表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
強竜ロボ ジーレックス  作者: なろうスパーク
10/16

第8話「ドキッ!水着だらけの相撲大会」

轟風が吹き荒れ、豪雨が窓を打ち付ける。

真夏の空に現れた、自然の物ではない台風は、未だに晴れる様子はない。



「止まないなァ………」



ガタつく小屋の中で、翔太朗は毒づくように呟いた。





………………





事の発端は、夏休みのある日。

海に行く計画を立てていた翔太朗と香織。

風邪で欠席した弥生と入れ替わるように、保護者としてまりんが同行する事となり、いざ出発しようとしていた時の事。


気候を操る人魚型リリィナイト「ヴェロッサ」が、太平洋上に出現。

ジーレックスは整備中だった為、操縦サポートの為にまりんをコ・パイロットとして乗せ、香織のバスターロックスを援護としてつけ、出撃した。


ジーレックス初の海上戦闘という事もあり苦戦したが、同じく海水浴計画を潰されて怒って出てきた、メロディー・スワンことミズメロディーが新コスチュームを引っ提げて援軍に加わり、ヴェロッサの撃破に成功した。


………問題は、この後である。

ヴェロッサを倒しても、台風は消滅しなかった。

生身のミズメロディーや整備中だったジーレックスでは台風から脱出出来ず、近くの島に偶然あった小屋に全員避難する事になった。


唯一万全の状態であったバスターロックスで、メイド二人が本島に助けを呼びに向かい、今に至る。


………バスターロックスに全員乗せてもらって帰れば良かった事に気付いたのは、バスターロックスが島を離れてからだった。



「もう夜の9時デース………」

「この小屋、潰れたりしませんですよねぇ………」

「作りが頑丈ですから、大丈夫だと思いますわ」



小屋に残されたのは、翔太朗、まりん、香織、メロディーの四人。

不安そうな女子組に、しっかりせねばと自らを正す翔太朗。

その時。


………グウウ


翔太朗の腹が鳴った。

そういえば、朝ご飯を食べてすぐに出撃したから、お昼も晩御飯も食べていない。



「そういえば………お腹が空いたですぅ」

「オゥ………ワタシも腹ペコデース………」



それは、女子三人も同じ。

このままでは、メイド達が助けを呼んでくるまで空腹と戦う事になってしまう。


どうしたものかと、翔太朗が辺りを見回す。



「………何か入ってねーかな」



翔太朗が立ち上がり、小屋の中に置かれた銀の冷蔵庫に向かう。

大きめの料理店に置かれているようなアレだ。



「翔太朗さまっ、電気が通ってるとは思えませんし、流石にこの中にある物は腐ってるのでは………」



制止する香織だが、今はこの冷蔵庫に賭けるしかない。



「その時は………あきらめて空腹と戦おう」



翔太朗が冷蔵庫に手をかけ、開く。

案の定電気は通っておらず、開けても冷気は無かった。

だが、その代わりに。



「………何だ?これ」



冷蔵庫の中にあったのは、アウトドアで使われるような古いカセットコンロと、ガスボンベ。

そして、魚の物と思われる10枚の干物だった。

どうやら、この冷蔵庫は倉庫として使われているようだっな。



「あっ!干物ですぅ!」

「イエスッ!これを食べましょう!」



泥棒のようだが、背に腹は変えられない。

翔太朗達は喜び、カセットコンロで干物を炙り始める。



「でも………これは何の魚だ?」



だが、その干物が何の干物かまでは解らなかった。

ウナギやアナゴのように細長いが、口には蛇のような牙が生えている。

エラが見える事から魚類である事は解るが、見たことのない魚である。



「翔太朗さま、どうかしましたの?」

「あ、いや、何でもない」



だが、疑問よりも食欲が勝った翔太朗は、女子三人と同じように、干物をカセットコンロの火にかざして炙るのであった。





………………





名称:マムシウナギ

学名:ズコバコヤール・マジワール

分類:ウナギ目マムシウナギ科


太平洋に生息するウナギの一種。

肉食かつ獰猛で、魚でありながら蛇のような鋭い牙を持ち、自分より大きな相手にも襲いかかる。

その肉には精力増強の効果があり、食べた者は男女問わず発情する。

この事から、太平洋に近いハワイやポリネシアの一部の民族は、求婚の際に相手にこの魚の肉を送る風習がある。

その特徴から、日本に輸入で入ってきた際にこの「マムシウナギ」の和名がついた事も、併せて有名である。


また、精力料理としての力が最も発揮される料理は干物であり、炙る際に出る香りですら、嗅げば欲情を駆り立てる。


………明民出版「世界の精力料理」より抜粋。





………………





炙った干物を口に含む翔太朗。

パリッという心地よい音と、甘辛い味が口の中に広がる。

これで、一晩空腹に苦しまずに済みそうだ。



「………熱い」



だが、どういう事だろうか。

妙に身体が熱いのだ。

雨に当たって風邪を引いたのかとも思ったが、身体が火照るばかりで、風邪特有の吐き気や気だるさは感じない。


それに。



「はあっ………はあっ………」

「あっ………ふうっ………」

「オゥッ………ンンッ………」



身体が火照っているのは、翔太朗だけではない。

まりんも、香織も、メロディーも、顔を赤らめて荒く息をしている。



「(妙だな………どう見ても皆が、色っぽい………)」



翔太朗は、心の中で呟いた。

女子三人共スタイルがよく、普通に美少女or美女に分類されるからというのもあるが、普段見るよりも遥かにセクシーに見えるのだ。



「………熱いな………上、脱いでいいか?」

「ど、どうぞどうぞですっ!」

「わ、私たちも熱いですわ!脱いじゃいましょうですわっ!」

「ズボンも!全部脱ぐデース!キャストオフデースッ!」



熱さを理由に、服を脱ごうとする一同。

その時。


………パァンッ!



