2話 突然の再会
しばらくして学校に到着したが、案の定校門は既に閉ざされていた。それを確認した僕はすぐに裏門から校舎へ入り、急いで教室に向かった。どのクラスも既に授業が始まっており、授業中に廊下を歩いている僕に、奇異な視線が向けられていた。やっとの思いで自分の教室にたどり着き、こっそりと中に入ると、それに気づいた先生は、一言放った。
「おい佐藤、バレてるぞ。」
すると、授業に集中していたみんなが、後ろを振り向いて僕に視線を集めた。僕は恥ずかしくて、急いで自分の席に着いた。
全ての授業が終わり、みんなが続々と帰路に着く中、僕も荷物をまとめて、玄関に向かっていた。すると、後ろから少しだけ聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「痴漢冤罪のせーんぱい?」
痴漢冤罪には身に覚えがあったので、僕は仕方なく後ろを振り向いた。予想通り、そこには今朝の女の子が立っていて、にこにこと微笑みながらこちらに手を振っていた。
「痴漢冤罪はやめてくれないかな」
「だって名前知らないんだからしょうがないですよね?
嫌なら名前教えてください!」
何か手のひらで踊らされている気もしなくもないが、とりあえず痴漢冤罪と呼ばれるのは嫌なので名前は教えることにした。
「僕は佐藤翔太、自慢じゃないがただのありふれた高校生だ。君の名前も教えてくれないかな?」
「私、真菜っていいます!せんぱいに謝ろうと思って一日中探してました!!」
一日中という部分に驚きつつも僕は呆れて言った。
「それなら気にしなくていいよ。あれは仕方がない勘違いだからね。それに僕は面倒に巻き込まれるのが嫌なんだ。それじゃ」
そう言って家に帰ろうとすると、真菜が僕の袖を掴んで引き止めてきた。
「せんぱいの家、ついて行ってもいいですか?」
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