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選んだものと奪ったもの


****


 その日は雪が降った。珍しく軽くて、乾いた雪だった。春樹は泣いていた。真中さんもたくさん泣いていた。常磐はずうっと笑っていた。意地の悪い笑みだ、私を手に入れて悦に浸っている。二人が泣いている間、常磐はずっと私を膝にのせていた。


 捕まえた。

 もうあきらめさせやしないわ、いとおしい君。


「ごめんね真中さん、あなたの地獄を奪ってしまって」


 この人の愛は痛いのよ。曇りのない愛のなかでは、息すらままならないもの。




****


 ええと、何からはなそうかな。俺とまもるのはなしだよね、それ以外にないか、はは。ああそんな怖いかおをしないでくれよ、悪いとは思っているよ。君から恋人を奪ってしまったこと、それでも君の前で堂々と笑っていること。すごく失礼だね、春樹。

 殴られたって構わないよ、それで君がまもるを捨ててくれるなら。

 なんなら苗をやろう。ああ、もちろん冗談。もう苗には近付くつもりはないよ、まもるが悲しむからね。ふふ、まもるは俺だけのものだよ。俺だけが見て、触れて、愛していいんだ。ずうっと君に体はやろうと決めていたんだけれどね、まもるが俺を選んだんだよ。苗がかわいそうだって言うんだ。やさしいだろ、ほんと。俺がまもるにあげられないぶんの愛でさえ、苗には多すぎてかわいそう、ってさ。そんなの、苗だけにあげるつもりないのにね。

 ん? まあ君には何て言われてもいいさ。ただ、まもるは君には幸せにできないと思ってるよ。君にもわかる通り、俺の愛情表現って言うのは少しばかり行きすぎててさ、それでも、まもるは足りないって言うんだ。おかしいだろう? 俺もちょっと後悔しているよ、少し駆け引きが過ぎてしまったからね。まもるは君に対して何を求めたんだろうね。それで、俺に足りないものを求めているのだとしたら、君はまもるに何をしていたんだ?

 は、痛いなあ。まあいいさこれくらい、君は今俺に、まもるを奪われたことを認めた。もうまもるはお前のなんでもないんだよ。まもるは俺だけのものだ。

 この怪我、まもるは何て言うだろうね。自業自得。かな、まもるが悪いのに。君がいるのに、俺を失うことを恐れたまもるが悪いのにね。俺のすきを受け入れてしまったまもるが悪いのにね。後悔したまもるが悪いのにね!

 退屈だから馴れ初めでもはなそうか。

 俺はいじめられっ子で、まもるはヒーローだった。それだけだよ。生まれてからほとんど一緒にいたけれどね、恋したのはそこからだった。いつ間違えたんだろうね。いつから、人を傷付けずにはいられなくなったんだろうね。君には本当に悪いと思ってるよ。心からね。


「目の前が繰り返し火花を散らす。春樹は何度も何度も俺を殴っては、嗚咽を漏らした。その時俺は、恋愛と言うものの残酷さを知った」


 捕まったのは存外、俺だったのかもしれないなぁ。

 常磐の部分大変読みづらくて申し訳ないです。

 要約すると浮気するくらいならけじめつけますという話です嘘です。


 ハッピーエンドかバットエンドかは人によりけり。

 頭がおかしいのはまもるです。非道徳的なのは常磐ですが、それをなんの疑問もなく受け入れるまもるはどこかで恋愛観が歪んでしまってます。

 春樹のこともちゃんとすきでした。ただ好きの度合いが常磐と比べて低かったのでしょう。


 純愛なんて言葉の似合わない話にもほどがありますねすみませんでした。

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