人が、 増えすぎたから。
そんなご時世で、 とある生物学者が、思いついてしまった。
「ヒトが食べられる物には限度がある。 他の動物は私達に食べられないものを食べ、植物は自分で栄養を作り出しているのに。
そうだ。 ヒトが多すぎるなら、話は簡単だ。 人の食べられるものを増やせばいい!」
そうして、 小さな子供達を、色々なゲテモノで育てた。 でも、まだ満足しない。
遺伝子をいじり、倫理や道徳がどーのこーのではなく、人が食べることが不可能なものが食べれるヒトを作ってしまった。
もちろん、大批判を浴びた。けど、そうしないと生き残れない。やがて、群衆の声は静まりかえる。異端は、正常になっていった。
そうしてもう何百年、いや、年数なんて概念は消えたから、ずっとずっと前に生まれ、世界のあらゆるものを食べられるのが、僕ら。 Eaters 《イーターズ》
といっても、長い時の中で遺伝子は100パー同じではいられない。
まず、みんながなんでも食べるなら、ケンカになる。
自分の好みや住んでいる場所によって、ニッチ、栄養にするものが分かれてきた。
木や鉄から化学物質まで自然にあるものを食べる、原料喰い《マテリアル・イーターズ》
もう一つは、感情や音楽など、人によって作られたり、起こった出来事を食べる、現象喰い《フェノミナ・イーターズ》
そこから色々細かく分かれていく。
食べたものによって違うけど、生きるために必要なものをとったあとで、基本は誰かのために役に立つものにかわる。それがエミッション。
例えば、木なら、紙か糸。
鉄なら、武器や鎧。
現象喰い達は、それこそ魔法使いのようになれるんだ。
さて、ここまで読んでくれてありがとう。 もし、読んでいてくれてたら、だけどね。
誰かに読んでほしいんだ。
読んでいるキミが記憶をなくしていたらいけないから、一応この世界のキホンを記しておいた。 それより見つけられたかな? 頑張って隠したから。 お節介で心配症な僕は気になるとキリがないんだ。
このページは大分後になって付け足したんだ。僕ら兄妹が、あのおかしな、かけがえのないアコガレでトモダチになった二人に出会って、だいぶ経ったから。
興味を持ってくれたら次も読んでもらえたら嬉しいな。
そして、読んでくれたなら、この問いに答えを出しておくれ。
僕と可愛い妹が、あの二人を招き入れたのは、正しかったのか、どうか。
もちろん、正しさの定義は、貴方達それぞれだろうけれども。