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恋のキューピッド、あの人を撃ちまくれ  作者: はっとりおきな
第4章 青春のしがらみ
30/63

第30話 女の子・の・戦い



「下がって地味子ッ!!」

「!」



 コンクリートをけず鉄鎖てっさの音。

 レピアが派手にスカートをめくり、もう片方の銃をホルスターから抜き出し双銃そうじゅうを構え――巨大な十字架じゅうじかくさりで引きながら突っ込んできた霧洩きりえサクラの剣を、受け止める。



「可愛らしい下着。魔物にはもったいない」

「あんたにバケモン呼ばわりされたくないわよ……!」



 火花。



 たが得物えものを引き――同時に相手へ、み込む。



「らああああぁッッ!」

「うるさい、声」



 銃と剣の剣戟けんげき

無限の火花が、レピアとサクラを包み込む。



「くっ……!」



 つかまで合わせても、サクラの腕の長さほどの片手剣かたてけん

 それはあまりにも武骨ぶこつな、何のかざもない鉄の直剣ちょっけん



 がゆえに、切るより叩きつぶすに特化したその鉄剣てっけんを手足のように操り、サクラは容赦ようしゃなくレピアの双銃そうじゅうけずり取り――――銃のキーホルダーが、ビーズが、羽が、床に散乱し、純白じゅんぱく銃身じゅうしんがあらわになっていく。



「チッ、アタシのデコ銃……!」

「魔物でも、多少は心得こころえがあるのね」 



 サクラが、右手の剣を左手に投げ(・・・・・・・・・・)()



「ッ!? ッぅ――」



 左手に投げた剣のつばを指に引っかけ、まるでボールのように――レピアに投擲とうてきした。

「うぉわあああああぁっっ!!?」



 突如とつじょてんとなり襲来した剣を間一髪かんいっぱつ、力技で上へと弾いたレピア。

 視線も体もその攻撃へ奪われた一瞬に――――十字架じゅうじかが、再度バクンと開き(・・・・・・・・)



「レピア前ッ!!」

「ゥいッ――!!?」



 もう一振りの鉄剣(・・・・・・・・)が、サクラの右手で点となりせまる。



(四次元ポッケかあのネックレスッッ!!?)

「おしまい」

「おわっ、ッるかバカッ!!」



 紙一重かみひとえ、レピアがサクラの右手にさきんじ――刺突しとつを右に打ち払う。



「――――」

「もらった――!」



 体のバランスを弾かれた右手に奪われかたむくサクラ。

 振り上げた右手の銃のグリップで、レピアはがら空きのサクラの脳天を叩き割ろうとし、



「あげないわ」

「ッ!!?」



 死の気配を察知したレピアの目が、体が左へ。

 持っていかれた腕の方向に急速旋回(・・・・)するサクラ。



 コマのように体を回すサクラが――上空から落下しようとしていた最初の鉄剣を左手でつ(・・・・・・・・・・)かみ(・・)、回避の間に合わないレピアの顔を、両断した。



「レ――!!」

「――――――ッッッ、」

「!」

「ッアアアああああぁぁッッ……!!!?」



 弾けるように顔から後退したレピアが、苦悶くもんの叫び声をあげる。



 ふうほおを斬られたらしいレピアと――――その傷からあがる、焼けるような音と煙(・・・・・・・・・)を見た。



(そうか、天羽あもう先輩は――!!)

「くっそ何なのコレッッ、なんかメッチャッたァ……!!?」

「その痛みは無視していいわレピアッ!!」

「ッ!?」

「前きてるッ!!!」

「!」

「さっきので、はんぶんこ(・・・・・)のはずだったのだけど――」

「ッ、の――」



 レピアが、銃口を向け(・・・・・)



「――!」



 回避の間に合わなかったサクラが真正面からその光を受け――鉄剣てっけんの一振りがサクラの背後へ弾き飛ばされる。



 後ろびに発砲はっぽうしたレピアは、床を転がりながらふうの下へ戻ってきた。



「ッくゥあ、まだ痛い、ってか熱いッ……ッ変態女ァ、乙女の顔をッ……!!?」

「――『洗礼せんれい武装ぶそう』よ」

「せん……!?」

祓魔師(エクソシスト)が持つ武器は全部コレだと思った方がいい。『魔』なるものへの――――モンスターや化け物に(・・・・・・・・・・)特攻とっこうのある、武器ってこと」

「…………!」

「――レピア。大事なのはここを乗り切ること。あなたが何者であろう(・・・・・・・・・・)()、私は一緒に戦うわ」

「…………これ終わったらあんたとマブになれそう!」

「そう? 私はなれないかな」

(このアマかわいくない……!)



