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強竜ロボ ジーレックス  作者: なろうスパーク
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第11話「最終四部作・第二章!同盟結成」

「う………ん………」



翔太朗が目を覚ますと、目の前に見えるのは白い天井。


見覚えがある。

初めてジーレックスに乗ったあの日、疲労で気を失って運ばれた、鳳研究所の医務室。

あの日も、ベッドの上でこれを見た。



「ここは………うっ」

「翔太朗くん!」



どこかを痛めたのか、ベッドから起き上がると痛みが走る。

そんな翔太朗を、隣にいたまりんが支える。



「ま、まりんさん………俺は………」



翔太朗は、今までの事を頭の中で整理する。

キマシティウスとの決戦の最中、白いロボットに襲われて………。



「そうだ………白いロボット!」



あの白いロボットに圧倒された事を思い出し、翔太朗は慌てた様子でまりんに問いかける。



「まりんさん!あの白いロボットは………白いロボットはどうなったんですか!?」

「お、落ち着いて、翔太朗くん!」



そんな翔太朗をなだめ、翔太朗が落ち着いた様子を見せると、まりんは口を開いた。



「今は………町の真ん中で静止してるわ」





………………





ジーレックスを中破に追い込んだ白いロボットは「飽きた」とだけ言うと、そのまま眠るように活動を停止した。


ジーレックスとバーサークインが手も足も出なかった惨状を前にした各勢力は、とてもこの隙に白いロボットを攻撃しようとは思えず、

中破した双ロボットを回収し、逃げるように自らの拠点へと戻ってきた。


ジーレックス達は、鳳研究所に。

バーサークイン達は、母船共々地球の軌道上に。



「………では、今ワシらが戦っている存在は「アンチ」と言うのじゃな?」

『ああ、我々はそう呼んでいる』



モニター越しに鳳博士と話しているのは、軌道上にあるキマシティウス母船にいる、四天王のシアラ。

サンアコールは助かったが意識不明の状態であり、現在はシアラが代理でキマシティウスの指揮を取っているのだ。



『奴は、いわば宇宙を荒らす、意思を持った災害………悪意と冷笑しか存在しない』



白いロボットは、「アンチ」という俗称をつけられていた。

その、誰が作ったのか、どこで生まれたのかの一切が不明であるそれは、いつの頃からか宇宙の様々な星を滅ぼして回っていた。


ありとあらゆる兵器や生物を上回る力を持ち、目につけた星を次々と滅亡させる。

その星の抵抗を、冷笑しながら見下し殲滅する様は、さながら高二病を拗らせた悪質なアンチのよう。

対象がアニメやラノベから、宇宙に生きる全ての生命に移っただけの違い。


故に、それは「生命へのアンチ」という意味を込めて、アンチと呼ばれるのだ。



『奴に滅ぼされた星は数知れない………私の本来の母星も含めて、な』



シアラも、そんなアンチに故郷を滅ぼされた者の一人。

侵略勢力であるキマシティウスではあるが、シアラのように故郷をアンチに滅ぼされて加わった者も少なくない。



「一応聞くが、今の地球の戦力………ワシら以外の、世界中の軍隊を含めた戦力で、アンチを倒す事はできるかの?」

『今解析班にも調べさせたが………1%にも満たないという事だ』

「左様か」



鳳博士も、そんな気がしていたと言うように、ため息をつく。



『………我々から、提案がある』

「何じゃ?」



少しの間を起き、意を決したようにシアラは頭を下げる。



『あのアンチを倒す為、今だけ同盟を組んで欲しい!』

「………なんじゃと?」

『都合のいい意見なのは解っている、だが、アンチを倒す為には少しでも力が必要なのだ!頼む!!』



男を醜い物として見下し、バカにしているキマシティウスの、それも四天王が、男である鳳博士に頭を下げる。

異様な光景であったが、アンチの恐ろしさを身を持っているシアラだから、出来た事と言えるだろう。


しかし、鳳研究所サイド………と言うより地球から見れば、今まで侵略攻撃を仕掛けてきた相手から、強敵を理由に協力を申し出されているという状況。

普通に考えても、筋の通る話ではない。

いくら美少女でも、許せる事と許せない事がある。


罵声と共に断られる事を覚悟していたシアラだった。

だが。



「………くくく………ふふふふ!」



鳳博士から帰って来たのは、口汚い罵声でも、公私混同しているシナリオライターが書いたような論破でもない。

笑いであった。



「大いなる敵を目の前に、敵と手を組み立ち向かう!なんと、熱い展開じゃ!これぞロマンじゃ!スーパーロボットじゃ!!」



鳳博士からしたら、その展開は彼の望む「ロマン」その物だったのだ。


もしこれが、某この星の明日の為のスクランブルをするゲームだったなら、即座に白目の少ないイケボ艦長や戦闘のプロフェッショナルが居たなら、修正という名の鉄拳が飛んで来ただろう。


