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攻めのフローレンス。

フローレンスは・・・そしてアーレイは・・・。

 <<デルタ国際飛行場・プライベートスポット>>


 <DMV230ベクスター、三番滑走路から速やかに離陸せよ>

「了解ナノ、飛ぶナノー」


 太陽が山間に落ち空が真っ赤に染まる頃、管制官から許可が下りたベクスターはとある惑星を目指し高度を上げる。


「やっと自由時間だ、楽しもうな」


 晴々とした表情をするアーレイはジーンズと白のカットシャツをラフに羽織り落ち着いた雰囲気を醸し出し、操縦桿を任されているポコは紺色のショートパンツにTシャツとジャケットの組み合わせで頑張って大人を表現。可愛らしい白いフリルの付いた空色のAラインドレスを選んだフローレンスは王族だけあってセンスの良さが光っていた。そして皆は疲れなど見せず沈んだはずの夕日を眺めている。


「沈んだ夕日を追いかけるなんて想像すら出来ませんでした!絶景ですね」

「狭いナノ邪魔ナノ」

「仕方ないだろポコ、我慢だ!」


 今の状況は夕景を観るためにベクスターの狭いコックピットに3人が入り、ポコの席に無理やりフローレンスがお邪魔している状況だ。


「だから私がアーレイ様の上に座るって言ったじゃない」

「それは絶対駄目ナノナノ(オコ」


 とまあ離陸前、熾烈な椅子取りゲームが行われ、ポコは「少佐はコンソールを跨ぐナノ」と言い放ち「ドレス姿の淑女が大股開きなどできるわけがない」とフローレンスに反論され行き詰まってしまう。結局、妥協策として細身さんがちっこいワンコの隣に座る形で落ち着いた。


「アーレイ様、それにしてもフォーレストで会食とは大胆ですね」

「いや、君の行動の方が大胆だったよ、見たかあのしたり顔」

「いや〜あはは(汗」


 暴虐の艦長室に入りお茶を嗜み震えこそ止まったが、落ち込んだままだったので「今日は3人だけで祝賀会を開くぞ」と声をかけると途端に立ち直り「場所はお任せください」と宣言して元気を取り戻す。とりあえずここまでは良かったのだが、帰国後ジェフとの謁見終わりに「今から会食するので安全の為に護衛を50人お願いします」と直談判してしまい、慌ててアーレイが止めに入る珍事が発生したのだ。


「まぁ急に動けば対応(アサシン)できないし、エルフの国だから安全だし」

「まぁそうですよね〜(汗」


 話には続きがあり、乗り気になったジェフが「じゃ100名だな」と言い放ち、クリスが慌てて「私が責任を持って安全な場所を用意します」と諌め、迷惑かけたと思ったアーレイが「フォーレストで良いんじゃね」と提案すると「おおそうか、女王(ウィン)との謁見はまだろ、ついでにやって来い」と言い出す始末で、困り果てていると今まで黙って聞いていたアイシャが「無粋ですよ、折角のお泊まりなんですから」と無茶振りしてきた。


 「親子揃って強権発動とは恐れ入るわ」

 「うふふ、お泊まりなんて期待しかありません」


 最終的に今から謁見は失礼ですよと嗜められたジェフは悔しいらしく「泊まるなら交渉後は数日休んでいいぞ」と条件を出し、日頃から休みが欲しいと言っていた手前、断れなくなりお泊まりが決定してしまう。


「なんだか波乱の予感しかせんわ」

「そうそう、この前の続きをしましょうねアーレイ様♡」

「・・・」


 お泊まりになり嬉しい気持ちは理解出来るけど、ポコから見えないからといって満面の笑みで余計なことを口走りやがる。


「それ忠犬ポコも混ざるナノ」

「いやよ、アーレイ様との秘密なんですから〜(ドヤ」

「ガルゥ!(オコ」


 やっぱりキス出来なかった事を恨んでいるらしく、ポコに対しマウントを取ろうとしている。このまま放置することもできずアーレイは「推しが強すぎるのは好きじゃない」とポツリと呟いてみた。


