うごめく
捕虜の話が動きます。
ディスティア総統府。
秘書)「あれからまもなく2週間になります。捕虜開放のデモがまた活発になってきました。如何致しましょう」
セオドール)「そろそろ限界か?」
「はい」
「ルドルフを呼べ」
「はい、畏まりました」
ーー
執事)「ルドルフ准将入ります」
ルドルフ)「総統、お呼びでしょうか?」
セオドール)「デルタの捕虜の具合はどうだ?」
「はい、収容所から引き上げて健康診断を実施。適切に治療を終えいつでも出発可能です」
「そうか、早速だがまたデルタに行ってもらえるか」
「はい、承知しました。出発は明日朝で宜しいでしょうか」
「そうだな、それと例の件は頼んだぞ」
「はい」
「そうだ、妻と子供たちは元気か?」
「はい、お陰様で元気にやっております」
「そうか、家族のためにも頑張れよ」
「はい、勿論です(プレッシャーのつもりかよ・・・」
「そうだ、今回は諜報部から2人参加することになった、よろしくな」
「承知しました。陛下この前の様な人間至上主義教会の方達は紛れ込んでいませんよね?」
「どうした心配か?」
「いえ、私は前回撃たれましたので、今回は勘弁してもらいたいです」
「おお、そうだったな。士官に関しては罪を素直に認めた3名はできれば今回引き取ってこい」
「承知しました。残りの規律違反の士官は如何しましょうか?」
「正直、引き取りたくないのだが、そんな訳にもいかんだろ」
「そうです、連れて戻っても処遇に困ると思います」
「デルタで死刑執行は出来ないか?」
「そ、それは無理です。こちらが正式な要請書を発行してもまず執行しません」
「相手の肩を持つのか?」
「滅相もございません。こちらが要請してもディスティアの内政に利用されることを考えて拒否すると思います」
「わかった。冷静に考えればそうだな」
「はい」
「それでは頼んだぞ」
「はい、総統閣下!」
「よろしい、下がりなさい」
ーー
セオドール)「おい、新聞記者を呼べ、下士官の捕虜解放に目処が付いたと伝えろ」
秘書)「承知しました」
数分後・・・。
秘書)「皆集まりました」
セオドール)「捕虜解放に向けて目処が立った明日出発する。下士官全員戻る予定だ。質問はあるか?」
記者)「はい!総統。残りの士官はどうなるのでしょうか?」
セオドール)「3名は帰還の目処が立った。残りは不明だ」
「なぜでしょう」
「重大な軍規違反を犯した」
「どの様な違反でしょう」
「あまり詳しくは言えないが、敵国指揮官に対して”命令無視”、”恫喝”、”脅迫”などだ」
「そ、それは酷いですね。相手は獣人ですか?」
「獣人も含まれておるが、自軍の兵士、デルタの軍人にも危害を加えておる」
「それはまずいですね」
「ああ、処遇に困っておる」
「処罰ですか懲役独房ですか?」
「そんな生ぬるいもんじゃない。死刑相当ばかりだ」
「総統、これじゃ士官のことは記事にできませんよ」
「わかっておる。だがなデルタで生存している事実は伝わっておる」
「いっそデルタで死刑執行は出来ないのでしょうか」
「無理だ、何のために保護してきたかわからんし、こちらに口実を与えるほど馬鹿じゃない」
「分かりました士官の事は少なめに。下士官メインで書く様にします」
「ああ、頼んだぞ」
ーー
セオドール)「幕僚長に動き出したと伝えろ」
秘書)「承知しました」
セオドール)「さあ、”ヒャンド攻略”で”捕虜”の話題を潰すか」
執事)「総統それは良い考えですね」
セオドール)「ああ、今はそれしか思いつかん」
ーー
メレルの隠れ家の隠し扉がググと動き手下が入ってきた。
手下)「お頭、おはようございます。生鮮品の搬入が始まりました」
メレル)「お、やっとか」
「協力者の情報だと明日昼前に出発するそうです」
「正確な時間はわかるか」
「明日朝8:30に招集して作戦説明があるそうです」
「ご苦労さん」
ピポ、違う手下から更に情報が寄せられる。
手下)「お頭、明日シールドゲート解除の予約が入りました」
メレル)「おう、それは良い情報だな」
「はい、10時〜12時の間です」
「ありがとう」
メレル)「さて、アーレイに連絡するか」
ーー
りんりんりんりん、早朝、メレルのモーニングコールで起こされるアーレイ。
メレル)「おーい、アーレイ聞こえるか?」
アーレイ)「・・・・・・」
「こら!緊急連絡だぞ!」
「んっ?・・・どうしたメレル」
「ついに動き出したぞ、生鮮食料品の積み込みが始まった。出発は明日の昼前だ」
「ありがとうメレル。いよいよ始まるな」
アーレイはベッドから出て、洗面所に行きながらスマホで会話をしている。
メレル)「そうだ、防空シールド破壊は戦艦が全部上がってからで良いよな」
アーレイ)「正確な出港時間はわかるか?」
「それは明日の朝だな、今わかっているのは10時から12時の間だ」
「わかった、艦隊を近くに配置しているからわかったら知らせてくれ。君たちと同調しないと成功しないからな」
「勿論だ、それと残りの防衛隊は定期検査の為に既に駐機場に降りている。乗務員は全員下船して休暇を取るらしい」
「それは都合がいいな。防衛隊の対処が楽になる」
「けどな、防衛隊の代わりに第3艦隊が配属される。艦隊出港後30分以内だ」
「それだけ時間が有れば十分だ。後は君たち次第だな」
「勿論、任せてくれアーレイ」
「頼んだぞ、またな」
通話が終わり、パシャパシャとアーレイは顔を洗い気合を入れ直す。
アーレイ)「よし!。クリス、緊急招集だ」
クリス)「おはよー、アーレイどうしたこんな早朝に、敵が動き出したのか?」
「そうだ、哨戒活動中の第6艦隊を一番に動かせ」
「承知した」
「第6艦隊指揮官に繋いでくれ」
「はい、どうぞ」
アーレイ)「ジョナス准将、アーレイです。敵が動き出しました」
ジョナス)「アーレイ少佐、貴様の作戦は本当に大丈夫だろうな」
「はい、お任せください」
「それで、この簡単な作戦で良いんだな」
「はい、ジャンプアウトしたら全弾発射して逃げてください」
「わかった、シンプルすぎて物足りないな」
「いえ、長居は無用です。敵の艦隊出発後30分以内に、アーヴィン第3艦隊が防衛隊の代わりに押し寄せてきます」
「ほう、それは良い情報だな、了解した」
「被害が大きくなるだけですので速やかに撤収お願いします」
「わかった。攻撃座標は全てインプットしてある。向こうに着いたらボタンを押して帰ってくるよ」
「おねがします、ご武運を」
「応!」
アーレイ)「ふう、残りはポコだな」
カチ!、トトト、ふぅ~、ズズ、フードディスペンサーからコーヒーを取り出し一口飲み、連絡ミスが無いか振り返る。
アーレイ)「ポコ、聞こえるか」
ポコ)「はいナノ。おっはーナノ」
「熾烈出撃だ!」
「わかったナノ、もう行って良いナノ?」
「少し早いが行ってもいいぞ、ちゃんと指示通り頼むよ」
「わかったナノ!」
遂に始まったアーヴィン無力化作戦、もう後は勝つ事を考えるしか無い。
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