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恋のキューピッド、あの人を撃ちまくれ  作者: はっとりおきな
第3章 惚れ直す一瞬の非日常
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第15話 水着・回は・お約束

『Foooooooo!!!』『ウェーーーーイ!!!』『風ちゃんレピアちゃんのみ・ず・ぎ!!! MI・ZU・GI!!!』

「うるせえぞ外っ!」

「本来なら、プール開きなんて各クラスでちょちょっと済ませるものなんだけど。調べたら、灰田愛はいだめのプールがちゃんと使われるのはこれが十数年ぶりだってことが分かってね」

「え?! 十数……!?」

「ええ。生徒による支配の影響で、防火用にも使われてなかったらしいわ。なげかわしい」

(逆に十数年前何があったの……?)

「だから今回は、前回清掃を終えたプールを実際に使ってみて、水泳の授業を問題なく行うことができるかを試してほしいです。チェック項目は次のページに担当者別にのせてるから、全員で点検をお願いします。私は校舎内に残って見回りを担当します」

『えーーーー!!?!?!?』『風ちゃんの水着は!?!?!?!』「この世に神はいないのか……」「俺の早起き……」

「うっせえなイチイチ外は!!」

(…………僕もちょっと残念だな…………ハァ)

「? どうしたのむーくん。ため息なんかついちゃって」

「ひぇっ!? あ、いや、別にその――……あの。やっぱりこう、先生たちに見回りとか協力してもらったりっていうのは、やっぱ無理なのかなーとか、思ったり……したんだけど」

「うう……耳が痛い限りだよ」

「!? いやすみません伏里ふすり先生ッ、別に僕責めてるとかそういうつもりじゃっ、」

「いや、実際情けないだけの話だからいいんだよ。紀澄きすみさんの尽力じんりょくで生徒会の影響も弱まってきてる今、本当なら教師が一丸となって協力すべきだと俺も思ってるからね。ただ……灰田愛はいだめの教師は立場上、動きを生徒以上に厳しく制限されていてね」

「せ、生徒以上に?」

「うん。もちろん法律のこともあるけど、何より……灰田愛の設立せつりつ経緯けいいがね」

経緯けいい、ですか」

「むーくんが考えてることは、何度か私も伏里ふすり先生と相談を重ねたんだけどね。いつかも話したけど、灰田愛には各界の結構な大物たちが絡んでいて、教師だけで動くにしても限界があるの」

「灰田愛の教師が生徒の暴走を止めないのも、それが理由の一つでもあるんだよ」

「キナ臭せー奴だって話だったよな、生徒会長・天羽あもうの親も。やってらんねえぜ全く」



 斑鳩いかるがが顔をしかめ、背もたれに体をあずけイスを鳴らす。

 天羽あもうの親が政財界の大物である話は、夢生むうも知っているほど有名な話だ。



「でも、確か風ちゃんの家も……」

「大した力はないけど、私も家の力を総動員してはいるの。それでも灰田愛に影響を及ぼすのは難しいみたいで……だから、上から灰田愛を変えるっていうのはまだ時間がかかりそう」

「…………」



 「世界の裏」とも通じているらしい、風の力でも及ばないという生徒会長、天羽家の力。

 やはり天羽の実力も風と同じく「裏」に通ずるものなんだろうか――――と、夢生は背中が寒くなる思いがした。



「でもそれも、天羽先輩率いる生徒会を倒すことができれば、下からこの灰田愛を変えられるかもしれない」

「!」

「不安な気持ちはわかるよ、むーくん。だからみんなで一緒に頑張ろう。私は絶対に諦めたりしないから」



 りんとした風の笑み。

 夢生むうは口元が自然とほころぶのを感じた。



「……うん!」



 力強くうなずく。

 にっこり笑ってうなずき返してくる風。



 ああ、やっぱり僕は風ちゃんが好きだなぁ、と夢生少年は思い直すのであった。



「ま、つまりあんたの家も大したこたないってことね!」

『!』

「ちょりーす☆」



 ガラリ、と一息に開かれる生徒会室の引き戸。



 相も変わらずバッチリ着崩しこなした(・・・・・・・)夏服で――その短いスカートの下をなんとかおがもうと必死なヤンキー達を背景に、レピア・ソプラノカラーはバチコンとウインクを決めながら風紀委員室へ現れた。



「おはよーレピアちゃーん♡」「やっぱいいなぁ、女子がいるのって」「俺今日も風紀の仕事がんばるわ」「言われた通りフルーツサンド買ってきてるよ♡レピアちゃ――」

「皆さん」

『はい』

「ちょりーすじゃない。遅刻よ全裸」

「おっと今朝はしお地味子じみこ? つか全裸って何? 逆に聞くけどさ、登校前に集合してカイギとかつらみしかなくない? 要するに今日はっ、プールで遊ぶってことっしょ!?」