が、この作品はジーレックスであり、何よりジーレックスはそのゲームに参戦していないので、鳳博士を止められる者は誰もいない。



「よし!君らと組もう!力を合わせ、宇宙怪獣アンチを撃退するのじゃ!!」

『いや、宇宙怪獣ではないのだが………』



不安要素はあるが、こうして鳳研究所とキマシティウスの間に、一時の休戦と同盟が結ばれたのであった。





………………





なんとか激戦を逃れ、研究所に逃げ延びた香織とミズメロディー………ことメロディーは、格納庫の側で整備されるバスターロックスを前に、一時の休憩をしていた。


ちなみに、バスターロックスのサブパイロットであるメイド達はというと、奥の方でジーレックスの修理をしている整備班の手伝いをしている。



「聞きました?メロディー先生、私達、キマシティウスと協力するらしいですわ」

「オゥ!それは本当デース?」



こんな時でも、香織は紅茶を嗜み、メロディーはハンバーガーとコーラ。

なんとも、ステレオタイプのキャラ付け。

作者はきっと、バカなのだろう。



「納得はいきマセンが………相手が相手、仕方ないデース」

「私もそう思いますわ」



今まで敵対し、戦っていた相手と手を組むというのは、現場で戦っていた彼女達からすれば納得のいく話ではない。

だが、彼女達の中ではそれに対する怒りよりも、「仕方ない」と「助かった」という感情の方が勝っていた。


無理もない。

彼女達は前線で、それまで無敗だったジーレックスと、それを圧倒する力を持ったバーサークインが、アンチに叩き潰されるのを見ているのだ。

おまけに、そのアンチは活動停止しているが未だに地球に止まっており、自分達はそれと戦わなければならない。


ジーレックスも、今は修理中な上に、パイロットの翔太朗は医務室行き。

猫の手ならぬ、キマシティウスの手も借りたくなるという物だ。



「………自衛隊の協力はどーデスカ?」

「無理ですわね、市民団体がアンチを「宇宙から来た貴重な存在を攻撃するのか」ってデモしてますし………あと、それを言うならアメリカ軍も知らんぷりですわよ?」

「グーの音も出マセーン………まあ、彼等が得意の軍事力で侵略者に立ち向かうなんて、所詮は大作映画の中の絵空事デース」



地球の軍事力も、方や勘違いな左肩な勢力に押し潰され、此方アジアの小国の驚異は知らんぷりと、まったく当てにならない。


結局、自分達だけで立ち向かうしかないのだ。

あの、地球最強の兵器であるジーレックスを、単体で中破させる程の相手と。





………………





戦いの余波をうけ、廃墟となった埼玉市街。

戦いの前に既に住人の避難は済み、死人は一人も出ていない。

しかし、マスコミはきっと鳳研究所やジーレックスをバッシングする為に利用するであろうそこに、アンチはその白い機体を佇ませている。


活動停止から、どれ程過ぎただろう。

日が沈み、夜が来て、そして再び太陽が地平線の向こうから顔を出した、その時。



『………そろそろ、遊んでやるか』



メーターのような目がぼんやりと光り、忌々しい白い機械の悪魔が立ち上がる。

その冷淡な目が見据えるのは、地球防衛最後の砦=鳳研究所だ。





………………





「………目覚めたか!」



鳳博士は、監視モニターを前にして呟く。

アンチが再起動し、鳳研究所に向かい飛翔したのだ。


見れば、軌道上のキマシティウス母艦からも、アンチ迎撃の為のリリィナイトの大群が出撃してゆくのが見える。



「ようし!こちらも虎の子を出すぞ!!」



瞬間、ジーレックスの物とは別にある、研究所のカタパルトが開く。



『バスターロックス、発進しますわよ!』

「ミズメロディー!ゴースマァァッシュ!!」



キャタピラを高速回転させ出撃してゆくバスターロックスと、後に続いて空に飛び上がるミズメロディー。

だが、鳳研究所の「虎の子」は彼女達だけではない。


研究所の正面。

そこが開き、それこそワンダバな感じで現れるカタパルト。


そこには、ジーレックスに似た意匠を持つ、前傾姿勢スタイルの恐竜型のメカがずらり。

ジーレックスの半分の20mの大きさだが、その腕には翼のようなパーツがあり、尻尾にはジェットエンジンまである。


この機体は「ジーラプター」。

ジーレックスやバスターロックスから得られたデータを元に完成した、AI制御の量産型ロボットだ。

………見るからに飛行型であるこの機体のどこに、空を飛べないジーレックスやバスターロックスのデータが使われているかは、想像に任せる。



「ジーラプター部隊、出撃!!」



ジェットエンジンに火が入り、ジーラプター部隊は次々に、戦いの空へと飛んでゆく。


………地球最大の決戦が、始まろうとしていた。

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