「あっ………」



勢いよく脱ごうとした事で、まりんの服のボタンが飛んでしまい、Jカップの胸の谷間が露になる。

まりんのサイズがサイズな為に、いつも研究所で見られる光景である。



「(このテストパイロット………すけべ過ぎる!!)」



だが、今の翔太朗の目には、それは非常に淫靡で、艶かしく見えた。



全員、本来なら海水浴を予定していた為、服の下に着ているのは水着である。

人の目に見られる事を前提とした格好なのだから、別に脱いでも問題ない。


問題ない………はず、なのだが。



「(………なんだ、これは)」



まりんの水着は、フリルのついたワンピースの水着。

本来なら少女的な可愛らしい水着なのだが、Jカップの巨乳に引っ張られた布が、倒錯的なエロスを醸し出している。

乳房の形も、程よく垂れた釣り鐘型であり、柔らかく包み込むような母性を演出している。


香織の水着は、彼女の通う従来院女子中学指定の、青いラインの入った競泳水着。

淫乱ピンクとはよく言った物で、パツンパツンに張った布により形作られる巨乳と程よく出た腹肉のラインが、肉感的な色気を表している。

本人は自覚していないが、男の遺伝子情報を受け止め、育てる事に特化した「女の身体」だ。

この色気で、清楚な女学院の生徒会長を名乗るのはいささか無理がある程に。


メロディーの水着は、驚く事なかれ、スリングショット。

玉を飛ばす武器のパチンコではない、V字型の紐ビキニだ。

そう、水着と言うよりは、もはや紐。

そしてメロディーは、アメリカの元ヒーローである故に、柔らかさや肉感では負けているが、引き締まった健康的なエロスを持つ。

同時に、ツンと張った形のいいアメリカン・ダイナマイツ・ヒュージ・ティッツを併せ持つ。

かつてアメリカの勝ち組達を魅了し、今は大野学園の男子達を悶々とさせている「ソレ」を、今男で見ているのは翔太朗のみ。

その事実が、翔太朗の「雄」を刺激した。



そして、内に眠る肉欲を刺激されたのは、翔太朗だけではない。



「………ヘイ、ショータロー」

「は、はいっ………!」



メロディーに呼び掛けられる翔太朗。

下心を込めて見られていたのがバレたかと警戒したが、メロディーは。



「ユー………少し見ない内に、グッド・ルッキング・ガイになりマシたね………」

「へっ?」



性的に見えているのは、何も女子組だけではない。

三人の目から見ても、翔太朗は魅力的に見えていた。


細身に見えて、意外に鍛えられている身体。

まるで野を駆ける若獅子のごとく、母性愛を刺激する可愛らしさの中に、男らしい逞しさが隠れ見えている。

彼女達の雌の本能が刺激されているというのもあるが、若くて健康で強い雄である翔太朗は、人間社会的にも、動物本能的に見ても魅力的に見えた。



「よ、よせよ、恥ずかしい………」



グッド・ルッキング・ガイの意味が解る翔太朗は、照れ隠しに笑う。

そして、この状態でそんな仕草を取れば。



