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見た目幼女の数千才の両性具有の処女TS転生者と再会した事

ふたなりを出そう、と思って書いたら妙に女々しい文章になりました。


 一つ前の文明は召喚術全盛だった。

 うっかり発展しすぎて呼んではいけないものを呼んで人類の殆どが死に絶えたわけだが、生き残った人類もいるにはいた。

 詳しく言うと呼んではいけないもの、それは異世界原産の世界規模に損害を与える兵器を各国が派手に撃った最終戦争において殆どが無効化された中で唯一防ぐことが出来なかったものだったものだ。


 その兵器の名は正式名称は長くて覚えていない。

 ある世界を滅ぼし、そのまま数百年放置された後召喚されてやってきたそれの別名は好意消滅砲という。

 早い話が他人に対して好感を抱けなくなる。

 制御しきれずに使用国が内乱による滅亡という最も強烈な被害を受け、全世界にセックスレスを確実に呼ぶそれは種の存続、という意味においてあまりにも致命的なものだった。

 200年経って再度起こった小規模な戦争の連続の結果減りに減った人類はやっとかの兵器の呪いから辛うじて抜け出たが、そこで止めがやってきた。

 これまた正式名称は覚えていないが男こそが争いの元である、と唱えたある女が使ってしまったらしいそれは人類の存続の可能性を縮め、だがその女の別の技術が存続の可能性を歪んだ形で残した。


 その兵器の別名は分かりやすく男死滅砲と呼ばれている。同時に生み出した技術は分かりやすく言うと女にモノを生やし、子を生み出すものだった。



 現在、人類、巻き込まれたその他の種族もは皆両性具有という状態だ。文明は衰退しきり、かつての文明の残滓など呼び出されてこの世界に残った資源という形でしか見られない。




 定期的に来る引きこもり状態の飽き。そういえば男滅亡から1000年、大洞穴から出ていなかったな、という事に気付いた私は日の光とおそらく生きながらえているだろう人族の作る飯を食べようと大洞穴から這い出した。

 最終戦争時、とある国の兵器が開けた世界の底まである、と言われるその大穴は人類が壊滅状態に陥ってから誰も近寄ることは無かった。理由は単純でこの穴はいる者の魔力を吸い尽くすのだ。吸い尽くした魔力は数千メートル底で濃密な魔力溜まりを作っていたがそこまで行けるものなど最終戦争で減った人類にいるわけがない。人に逢わないのんびりとした引きこもり生活を謳歌していた、が恒例の飽きが来て世界巡りを始めたわけだ。




 見目麗しい女が何百人も街を行きかっていた。煉瓦か何かで出来た建物達の壁の前にシートを敷いて食べ物やら武器やらを並べて客を呼ぶ美人商人達。そこを歩くのも皆、幼い子供、老人ですら皆見目麗しく、あらゆる美人の見本市といった様相だ。

 前文明の多様性というものがある種失われたようなそれは正直微かに残っている地球という名の異世界で遊んでいた成人向けの絵物語の主人公の周りは美人ばかり、というご都合主義を思い出す。

 自分が主人公だとは欠片も思わないが正直この光景は目の保養というより不気味さが先にくる。美しいもの以外は生きる価値なし、と叫んでいる目に見えない誰かが見えた。


 この文明でもあった前文明での冒険者組合に当たる放浪者組合の一般開放されている資料閲覧室で理由はすぐに分かった。死滅砲を撃った女が私が飽きて引きこもった後、美人しか生まれない祝福か呪いだかを全世界を覆う規模で発動したらしい。目に見えない誰かはその女だったようだ。まあ、もう死んだそうだが。とはいえここまでの執念があるなら亡霊となって今でも世界をさまよっていても不思議ではない。



 隠蔽と認識操作で特に問題も無く食事を済ませて、この街に特に見るべきものもなさそうだし出ようかと

 思ったら声が聞こえた。

「ガリナータ?」

 思わず立ち止まる。ガリナータの名前は確かにこの文明にも旧文明の資料として残ってはいた。だが、残っていただけだ。容姿など特定できる資料は残っていない。

 だから、ここで意味もなくこぼれる名前ではないはずなのだ。

「ガリナータ。まさかこんな所で会うなんてね」

 間違いない。私の事をを後ろにいる誰かは知っている。

 振り向くと、小さな幼女がそこに立っていた。黒髪紅目のどこか朧げに見覚えのある幼女だった。



「ああ、そういえば前の文明で会ったことがあったな。思い出した。そうかお前か」

「ええ、まあ死んではいないだろうと思っていたけどここ1000年気まぐれに探してもどこにもいなかったわね。後数千年はどこかに引きこもっているんだろうとは思ってたんだけど引きこもりは飽きた?」