「ンッ」


 ポコには聞こえてないがフローレンスにはしっかり聞こえたらしく、瞬時に固まるが直ぐにプッと頬を膨らませ、恨めしそうな表情に変わってしまう。


「イテ」

「もう!」


 プリプリ怒る姫様は推しの強さを指摘されると、想いを拒否され悔しいと感じたのか、アーレイのわき腹をつねり頬を更に膨らませていたよ。


 「ゲートを潜るナノ」


 魔法時代の産物である瞬間移動装置、通称ゲートへと吸い込まれてゆくベクスターは一路フォーレストを目指す。


 ーー


 <<フォーレスト国際空港・VIPターミナル>>


 フォーレスト国際空港に着陸したベクスターは、強固なシールドで守られた青白く光輝く整備スポットのような建屋に入っていく。タラップ下には既に数台の真っ黒なシャトルが横付けされていた。


「お疲れさんだったなアーレイ、待っていたぞ」

「悪かったなクリス、けど助かったよ」


 タラップを降りるとクリスが出迎えてくれる。彼に店は現地で適当に探すと言ったら「いい店は予約しないと無理だ」と言われ、地の利がないアーレイは宿も含め丸投げしていた。


「まぁ俺も買い物があったからついでだ。気にするな」


 奥様から通販の取り扱いがない、無添加の化粧品を買いに行って欲しいとせがまれていたらしく、嫌な顔せず協力してくれたのだ。


「さあさあ行きましょう」

「お腹すいたナノ」

「俺はお邪魔だから消えるよ、せいぜい楽しんでくれ、味は保証する」


 行く先はフォーレスト伝統料理の中では評価が高い王室御用達の店だ。極上のエルフ酒は元より吟味された素材を生かした料理など、多岐に渡り取り揃えている。なによりセキュリティがしっかりしているのが選ばれた理由だ。


「楽しんでくるよ、じゃあまた明日な」


 3人は真っ黒なシャトルに乗り込みクリスが予約してくれた店へと急ぐ。車内ではあれ食うこれ食うとポコが騒ぎ、フローレンスはしれっとアーレイの隣に座り、ニコニコ笑顔で相槌を打っていたよ。


 <<フォーレスト伝統料理の店・田園>>


「ここは軽く300年は経っているらしいよ」

「凄いナノ」


 フォーレスト城から少し離れた、大きな森林公園の中の大樹に囲まれたメルヘンチックな木造の作りは、古びた様相と校舎程の大きさも相待って凄く歴史を感じさせてくれる。元々は行政を司る建物らしく感心しながら玄関を潜り抜けた。


「わぁ〜エルフの棲家ってこんな感じなのでしょうか」

「大樹と一体化したお店ってスゴ(呆」

「木の上は怖いナノ〜」


 屋根から大木が生えていたので最初はオブジェと思ったけど、中に入ればエントランスにドーンと鎮座していて幹に張り付くように昔ながらのエルフの家が再現されていた。一瞬この棲家は俺と一緒で激近官舎なのかとアーレイは思ってしまったのは内緒です。


「予約しているアーレイだ」

「お待ちしていました、こちらへどうぞ」


 待ち受けていたハーフエルフの中居さんに案内され店の奥へと進むアーレイ一行は、個室と言われた部屋に入る事になるが・・・。


「これまた趣向を凝らし尽くした個室だね(笑」

「これ個室じゃなくて森の中ですよ(呆」

「こんなところで食事をするなんて初めてナノ(驚」


 こじんまりとした個室に通されると思いきや、小川が流れ森奥深くにある野外テラスのような落ち着いた雰囲気を醸し出す広々とした空間に案内される。ここは王族が使う部屋だと言われると度肝を抜かれていた一同は、王室御用達は伊達じゃ無いなと感心していた。


「アーレイ様の横がいいナノ」

「あらそうなの、私は向き合った方がお顔がよく見えるので正面を頂きますね(笑」


 ここでも席取り合戦が繰り広げられると思いきや、会食慣れしているフローレンスの一言で、正面で向き合って食事をする意味と価値に気がつき、速攻でアーレイと真向かいに決まってしまう。流石やり手だなと感心していると、事前に注文していたシュワシュワが運ばれてきた。


 「ポコの活躍とフローレンスの初陣を祝してカンパーイ」


 祝杯はやはりこの世界でもシュワシュワだ。アーレイは鼻の下に泡を付け豪快にゴクゴクと、フローレンスは小さな口で上品にコクコクと流し込み、最後にブッハーと息を吐き「クー、冷えててサイコー」と叫んでいた。


