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恋のキューピッド、あの人を撃ちまくれ  作者: はっとりおきな
最終章 好き
45/63

第45話 わたしの・だいすきな・ひと

「ぁ――――きゃふ、ァ……ッッ!!!?」

「ははぁっ……! 早速聞いたことのない高い声だ。やっぱり感じてたんじゃないか……!」

「ち、ひッ……!!?」



 鼓動こどうが早くなる。



 ほお上気じょうきし、呼吸こきゅうが乱れる。

 目がうるみ、下半身が――――布の上からこすり続けられている秘所が熱くて、熱くて。



「――はは。はは……オイ。腰動いてんぞ(・・・・・・)

「ちがッ……やめろッ……!!!」



 快感かいかんに歯を食いしばるレピア。



「ッッ!!? 違うッッ!!!」



 いな



 不快感ふかいかんに歯を食いしばるレピア。



 しかし体はもはや意識が朦朧もうろうとするほどの熱に包まれ、意思とは関係なく指でいじくられる腰には力が入り、力むまいとすればするほどもじもじと、まるで、求めるように――



(これが悪魔の――夢魔むまの王インキュバスのっ、魔眼まがん……!!!)

「認めちまえよ。気持ちいいんだろ? もっとして欲しくて(・・・・)たまらないんだろ?」

「死ねッ……!!」

「仕方ないさ。好きな男(・・・・)を想えば誰だって自分をなぐさめくらいするんだ。俺はただそれを手伝ってやろうというだけ。お前にもっとシアワセになって欲しいだけだ」

「耳元でッっッっ、ささやくな……!!!」



 気持ち良い。



「ッ違うッッ!!!!!」



 いな



 気持ち悪い。



「違わないね。こんなにココ(・・)熱くしといて何の説得力もねえよ。なあ!?」

「ああぁあッッ!!!? やぁ、ぁ……!!!」



 こする指が増える。

 二本の指が秘所を、布の上を、突起とっきを、無遠慮ぶえんりょに、はさむように――



「あーん」

「はぁッ……っッ!!?」



 ヨハインが。



 レピアの胸に、下着の上からい付き――くちびるで乳首をいじくる。



「んはァ……この汗と甘ったるいにおい、いい声……最高だぜレピア。鳴け。もっと鳴けメスッ!!」

「ぎっ……!! こ、の――」

オレヲミロ(・・・・・)

「――――」



 見る。



 何のためらいもなく、従ってしまう。



「――――う、そ」



 やっと気付く。



 レピア・ソプラノカラーは――――この女はもう、何一つこの男の命令に(・・・・・・・・・・)逆らえなくなっている(・・・・・・・・・・)ことに。



俺ニ身ヲ委ネロ(・・・・・・・)。辛い思いばかりしてきたろ。だから――今だけは何もかも忘れちまえ。レピア」

「ぁっ……ぁああぁああああああッッッ!!!!?」



 レピアがより目を縁取ふちどる桃色の光を強くさせ、びくん、びくんと体をのけぞらせる。



 感情のない涙が流れ、口の中が知らないねばりけで満たされ、乳首は下着にこすれじんじんと痛み、れたナカに欲しくて欲しくて欲し



「違うぅぅうううッッ!!!!」



 否。



 否?

 何が?

 欲しいことが?

 れていることが?

 乳首が?

 ねばりけが?

 涙が?



(――――違う。アタシは――!!!)



「あぁ。やっと見えてきた(・・・・・・・・)。――そうか。きっかけはあのプールなのか」



「ッッ!!!?」

「プールの中で夢生むうを抱きしめるふう。彼女を心で追い詰めた笠木かさきに怒り、心から彼女を救った夢生むうの気持ちを理解し、すべての想いを乗せて夢生を抱き締めたふう。お前は確信したんだな。夢生と風が結ばれることを」

(何――こいつどうしてそんなっ、)

「流れてくる。伝わってくるぞレピア、そのときのお前の気持ちが。お前の戸惑とまどいが。そうか、そのときから夢生の動きや気持ちが全部ぜんぶ気になったと。ほんとはとっくに自分の気持ちの変化にも気付いていたと。認めたくなかっただけだと」

「だまれ黙れだまってッ、」

「あぁ……なんてことだレピア。お前の心はねじ切れそうだ。……おぉ!? おっほほお、なんてこった、やるじゃないかレピア。まさか食べかけのキャンディを夢生の口に!? これはとんでもないアプローチだ、」

