表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
noctiluca。(ノクティルカ)  作者: 音羽
華様変幻。
19/19

19


「べ、弁償します……ほんと、いつになるか解んないっすけどちゃんと…」


「ショーマ、大丈夫カ?」

「ええ?いやちょっと今取り込み中だから待って…これ、大丈夫じゃないしマジでほんと…」

聞きなれた可愛らしい声に返事しながら、前髪をガシャッと掴み項垂れる翔馬は、ハッとして顔を上げた。

「クローム!?」


「そ、ダヨ。」


喜んで振り返った翔馬は、そのまま口を開けて愕然とした。

クロームの口調と声色そのままに、喋っているのはいきなり現れたさっきの子供だったからである。

「え…と、」翔馬が言葉に詰まっていると、背の高い方が呟いた。


「よもやこんな事態に陥るとは思うとらんかった……。」


「いや、想定内だったぞ」



それに対して小さい方が勝ち誇った様に含み笑いで言った。


「現代の若者は我々に対し畏怖の心持など無いに等しいと、言ったで有ろうに」

「しかして」

「翔馬、と言う名だったな。クロームの変化は本人たっての願望である。

その健やかさと信心深さ、切なる思いに我等は応えたに過ぎぬのだ。」


尚も微動だにしない翔馬を鎮めるように、小さい方は翔馬の前に浮きながら進み出ると心臓に向けて手の平を掲げた。

そのおかげか、少し落ち着きを取り戻した翔馬はクロームだと自称する子供に向き直って尋ねる。


「きょ、今日の…晩御飯の予定は?」


「冷蔵庫にアル豚のコマ切れ肉をツカッタ丼ブリ」

「さっき行った場所で俺が頼んだ飲み物、は?」

「自販機カラ、ウルトラサイダー」

「誰に」

「タチバナサン。」


「明日の予定」

「フリーカメラマン古狩サンのロケハン手伝イ」


「………昔、クロームが座ってた椅子に貼られてたシールは」


「ポケモンのロゴ」


「俺の部屋のトップシークレット」

「勉強机引き出シノ裏カベ」



「じゃあ、じゃあ……香木っクロエの、好物は」


「オレンジとバニラ、ケドホントはイカと海苔。」


翔馬は幾つかプライベートな質問を繰り返し、それに間違うことなく秒速で答えるクロームに脱帽、とばかりに謎の二人組を見返した。


「……すみませんでした。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