 青筋あおすじを立てながらも、サクラから目を離さないレピア。

 サクラは彼女の視界で、すきだらけに見える背中をさらしながら弾かれた剣を拾いに行っている。



地味子じみこ。あんたあいつのこと知ってんでしょ。弱点とか手短てみじかに教えて」

「……この国には、古来から退魔たいま――文字通り『魔』を退しりぞけることを生業なりわいとした人々がいたの。おに退治たいじ桃太郎ももたろうって知ってる?」

「スゴ〇ンには書いてなかったわね。じゃなくて弱点っ」

「同様に、外国にもこの国の退魔たいまのような組織があってね。歴史の中で、一部が宗教と共にこの国にも伝わってる……って聞いたことがあるわ」

「弱点!!」

「『魔』を『悪魔』と呼び、めっすることを至上命題しじょうめいだいとする――人をえた人間の集団」

「だーもうこの非常時に説明ヘタぴかバカつまり何!?」

「魔物ぜったい殺すマンってこと! バカじゃない!」

「弱・点・は!!!?」

「な・い!!!!」

「くそったれ!!!!」

「うるさいのやめて」



 両手でそう鉄剣てっけんを回転させ、切っ先をそれぞれ下に向けて戦闘態勢を整えるサクラ。

 その姿ほぼ一糸いっしさえ乱れず、ここまでのやり取りで乱れと言えば少しずれた黒ぶち眼鏡のみ。



 レピアが大きく舌打ちし、力無く笑った。



「要するにアタシらでいうトコの悪魔殺し的なヤツ……? 戦闘のプロじゃんあの変態女」

(……アタシら?)

「はぁ。もう破っちゃった後だけど。――ごめんねむー、」



 レピアが。



 白き双銃を突き付け、サクラを睨みつけた。



「約束とか、身バレとか。考えてる場合じゃなさそうだわ」

「ピストル、向けるなら。命をかけて」

「〇ンピ読むなッ!」



 くさりを、剣身けんしんで引き。



たてとした十字架をレピアへと、ひとりして――サクラが駆けだした。



「いい加減邪魔。それ」



 レピアの射線しゃせんふさいでいた十字架が――――コンクリートの上で踊る(・・)



「!!」

 火をいた双銃から放たれた光弾こうだんが盾に相次いで命中、十字架は地面で乱回転らんかいてんし、その隙間すきまをいくつもの弾丸が抜け、サクラを強襲きょうしゅう



 祓魔師(エクソシスト)はそのすべてを、後退しながらそう鉄剣てっけんで残らず弾き飛ばしていく。



(……すごい。これがレピアの本当の――!)



 くだける壁。

 破砕はさきする蛍光灯けいこうとう

 消えるあかり。

 鳴りやむ銃声。



『――――』



 明滅めいめつする蛍光灯けいこうとうの光の中、かちあうレピアとサクラの瞳。



 サクラが腕を下ろし――欠け折れ、折れ曲がった無残な鉄剣の姿を見る。

 正面を見たサクラの視界には、



「オンボロ」



 ――電灯など比較にならないほどの極光きょっこうを放ち伸びる、レピアの背中の三筋みすじの光。



「……天使の、翼」

「(天使……!?)レピア、あなたは――」

「7秒。かせげる?」

「――え」

「ちゃけばヤバい。リロード間に合わない(・・・・・・・・・・)



 苦しい表情で笑いながら、レピアが風にだけ聞こえる声で告げる。

 彼女の前には、破壊された双鉄剣を肩越しに背後に投げ捨てる弱点なしの女祓魔師(エクソシスト)霧洩きりえサクラ。



 ――紀澄きすみふうは苦しい表情で笑い、眼鏡をクイっとしてみせた。



「――ついでにお茶でも飲んで。15秒(・・・)、もたせてみせる」


ここまでお読みいただきありがとうございます。


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ストーリーを読み間違えていたって構いません。

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なので完結前でもエンリョせず。

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