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壮大な計画

壮大な計画を考え実行するために色々画策する。

 <<翌日・アサシンらの部屋>>


「予定時間が迫っている、急いで構築するのだ」


 交渉団一行がクーンに向かう少し前の時間、奴らは何らかの機材を持ち出し、バタバタと慌ただしく動きまわっていた。


 「スターゲイザーとのリンク完了、間も無く総統府と繋がります」


 小さなパラボラアンテナが窓際に置いてあり、それは軌道上の探査艦に向けられ本国のセオドールの執務室と繋がろとしていた。定時連絡とはいえ通常回線は盗聴されるし暗号化チップを使うと阻害されるので、このような方法を取るしかなかったのだろう。


「セオドール閣下万歳!」


 訝しげな表情のセオドールが映し出されると真剣な表情で敬礼を決めている。忠義を誓うのは別に悪いことではないが不敵な笑みを浮かべ、狂信的信者のように眼光は狂気に満ちていた。


「ご苦労、士官が戻って来るらしが3名とは少ないな」

「それはルドルフが早々に諦めたのが原因かと思われます」


 最初から疑いの目を向けているので、アーレイとのスマートなやり取りが癪に触ったのか、アサシンの男はわざと猜疑心を加速させるような言い方をする。この軽率な一言でセオドールの表情が曇ったのは言うまでもないだろう。


 「結局アーレイ暗殺はできなかったのだろ、でどんな状況だったのだ」

 「実はステルスドロイドに取り囲まれていまして・・」


 あくまでも捕虜よりアーレイ暗殺のことが気がかりなセオドールは現状を問いただすと、アサシンの男らは素直に失敗だと語る。もちろんご機嫌取りをするためにルドルフが気が付いたなどということもなく、自分らが発見したような口ぶりだ。


「最初からドロイドの事を知っていたんじゃないのか、ここまでスムースに進むと疑いたくもなるな」

「証拠や確証はありませんが手土産の交換を行い、随分と仲が良い関係だと感じました」


 初めから疑ってかかり、そもそも気に食わないのも相まって仲が良いと余計なことを言い放ち、セオドールの表情はますます曇り悪代官のように成る。


「それは聞き捨てならんな、既に懐柔されたのだろう、頃合いを見て処分だな」

「それが最良かと思われます閣下」


 独裁者は実直に働き成果を出すルドルフのスピード感と「親しいかも知れない」の言葉だけで疑い、既に裏切り者としての烙印を押そうとしている。波長が合う2人だからこそ出せた成果なのだが、それが猜疑心を加速させたのは皮肉と言うしかない。


 アーレイ「成る程な〜こりゃ早めに動くしか無いね~」


 デルタの周回軌道上に向け、極短波のマイクロ波をピンポイントで発砲したとしても、後方に隠れている探査船フォウルスターなら余裕で受信するし、簡易な暗号などたちまち解析してしまう。送られて来た通話内容を聞いたアーレイはニヤリと口角を上げ一路クーンを目指す。


 ーー


 <<クーン周回軌道上・ベクスター>>


「予定より早く到着したナノ、ベクちゃんはやっぱ早いナノ」

「色々やる事があるから後は任せた」


 合流時間前に現地入りをしたアーレイは後部座席へと場所を移す。勿論アサシンらの通話内容を聞いて次の一手を打つ手立てを考える為だ。


「レン、ルドルフからのメッセージなんだけど聞いてくれないか」

「わわわ、いきなり愛称で呼びますか!」


 自ら愛称でお願いと申し出たし2人っきりなので呼んでみると、顔を赤らめイヤンイヤンし始めてしまい話が進まない。ジト目になったアーレイはメッセージを強制的に送ってみた。始めは無表情で聞いていたが終わりに近づくにつれ、目を見開き悲しい表情へと変わる。


「アーレイ様は彼を死なせるつもりはありませんよね、どうやって解決するおつもりなのでしょうか」

「簡単だよ、弱みを潰せばいいだけだ。協力してくれるよね」

「勿論です。それでどんな作戦を立てるのでしょうか」


 作戦の内容を聞く前に承諾する潔さは中々好ポイントで、ワクワクした表情に変わる姫様をアッと驚かせようとアーレイは耳打ちをする。


「なっ、簡単なお仕事だろ」

「あのーどうやって敵国に入国するおつもりですか(呆」

「取り敢えずクリスに承諾を貰わんと始まらないかな~(笑」


 とんでもない計画を聞いたお姫様は呆れ返ってしまうが、合流時間が迫る中アーレイは急いでクリスに連絡を取り始める。彼はいま今ルドルフ達を引き連れている最中なので、壮大な計画を聞けば卒倒するかもしれない。不敵な笑みを浮かべ回線を開いた。


