1話 平凡な高校生
僕の名前は佐藤翔太、16歳のありふれた高校生だ。
僕は、いつも通りの時間に家を出て、いつも通りの電車に乗り、いつも通りの駅で降りようとしていた、のだが、、
「この人痴漢です!」
隣の女の子が、僕の腕を掴んで、高らかに叫ぶ。
一体どういうことだろう。なぜか僕は身に覚えの無い冤罪を振りかけられていた。
周りで見ている高校生は僕と同じ制服を着ている。
誰か助けてくれないかな〜、なんて考えていると奥から駅員が駆けつけてきた。
「え〜っと、この子が痴漢を?」
そう駅員が聞くと、「そうなんですよ、おしり触られました。」
と、僕の腕を掴んで話さない、女の子が堂々と話す。
さすがにこのままではまずいと思い僕は勇気を持って声を出す。
「あの〜、僕やってないんですけど?」
「そんなわけないでしょ!お尻に触られた感覚があって振り向いたら、あなたと目が合ったんだから!」
確かに目はあったのだが、それだけでここまで決めつけるのか、と呆れていると、駅員さんが、「でもこの子両手に荷物持ってるんだよね〜。」と助け舟を出してくれた。
え?、と素っ頓狂な声を出した女の子がなにかブツブツと呟いていた。
「え、私お尻を揉まれたよね?揉むには手が空いてないといけないわけで、つまり両手が塞がっているこの子は、、、!」
何か考えがまとまったのか、突然手を離して深々と頭を下げてきた。
「ごめんなさい!私何かあったら考え無しにすぐ行動してしまうんです。今回も近くにいたからあなたが犯人だと決めつけて、、ほんとにごめんなさい!」
周りからは、「どういうことだ?」と、疑念の声が上がっていた。
「頭を上げてください、これが冤罪だということがわかってもらえればいいですよ。それでは遅刻しそうなのでもう行きますね。」
そう言って僕は学校に向かって少し早足で歩き始めた。後ろから先程の女の子が何か言ってきていたが、聞き取れないほど距離が空いていたので、気にせずに歩き続けた。
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