「まあ偶には引きこもりをやめて動き回りたくもなるさ……だがお前は姿かたちはまるで変っていないな」

 最後に会ったはずの親子連れの時の姿を思い出す。あれよりは多少は成長しているようだがそれでも見た目はまだ10かそこらにしか見えなかった。

「貴方もかわらないじゃない。まあ、神様からの呪いじゃない?」

「転生者特典というやつか」

「貴方は異世界転移チートってところかしら」

「そうだな。まあ借り物とはいえ世界最強で、破壊の神とやらの呼び名を万単位でやっているな。レンネベルンという家系が私を殺さない限り自分で死ぬこともなさそうだ」

「……そう、正直哀れだと思うわ。私はその三分の一も生きてないけど生きるのに飽きかけているもの」

「いや、私は案外ぼーっとすごしていくのも悪くは無いと思っているさ。まあ偶には誰かと共に過ごしたい、と思うこともあるがな。呪いで相手が死ぬから無理そうだが」

「あら、ナンパ?」

「ナンパ? それはどういう意味だったか。こう何となく自分には関係のない何かだったような」

「……まあ地球時代の言葉なんてすっかり忘れているわよね」

 翻訳魔法でナンパと聞こえてもナンパがどういう意味かすっかり忘れていた。検索で思い出してそういえばそんな言葉もあったな、と思い出す。使う機会は一生無さそうな言葉だったから全く覚えていなかった。



 じゃあ私と一緒に暮らしましょうよ、と彼女は言った。地球時代も社交性皆無で誰かとここ数千年暮らした覚えが無いからどう接すれば良いのかわからない、一緒にやっていける気がしない。と言ったら私だってそうよ。今の文明になって誰かと一緒に暮らした覚えはないもの、分からない者同士、コミュ障同士仲良くしましょう、と目以外は笑顔を浮かべて彼女は言った。


 本家に選ばれなかったのだ、とぽつりぽつり私と会った後の事を語ってくれた。

 生まれた時から持っていた強大な力。本家の子供に生まれた事。誰もがレンネベルン史上最強の継承者になると思っていた事。だが選ばれたのは別の者だったこと。血筋が絶える以外で別の一族に力が渡る悪い意味で史上初になってしまった事。一族からの蔑視、母親からの冷遇。一族から出たのは当たり前よね、と彼女は言っていた。

 チートを持っていた。転生者チート。人間から外れた反則気味の能力が。不老不死と膨大な魔力。ただし姿かたちは成長しないままでおかげで様々な危機があったと言った。

「前世で男だったのに男なんかとやるわけないじゃない。で、女の子と仲良くなろうと思ったんだけど」

 いつだって誰かの妹でしかなかったのだ、と言った。成長しない幼女の体。そういうのはもう少し身体が大きくなってから、と言って結局仲良くなった子は最後まで関係は姉妹のそれから変わらなかったと言った。まあ幼子と致したい、という身体目当ての変態も男女を問わずいたようだがそういうのは物理的に拒絶したそうだ。結局道具で処女は喪失したけど誰かとやってないから今まで処女よね。数千年物の処女ロリババアとか誰得よ、なんて言っていたこともあった。

 では男の私と一緒に暮らすのはどういう気の迷いだ、と聞いたことがある。

「まあ日本時代の知識はすっぽり抜け落ちてはいてもその地球の日本人の顔見てると安心するのよ」

 とのことだ。

 やらせてあげても良いのよ? と水浴びの後の全裸姿で誘ってきたこともあったがすっかり心が性的不能彼女曰くEDになっていたのと股間にぶら下がる巨大なそれが関係を結ばないことに成功させていた。女とどうこう、という気はもうない仙人状態の私だが幼女で巨根というのは微妙な気分を覚えてしまう。

 何だかんだで1年が過ぎ、何だかんだで打ち解けたのか妙に楽しそうで私も人に飢えていたのかつられるように楽しくなりこういうのもありか、と5年が経った頃。


 彼女は死んだ。私に駆けられた孤独の呪いが彼女の不老不死を超えて死をもたらした。それだけだ。


死の間際だった。回復も効かず、ただ見ているだけの私の手を両手で固く握りしめながら彼女は悪戯っぽく笑った。

「うん、予想通り。言ったでしょ? 生きるのに飽きたって」

「ああ、そう言う事か」

「うん、私自分で死ねないからさ。だから周りにいる誰かを死に追いやる神の呪いにかかった貴方ならって思って一緒に暮らそうって」

「こうなって初めて目的に気づいたさ」

「ううん。正直まあ案外楽しくて、後百年くらいなら一緒に暮らしても良いかな、って思ってたのよ? 思ったより強力だったわ。でも強力なら情がわく前に死なせてくれたらもっと最高だった、かな」

「私は、絶対に楽しかった。もしかしたらお前は話がつまらないって思っていたかもしれないけど、お前と一緒にいるのは私は楽しかった」

「私もよ。ま、前世は私だけを見てくれなかったから死んで! って恋人に刺された私だから、貴方くらいの距離感は本当に良かったのよ。だから死ぬまでに一人くらいは子供を産んであげても良かったんだけど」

 やっぱりでかいこれは邪魔だったかな、と死ぬ直前の青い顔で薄く笑った。

「そう、だな。せっかくの童貞喪失の機会がふいになったのか」

「ええ、永遠に童貞確定ね」

「何という酷い事を」

 ま、私の誘い断ったんだから誰か他の女とそういう仲になるの禁止ね。童貞生活頑張りなさい。なんて酷い言葉と

「じゃあまたね」

 という言葉を残して彼女は死んだ。またね? 生まれ変わりでもするのか、と思ったが無いと断ずるよりはあると信じるほうが楽しい。

 彼女と暮らしていた五年は今まで生きてきて間違いなく一番楽しい時期だった。



 だから余計に今一人であることが妙に寂しい。











タグ詐欺になりました。外さないとまずいタグがいくつかありそうです。恋愛なしは一応アウトです。

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