「おはようクリス、取り敢えずこれ聞いてくれ」

 <おはようアーレイこっちは予定通りだな>


 シャトルの操縦席に座っているのかヘッドセットを付けたクリスが映し出される。そしてフローレンス同様メッセージを聞き始めると途端に表情が硬く厳しくなり、最後はやるせない気持ちになったのか目が座り始めた。


 <それで君は何を企んでいるんだ。既に楽しそうじゃないか>

 「以前、親子の所在について調べたでしょ、あれが役に立つとは思わんかったわ(笑」

 <おいこらどうやって連れ出すつもりだ。敵国だぞ簡単じゃ無いぞ>


 人質を取られているのであればその弱みを無くせばいいだけで、要はルドルフの家族を保護してしまえとアーレイは考えている。証拠を残さず連れ去れば敵の諜報部は混乱すること間違いないが、そんな荒唐無稽な誘拐をどうやって実現するのかを、想像できないクリスは困惑した表情を浮かべていた。


 「詳しい説明は後だ、カルネに仕込みをしなくちゃならんのでな」

 <そう言う事か、陛下にちゃんと説明するんだぞ>


 合流時間まで残り10分を切っていることもあり、理解したクリスは深く追求することなく画面から消える。隣で聞いていたフローレンスに「良くもまあ気軽に動きますね」と笑われる始末だ。とはいえ実行するには時間を作らなければならず「意表を突くことが大事なんだよ」と言いつつラーに連絡を入れるのだった。


 <<クーン宇宙港・合流時間>>


 「シャトルがゲートアウトしたナノ」


 集合時間の少し前にゲートから2台のシャトルが姿を現わす。乗っているのは勿論ルドルフ御一行様だ。簡単な挨拶を交わした後に地上に降下してレティシア捕虜収容所に向かうことになっている。


「おはようルドルフ准将、いきなり悪いが捕虜の一人が急病だ。なのでこのまま病院に向かってくれ」

 <おはようアーレイ少佐、事情は承知したが急病とはいやはや珍しいな>


 開口一番とんでもない事を言われたルドルフはアーレイの口角が上がるのを見て、何かやったなと勘繰りフッと鼻で笑っていたよ。因みに所長のラーに何でもいいから証拠を残さず、36時間は動けないようにしてくれと頼んである。やり方は言わなかったけどたぶんテイマーが精神操作するはずだ。


「明日の夕方になるとかラーは話していたな、俺は急用でデルタに戻るわ(笑」

 <あははわかったよ、急用とはなんだよまた戦争か>

「いやそれがさー、誘拐事件があってさ「偉い人の親子」を助けに行かなきゃならんのよ」


 軽い会話の中にヒントをぶっ込むアーレイは言い終えるとにやりと笑う。だが自分の妻子を拉致すると想像すらしていないルドルフは<本当に君は有名人なんだな>と言ってさらりと流した。


「それじゃ君に押し付けて悪いがここでさよならだ。そうそうタマネギ渡したら《《袋》》も気に入っていたぞ」

 <もらった酒は凄く美味かったよ、それじゃまたな>

「ああ、また会おう」


 敵国同士とは思えない軽いやり取りで通話を終えると画面からアーレイは消えて行く。後方で訝しげな表情を浮かべていたアサシンたちはその態度が不服らしく、こめかみに血管をピキピキと浮かべながらルドルフを取り囲んでしまう。


「おいルドルフなんだ今の会話は、ふざけているのか」

「ふざけちゃいないさ、あいつは軽口を挟む愉快な男なんだよ、聞いてて気が付かないのか」

「交渉に関して何も言わないじゃないか、どうするんだ適当に金を置いていけばいいのか」


 事務方でもないのに一々首を突っ込んで来るコイツらは本当にウザいし、交渉の素人だから害悪でしかない。金額の事を話す前に値切れとかいうし、ルドルフ的には正直撲殺したい気分になっていた。


 「士官3名は罪を認めたのでまぁ1人25億ってところだ、5名多く渡したので差し引き70億は出さないとだめだろうな」

「なんだと、そんなに高額なのか信じられん。了承しているなら精々20億でいいだろ」

「阿保かお前は、そんなことしたら残りの士官の交渉が難航するだけだ。なんなら君が代わりにやれよアーレイは強かだぞ」


 阿呆な奴を相手したく無いので交渉を丸投げしてみると、アーレイとは接したく無いのか苦虫を噛み潰したような表情に変わり「とりあえず2人を回収する」と言葉を荒げた。


 ーー


 <<クーン周回軌道上・ベクスター内>>


「と言う訳で、ルドルフ達の戻りは明日の午後だね(笑」

「カルネ経由は理解しましたけど、どうやってディスティアに入るのでしょうか旅行者では無理ですよ」


 耳打ちした時にルドルフの家族を助けに入るとしか暴露してないので、疑問に思ったので聞いて来たのだろう。なのでアーレイは「ジャクリーヌの権限を利用するのさ」と言ってみた。