「お願いだからやめてよッッ!!!!」



顔をうつむかせたレピアのほおを、感情のある涙が伝う。

聞きたくない言葉が、押し隠していた心が――悪魔の口から全部ぜんぶぜんぶ、みんなさらけ出されていく。



 少女の体をおか恋堕れんだが、心までもおかし尽くしていく――――



「ハァ……あのさあ。これで『アタシは二人を応援するキューピッド』とか無理あるでしょ。w 何がキューピッドだよ。天使の特権でたまたま行けるだけの夢生の部屋で、風の見てない所で夢生にクソほど直接的なアプローチして……ズルい女だお前は。女。女。女女女女おんな!! お前はキューピッドなんかじゃない。ただの欲に支配されたメスじゃねえか。後先考えず、肝心かんじんな所で感情でしか物事を考えない典型的てんけいてきなメス。そんなことだから下界げかいに落とされるんだお前は」

「……わたし(・・・)、は……女……」

「ああ。汚い汚いただの女だ――そんな女に『神性しんせい』だとか。ふさわしくないよな?」

「あうっ!?――――ぁ、」



 ヨハインが。



 レピアの前髪をつかみ(・・・・・・)、涙に濡れた顔を上げさせる。



「おしおきだ」

「ぁあ…………ああぁぁあ……ッッ!!!!」



 魔眼を見つめる。

 魔眼を見つめる。



 ちていく。



 天使の目が光を――――その「神性しんせい」を、失っていく。



「あぁ……あぅぁ……」

「…………知りたいか? お前が夢生を手に入れ(・・・・・・・・・・)る方法を(・・・・)

「!!!!!!」



 レピアの顔に生気が戻る。

 レピアは風を殺そうと決意した。



「!!!ダメだめだめぇええぇえッッッ!!!!!」

「なんで?? それしかないだろぉだって。夢生は風が好きなんだ。それなら風を事故なり何なりにかこつけて殺せば、その後夢生が立ち直るまではげまし続ければお前の勝ちは確実じゃないか!?」

「違う違う違うッッ!!」

「違わない違わない違わないッッ!! 殺せ。殺せ風を。好きなんだろ夢生が!! おさえ切れないんだろだって気持ちを!? 自分のよだれまみれのキャンディを夢生の口に押し込むくらい欲しいんだろアイツが!!!!」

「やめてやめてやめてやめてやめてやめてっっ、」

「風もサクラも誰も彼も!!!! 夢生に言い寄るオンナはみんな殺しちまえ!!!!!」

「だってそんなわたしを夢生は好きにならないじゃんッッ!!!!!!」



 絶叫し、はじ外聞がいぶんもなくレピアが泣き叫び始める。



「あぁぁああ……!!! あぁぁ゛あぁぁあああ……ッ!!!!」

「………………レピア、」



 ヨハインが、レピアのあごを手でつかみ(・・・・・・・・)――彼女の目を、真摯しんしに見つめる。



「かわいそうに。お前はこんなに傷付いてるのに、雛神ひながみ夢生むうは平気な顔で紀澄きすみふうと幸せになろうとしている。お前にどれだけの傷を与えたかも知らないで……」

「……ヨハイン……」

「辛かったよな。苦しかったよな。誰かに話したかったよな。ちゃんと叱って、あきらめさせて欲しかったよな。そんな人が欲しかったんだよな」

「……うん……」

俺ニ乗リ換エロ(・・・・・・・)

「っ……!」



 ヨハインがレピアを見つめる。

 レピアがヨハインを見つめる。



 二人の目が、近付いていく。



「俺はお前が好きだ、レピア。俺ならお前に嫌な思いなんてさせない。俺が幸せにしてやる。女として生まれたよろこびを、身体にも心にもイヤというほどきざみ込んでやる」

「……ぁ。ぁ、」

「仕返ししてやるんだ、夢生に。ずっとお前をちゅうぶらりんでほったらかしにしたアイツに。悪い提案じゃないだろ、だってお前は――――――俺のことも好きなんだ(・・・・・・・・・・)から(・・)

「……ヨハイン……!」



 感情のある涙が、レピアのほおを伝う。

 うっとりとした目が、桃色に輝く。



 ヨハインは邪悪に笑ってレピアのブラをつめで真ん中から切り落とし、空いた手で下着のひもを優しくほどき落とし――――レピアを一糸いっしまとわぬ姿にする。



 二人の唇が、近付いていく。



「好きだ。レピア」

「わたしm――」



〝僕の天使を――――バカにするなあッッ!!!!!〟



「――わ。わたし、は」

「……………………」



 顔をかたむけ。

 一瞬止まったレピアの頭を、後ろから抱くようにして。



 ヨハインはレピアに、深く口付けた。


ここまでお読みいただきありがとうございます。


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ストーリーを読み間違えていたって構いません。

どんな感想も、いただけるだけでスゴくうれしいのです。


なので完結前でもエンリョせず。

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