「ウヘェ~苦いナノ」


 飲めると豪語していたポコは一口飲むと苦み走った顔をしつつ涙目になる。宣言した手前バツが悪いのかゴキュゴキュと一気に飲み干した。


「苦いのが駄目ならエルフ酒を頼みましょう」

「ポコにはまだ早かったナノ」

「口当たりがいいから飲みすぎるなよ」


 色々な果実から作られるエルフ酒は甘味と酸っぱ味が絶妙に調和する凄く飲みやすいお酒だがアルコール度数が結構高く、飲み口が良い分調子に乗って飲み進めれば酩酊してしまう。巷ではレディキラーなどと呼ばれていたりする。


「こちらが前菜3種盛りになります」


 日本で言う前八寸と同じように酒のあてになる前菜が、真っ平らな四角い木の皿に上品に盛られ運ばれてくる。内容的には野菜チップスと卵の塩漬け、焼き豆が並び、ポコの皿には玉ねぎの代わりにカボチャが添えられていた。


「玉ねぎ無いナノ」

「お客様の皿だけ玉ねぎ抜きで御座います」


 この店はコースしかないが種族や性別によって内容が変わり、当然ポコの苦手な玉ねぎは一切使われない。


 <<20分後・・・>>


「何を食べても美味しいですね、少量なのが更にいいです♪」

「そりゃクリスが選んだ店だし、素材からして違うんだよ」


 懐石料理のように手間の掛かった極上の料理は少量づつ盛られ、食の細い女性でもメインに入る前にお腹いっぱいになることはない。サラダやスープを頂けば次はいよいよメインへと移る。


「翡翠鳥のロースト美容の要を添えて、で御座います」

 

 女性2人を引き連れているので美容に関する副菜をチョイスした献立のようだ。想像するにナッツや果実、コラーゲンを含む食材が挙げられるが、主菜の周りに並べられている色とりどりの木の実に混じって、沖縄の島唐辛子ほどの大きさの白と黒の怪しげな物体が見える。


「懐かしいナノ、ウマナノ」

「もしや、これは・・・(汗」


 こんがりと焼き目のついた肉を切るとじんわりと肉汁が漏れ出てくる。ポコは器用に白と黒の副菜を乗せるとパクッと頬張った。一方のフローレンスは微妙に柔らかな弾力で幼虫と気がつき、黒い物体がその成虫と分かるとピタリと手が止まってしまう。


「どうしたナノ、お腹いっぱいナノ」

「アーレイ様、まさかとは思いますけど、これって虫ですよね(汗」

「そうだね、美容の要って言うくらいだから蜂系じゃないかな、うん、これ中々いけるわ」


 美容の要と述べていたのでサクッと検索すると、日本と同じ蜂類で、効能に関しては名前こそ違うがロイヤルゼリーとなんら変わらず。アーレイは気にせず白いヤツを摘んで口に放り込んで食べてみせた。


「マジですか、食べれるのですね・・(大汗」

「結構美味しい方だと思うけど無理はしなくていいよ、一応美容に効くみたいだけどね」


 食べる気がない人に強制はできないので効能だけ伝えるものの、フローレンスは怖いのか顔を引き攣らせフォークでツンツンと突いていたよ。その様子を伺っていたポコは何か思いついたのかニンマリとした表情に変わる。


 「アーレイ様、美味しいならもっと食べるナノ?アーンしていいナノよ」


 やれっぱなしのポコが反撃に出た瞬間だ。一口サイズに肉を切り分け副菜を乗せたフォークをゆっくりとアーレイの口元に運び始め、あろうことかビビるフローレンスを伺いつつ、ニンマリと勝ち誇ったような表情を浮かべている。


 「えっ、ポコちゃん。。」


 姫様は愕然とした表情を浮かべていたが越されてはまずい、負けられないと判断したのか、肉をサッと切り分け幼虫を盛るとパクッと口に入れ、すぐさま二切れ目を取り分け急いでアーレイの口元に運び始めた。