「えー、気軽にジャクリーヌ様に会いに行くって斜め上過ぎませんか、けど楽しそう」

「今から連絡してみるけどな、じゃポコとりまデルタに帰ろう」

「了解ナノナノ」


 思い付きで始めた誘拐作戦はジャクリーヌの協力抜きでは実現できない。なのでブラッドを餌にして急なお願いを聞いて貰うつもりだ。やり方が外道と言われればそうかもしれないが、事態は急を要しているのでなりふり構ってはいられないし、会話を聞かれたくないのでモジュールの共有設定をこっそり外し連絡を入れる。


「ジャクリーヌ、悪いがディスティアに入りたいので協力してくれないか」

 <はい、勿論喜んで協力致します。ブラッド様とご一緒ですよね♡>

「まあ何だ仕方ないな~(棒」


 あらかた予想はしていたが餌を撒く前に本人が早速食いついたので、仕方のないの体で話を進めることにする。とりあえず難しいとは言わないので問題なくディスティアには入れそうだ。


「わかっているではないか我が友よ」

「頑張れー期待しているぞー(棒」


 脳内で嬉々とした声でブラッドが呟いたので、相思相愛だからジャクリーヌのお相手を任せればいいかと勝手に納得したアーレイだったとさ。


ーー


 <<デルタ王宮・謁見の間>>


 急いでいるのとクリスはルドルフの対応中なので、ベクスターを作戦本部に駐機させそのままフローレンスと共に王宮へ入る。もちろん緊急の報告と語り順番待ちなど無視して謁見の間に急いだ。


「おはようございます陛下、捕虜解放を完遂するにあたってちょっとカルネに行って来ます」

「はっ?」

「もちろん私も同行する次第です」

「え゛っ?」


 挨拶もそこそこカルネに行くと申し上げれば斜め上過ぎたのかポカンとされ、隣に立つフローレンスもほぼ同時に宣言するとジェフは困惑した表情を浮かべる。隣に座るアイシャは扇子で口を隠し「ククク」と笑い、それが合図になったのか珍しくアーレイでは無く最愛の娘との掛け合いが始まってしまう・・。


「ジャクリーヌ様にお会いしますので、伝言が御座いましたら何なりと申し付け下さい」

「将軍様に気軽に会いに行くっていう其方はアーレイに似て斜めになっていないか」

「いやーんもう陛下ったら、想い人を追う私にとって最高の褒め言葉ですのよ(嬉」

「フ、フローレンスまさか本気で惚れているのか、てっきり俺は家の為だと思っていたのだが」

「落とせと言われる前から好意を抱いていましたけど何か(ドヤ」

「えー!そうだったの、なんで教えてくれないの」


 例え王族であっても父親に好きな男のこと話すなど稀なことで、相談された母親が頃合いを見て告げるのが先だろう。なのでアーレイを振り向かせなさいと明言しているアイシャは結果を出すまで静観していたので知らなくて当然なのだが、そもそも勘違いしていたらしい。


 「俺がアーレイに頼んでも拒否するのを見越して、自力で振り向かせようとしていたのか(小声」

 「娘の恋路を邪魔するのは無粋ですわよ、もう今頃気がつくなんて鈍感よ(笑」


 口元を隠し2人には聞こえないように話しかけたジェフは、したり顔で返すアイシャを見て珍しく苦い顔になっていた。仲間外れというか疎外感を感じてしまったのだろう。だが会話に加わらず思い切り明後日の方向を向いているジト目のアーレイの態度を見れば恋は未だ実らずと察し、機転を利かせ快く送り出さなければと考えを改める。


 「わかったフローレンス好きにしたら良い、モジュールを更新したら出発しなさい」

 「承知しました陛下、これにて失礼致します」


 もう心の中はカルネに向けられているのか颯爽と踵を返したフローレンスは晴れやかな笑顔で出口へと向かう。強権発動せずに終え安堵したアーレイは再燃しないよう物静かにあとに続いてゆく。そして姿が見えなくなると・・。


「婚姻に関しては予定通り、アブラム家に嫁がせるよう進めなさい」

「察していただき感謝いたします陛下。レンとの距離が近くなるのを願うばかりです」


 非道と思われてもしかたないが、王女は18歳になれば婚約発表するのが習わしでフローレンスもそれにもれず従わなければならず、ジェフは期日を切る事で加速させようと企む。それを理由に詰め寄られるアーレイは迷惑かもしれないが、それだけデルタに残って欲しいという表れでもある・・。

宜しければブクマお願いします。

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