「後でこの全裸にも説明をお願いね、むーくん」

「う、うん(全裸ゴリ押し……)」

「プールっていっぺん入ってみたかったんだよねー、マジブチアゲみざわなんですけどーっ?! えへへっ、アタシ今日のために色々準備してきたんだからぁ」

「では解散。各自よろしくお願いします」

「うし! じゃあ野郎どもとレピアちゃんは水着に着替えてプール集合!」

「さっさと着替えてきてよねー。アタシは先行くからっ!」



 ふんす、と鼻息荒く意気込んだレピアがカバンを置き。



 風紀委員室ド真ん中で、ガバリと制服を、脱いだ。



『――――ッッッ!?!??!??!???!?!?!??!??!』



 ――――それを見た瞬間、夢生と伏里を除く風紀の男達は残らず窓際まで吹き飛ばされていた。



 制服のボタンをはだけたレピア。

当然、ぶるんと制服を押しのけて現れる爆裂ばくれつ双丘そうきゅう

 その柔肌やわはだは、夢生が見た下着とは違う、黒地くろじに金のチェーンなどがついた――いわゆるビキニ、というやつに包まれていて。



 夢生は、風のメガネがヒビ割れる音を聞いたような気がした。



「なん、なんっ……何してんのさ君はッッッ!!!」

「大丈夫か斑鳩いかるが! イカルガーッッ!!!」「ご、ぉ、ぉお……オォオォ、」「ダメだこいつ女にモテないから耐性たいせいなさすぎて鼻血とボッキが止まらねぇ」「おい何だ!? 中で何が起きたっ」「水着か!??!?! レピアちゃんの水着なのか!!??!」「くそっ誰かカギかけてやがるこじ開けろっ」「バカ風ちゃんに殺されるぞ!」「今命をかけずいつかける、俺はくぜ!!」

「キャッハハハ、マジウケるw ホント男共って見てて飽きないわー。ホーラむー、今度は水着だから目ェそらさなくておっぱいイターーーーーーーーーいっっっ!?!??!??!?」



 ――――紀澄きすみふうが、レピアの乳を、全力でひっぱたいた。



「ッ地味子てめ何さらしてくれてんのよひがむにも程があるでしょ!?」

「何さらしてくれてんのはこっちのセリフ!! どんな思考回路してたら学校のプールでそんな派手な水着着ようと思うの!!? 速くスクール水着に着替えてきなさいッッ」

「は? なんであんなコスプレに着替えないといけないのメッチャ変態じゃね地味子あんた。つか持ってないし?」

「どこで育ったらそんなかたよった知識になるのッ! いいからさっさと宿しゅくちょくしつで待ってて! 水着は用意してきてあげるから!」

「はンっ、だぁれがあんたの言うことなんか聞いちょっとまって待ったまった背中のヒモ握んないでそれマジほどけたら見えちゃうから!!!! 覚えてなさいよマジ後でひどいからね地味子プールで思い知らせてやる」

「それはよかった、私はプール掃除にはいないから」

「はぁ!? なにそれじゃアタシやられ損じゃん地味子の勝ち逃げじゃん! ありえんマジぴえん丸ぅぅう――……!!!」



 ――上半身、水着のまま。



 レピアは風に背中のヒモを握られ、多くのヤンキー達の歓声と共にかしましく引き返していった。



「斑鳩、ラマーズ! ラマァァーズ!」「ひー……ひぃー……ぶー」「ダメだまた鼻血だ!」

「……斑鳩は落ち着いてから、床の血を掃除して来い。残りの動ける奴は五分後、プールサイドに集合。以上だ。『トイレ』行って遅れたりすんなよ」



 桐山きりやまの言葉に、田井中たいなか以下いか幾人いくにんかがギクリとしながら前かがみで部屋を出ていく。



 夢生も頭の中から一生懸命、肌色のスイカ二つを追い出しながら――腕まくりをしている伏里ふすりと目が合った。



「はは。相変わらずあの破天荒はてんこうさはスゴいね」

「はは……破天荒というか、恥じらいがないというか……先生、なんか気合入ってますね」

「うん? まあ、そりゃあね」



 伏里ふすりは照れ臭そうに、マスクの奥で笑った。



「やる気がある生徒と一緒にいるのは、やっぱり教師として面白いからね」


ここまでお読みいただきありがとうございます。


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どんな感想も、いただけるだけでスゴくうれしいのです。


なので完結前でもエンリョせず。

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