「こらこら競うところじゃないでしょ、2人とも楽しくいただきましょうね〜(呆」

「そう思うならアーンして食べるナノ、楽しいナノ(笑」

「はーい、アーンしてくださいね〜だって楽しいもん(笑」


 楽しく頂きましょうと言ったものの、自分の欲求に素直な2人はそれぞれのフォークを突き出し、早く食べろと目力ギンギンで迫ってくる。


「お行儀よく食べましょうね〜」

「早く食べるナノナノよー」

「アーレイ様、腕が疲れて来ちゃった~(笑」


 諌めてみても収まらず、さあさあ何方かを選びなさいみたいな勢いだ。様子見をしていた中居さんの生温かな目に気がついたアーレイは、仕方なく口を開き同時に口にするしかなかった・・。


 <<食事後・デザートタイム>>


 お疲れさん会は幼虫の一件で、アーレイと親睦を深める会に様変わりをしてしまうものの、結局2人が牽制しあったことで大騒ぎはしたけど楽しい食事会で終了。最後はお待ちかねのデザートタイムに突入する・・。


「デザートはこちらでお好きな物をお選びになり、目の前で作る所をご覧になれます」


 デザート専用の部屋はその名の通り、注文するとパティシエが目の前で作ってくれる特別な空間だ。格式高いバーを思わせる作りで食後酒も取り揃えてあり、甘いものが苦手な酒飲みにも対応していたりする。


「フォーレストのドライフルーツがこんなに美味しいのを、初めて知りました」

「これもウマナノ!」


 古来からあるエルフのデザートは生クリームなどを使わず地味なものが多い。デルタからの客ということもあって、伝統的なものと近代的な食材を合わせたスイーツを提供していた。ポコは森のクッキーを使ったティラミスとフォーレスト特産の果実のパフェ、お姫様は最高級のドライフルーツを使用したティーケーキをご賞味中だ。


「うーん、エルフの酒も捨てたもんじゃないな」


 アーレイはエルフが丹精込めて作った20年物の琥珀色をロックで頂いている。口に含むとエルフ酒を作る樽で寝かしたのか、特有の甘く芳醇な香りが鼻をくすぐり、舌で転がし喉に通すとピリッと来るアルコールが口の中を引き締め大変ご満悦だ。


「2軒目行くナノ」

「次こそはアーレイ様との親睦を深める会ですね!」


 早朝、いや真夜中に近い時間に起きて戦争してきたにも関わらず、2人ともヤバい薬で意識を保っているのかと疑うほど元気だ。当然二軒目は大人の雰囲気漂うバーに行くことになり、お姫様は事前に調べていたのか「アーレイ様が気に入ってくれるお酒を置いてありますよ♪」と言いながら手を引っ張られたよ。


 <<高級バー・Elf and Fairy Bar>>


「今回のポコの働きは凄かったな任せて正解だ。フローレンスの状況分析は中々だったよ」

「嬉しい評価ナノー、けど熾烈は残念だったナノ」

「流れているというかテレビゲームを見ているような感覚に陥りました」


 歴史を感じさせるバーに移ると、食事会では遠慮していた反省会が始まりアーレイが皆を褒めると、各々が感じたことを口にする。


「アーレイ様の指示が早いからそう見えるナノ」

「ここだと思ったとこで砲撃するし、自分が考えた通りに動くって凄いです」

「それにしても2人ともよく働いてくれた。感謝しかない」


 1番の活躍はポコで間違いなく、フローレンスは怯むことなく状況を的確に報告して初陣としては満点だ。アーレイが褒めると2人とも上機嫌に変わり、お酒を程々に嗜みつつ冗談を交えながら馬鹿話に花を咲かせる・・。


 <<30分後・・・>>


「むにゃむにゃ(zzz」

「あれれ寝てしまいましたね、となれば私だけの時間ですね(喜」


 笑いが途切れた僅かな時間に、ゆっくりと瞼を閉じたポコは気絶するようにパタリと倒れ、一方のお姫様はチャンス到来と思ったのか、席を立つとアーレイの傍に座り直し腕を絡めて来たよ。


「心の底から企み顔ですよフローレンスさん」

「そうですかね、今からゆっくりお喋り出来ますわね」


 激動の一日を走り抜けやっと心が落ち着きを取り戻したのか、眼差しが柔らかくなった姫様は甘えん坊に変身し始め、絡めた腕を辿るように肩に頭を乗せて来た。心も体も疲れ果て癒しを求めていると感じたアーレイは無下にできず「そうだね」とだけ口にする。