「(可愛いですぅ………♡)」

「(可愛いですわ………ッ♡)」

「(イッツキュート………♡)」



三人共ハートを撃ち抜かれるのは、当然と言えた。



四人は、何も知らない子供ではない。

いや、4人中3人は日本の法律に当てはめれば未成年だが、生物としては子孫を残す準備の整った「成体」であるし、その為に何をするかは学校の性教育で既に学んでいる。



「(し………シたいですぅ………!)」

「(でも………でも………ッ!)」

「(ソーシャルの立場が………!)」


だが、それでも「あと一歩」を踏み出せない。



「(これを前にして………俺は………ッ!)」



女子三人は兎も角、翔太朗ですら手を出せない。

未成年との「アレ」が罪に問われるのは、現実の世界も同じ。

三人も翔太朗も、互いを大事に思っているからこそ、手を出さないでいるのだ。


………とはいえ、この作品はおふざけ全開のジーレックス。

そんなお上品な綺麗事など、通じません。



「み、皆ッッ!!」



翔太朗が立ち上がった。

女子三人が見つめる中、履いていた海パンをTバックのようにする定番のおふざけをする。

そして尻をパァン!と叩いて、一言。



「相撲取ろうぜ!!!」

「「「(それだッッッ!!!)」」」




そう、「相撲」だ。

これから皆で「相撲」を取るのだ。

そう、身体を重ね、押し合うスポーツだ。

何のやましい事もない。



………そして、「相撲」が始まった。



「やあっ♡あっ♡これイイっ♡いいですぅっ♡やあんっ♡♡」



取り組み中。



「んはあっ♡あァンっ♡もっとっ♡激しくドスコイしてですわあっ♡♡」



取り組み中。



「オォンッ♡オゥッ♡イェース♡オゥイェース♡シィーハッ♡シィーハッ♡」




だから取り組み中だってば!!



「「「んひぃあぁぁぁ~~~んっ♡♡♡」」」



………ごっつぁんです。





………………





やがて、夜が明けた。

台風は既に無く、水平線から昇る太陽に照らされて、一機の救助ヘリが飛んでいた。

助けを呼びに行ったメイド達が呼んできた物だ。



『ジーレックス発見!一同の姿もあります!』



幸い、小屋のある島には50mサイズのジーレックスを鎮座させておいたので、場所は直ぐに見つかった。


朝焼けに照らされ、こちらに向かってくる救助ヘリを見ながら、翔太朗達は取り返しのつかない事をしてしまったような顔を浮かべていた。


四人は、何も知らない子供ではない。

自分たちが「相撲」と言い張ってした事が何なのかは、説明できる年齢だ。

そして、それが彼等の社会的地位を破壊する行為である事も。



「………皆………俺も言わないから………誰にも言うなよ」

「「「………うん」」」



真夏の、嵐の夜。

一時の性欲に身を任せ、互いの人生に楔を打ち込んでしまった、四人なのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