「あの戦いで何人が亡くなったのですかね、あんな所で死にたくなかったでしょうに」


 初めて戦いに赴き胸が空く様な攻撃を見て心躍り高揚感に見舞われ、モニター越しということあって現実味がなかった。しかし先ほど振り返った事で冷静になったフローレンスは直接指示は出してはいないものの、結果的には人殺しの片棒を担いでいることに気がつき、自責の念が湧き上がったのだろう。


 「自国を守るには仕方ないけど、今日はその事を考えちゃ駄目だよ」

 「うん、だから甘えさせて」


 軍人としてのイロハを叩き込まれていない彼女が不安になるのは致し方ない。自分が選んだ道だから我慢しろと言えば逆効果になるだろうし、表情を見れば恐怖に押し潰されそうだ。それを理由に甘えているわけではないと理解したアーレイは頭を優しく撫でる。


「今日は特別ですからね、そこん所よろしく」

「うふふ大事にして貰って嬉しいです。じゃお言葉に甘えて・・」

「こらこら、じゃの使い方がおかしいと思いますよ」


 ここでアーレイは猛烈に反省することになる。というのも口説きなさいと言わんばかりに双丘を押し付け、静かだけど猛烈にアピールを始めてしまう。当人は弾力の心地よさから危うく煩悩に埋め尽くされそうになっていたけど、この先の未来が簡単に予想出来るので酒を注ぐふりをして離れることに・・。


「明日の交渉なんだけど、君はベクスターで待機してもらえるかな」

「わかりました。それより私のことをレンって呼んでよ、親しい人にしか呼ばせてないのよ〜」

 

 明日の仕事は眼中に無いのか、それともアーレイが守ってくれると安心しているのかあっさりと流し、コクコクと琥珀色の液体を流し込むと愛称で呼べと言い出してしまう。酒の勢いとは思うけど今晩は親密な関係を望むからこそ出た言葉と想像できてしまう。


「承知しましたレン様ですね(笑」

「わわ、やっぱり愛称で呼ばれるとまだ恥ずいね。けど嬉しいよアーレイ」


 とりま愛称で呼ぶと顔を真っ赤にして凄く恥ずかしそうだ。話すだけ話すと目線を合わせられなくなったのか俯きながら寄りかかってくる。


 酒が入ると解放的になるけど元の性格は素直なんだな。


 人間は酔うと本来の性格が表れたりする。彼女の場合は終始笑みを絶やす事なく解放的になっても素直さは無くならない。やっぱいい女だと思いつつ、この状況をポコには見られたくないので剥がそうとすると、彼女は離れまいと抱きついて来た。


 チュ!


「うわぁ、何をしているのかな(汗」

「ウフフ頬ならいいでしょ(喜」


 抱きつきバレないように首元をクンカクンカと静かに匂っていたお姫様は、あろう事か顔を上げた瞬間にアーレの頬にチュッとキスをしてきた。すると今まで静観していた妖精がシャシャリ出てくる。


 >

「チャンス到来、私の計算でも99.99%の確率でベッドインできます」

「おいデバガメAi、碌でもないことに能力使うなよ、さっさと落ちやがれ」

「はい喜んで、結果は後日にでもお願いします。ではおやすみなさい」

 >


 このチャンスを待っていましたと言わんばかりに、ニヒヒと笑い飛び回り好き放題喋ると消えていく。この時アーレイは絶対何かが取り憑いているに違いないと思っているとワンコの耳がピクリと立つ。


「うにゃ〜、どうしたナ〜ノ〜まだ飲むナ〜ノ」


 目覚めたポコはボソボソの目でグラスを探し当てるとゴキュゴキュと飲み干し、またパタンと倒れた。これといって騒がないことから目の前の2人を認識できないほどに酩酊しているらしい。


「起こすのが面倒だから宿に向かうとしますか」

「そうですね!それは名案です(嬉」


 寝入る前にポコを叩き起こし宿へと向かうことになるが、道中のエアシャトル内の姫様はこの後のイベントを期待をしているらしく、アーレイにピッタリと寄り添っていた。

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