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激おこルドルフの災難。

ルドルフの鉄拳制裁が炸裂!

 <<ファウルスター・医務室>>


 アーレイ「これが君が気を失った後の映像だ」


 管理棟を後にしたアーレイはファウルスターの医務室へと向かい、ルドルフの覚醒を待って大会議室で起きた一部始終を、ピンキーが収録した動画を見せながら説明を行う。彼が一番激怒したのは勿論フローレンスに乱暴する場面だった。


「手間ばかり掛けさせてすまない。奴らの行いはディスティアの恥だ。キッチリ落とし前をつける」


 血気盛んな若い下士官が戦地で女性にちょっかいを出す事はままある事だけど、模範となる上級士官が女性王族に手出しするなど洒落に成らない。敵国とはいえ超えては成らない一線を越えた事でルドルフは怒り心頭だ。まだ完治していないのにも関わらず痛みに贖い苦い顔を浮かべながらベッドを降りた。


「さあルドルフ准将、裁きを下しに行こうか(笑」

「君は敵なのに何故かそう感じさせないな」


 生真面目な顔をするルドルフの肩を軽くポンポンと叩き笑い、この際どちらが上官か敵かは置いといて、今は共通の罪人を裁く同志みたいな雰囲気を漂わせていた。


 まぁ目覚めた時からやられぱっなしだけどな。


 ベッドの上で目覚めた瞬間「生きてて良かったな」では無く「よう、天使は美人さんだったか」と冗談を言われ思わず鼻で笑ったが、傷の痛みが響き隙が出来た瞬間に「期待しているぞルドルフ」と微笑みながら言われ、反射的に「ふん、任せてもらおうか」と返す不機嫌にならない自分がいた。


 何だろうこの感覚は、アーレイはまるで為政者のような奴だな・・。


 初めての出会いから何かが違う奴だと感じていたルドルフは、今回の一連の騒動を通して友情とはまだ言えないが、リスペクト出来る人物だと容認しつつあった。


 ーー


 <<クーン城・留置場>>


「マテウス、俺が分かるかルドルフだ」


 クーン城への道のりの途中「残念だがマテウスは事故で気が触れてしまった」とアーレイに言われ、自分に向けて発砲した相手なので顔を見るのも嫌だったが、確認のために小さなのぞき窓から、ゾンビの様に動き回る廃人と化したマテウスに声をかけた。


「ウヒャウヒャヒャ・・」


 言われた通り人として完全に終わっていると分かると、先ほどの嫌悪感が消え失せ「悪人はいつかこうなるんだよ、惨めだな」と呟き渋い顔になる。


「アーレイ少佐、事故とは言えここまでとは思わなかった」

「仕方ないさ、旧式の防虫電磁波シールドに頭から突っ込んだのだから」


 ブラッドの能力を使い無力化したとは口が裂けても言えない。なので逃走する際、窓枠に設置してあった旧型の防虫電磁シールドに頭から突っ込み脳内が茹で上がり、廃人になってしまったと嘘をつく。実際に装置が実用化された数十年前に事故が起きたのは事実なので、疑うことなく信じてくれた。


 あれだけ堂々と言い切れば信用しますって・・。


 疑われないように飄々と説明を行い何らバレることなく切り抜ける図太さに、その様を隣で見ていたフローレンスは感心を通り越して、呆れていたのは内緒ね。


 >

「あれは凄かった。言い切る能力は流石ですねー(棒」

「お前と違って嘘つく時は堂々とすればいいんだよ」

「なんか馬鹿にされた」

「へぇ〜Aiでも分かるんだ〜(棒」

「ギィィィ!」

 >


 顰め面のアホなAiと遊んでいると問題を起こした士官が連れてこられ、ルドルフと共に取調室に入ってゆく。本音を聞き出すことが目的なのでアーレイとフローレンスはこの場から離れ、クリス達と別室で様子見をする事になる。


 <<取調室>>


「さて、君たちが色々やらかしたので罰を受けて貰うし、帰国しても裁判が待っている」


 取調室と言っても無機質な机越しで話をするわけではない。お値段以上♪のお店に置いてあるようなカジュアルなソファーに座り、リラックスした雰囲気の元、忌憚ない意見を聞くのだ。士官と向き合ったルドルフは今回の騒動の結論から語り始め、残っても帰国しても罪に問われると断言した。


 士官A「我々が何をしたっていうんですか、ちゃんとした場所に移してください」


 士官B「取り敢えずまともな所で生活したいだけです」


 自分たちが起こした騒動は待遇改善するための抗議だとすり替えたいのだろう。反省の色は見せず勿論フローレンスに対して謝罪の一言もない。そんな士官達の態度にルドルフは頭を抱え、眉間のシワが増えるばかりだ。


 取り敢えず全員に聞くしか無いのか、けど駄目だろうな・・。


 穀物の検査なら選抜しても良いが、反省の色を示す普通の人間がいれば情状酌量の余地がある。なので嫌でも全員の話を聞かなければならず、頭を抱えるルドルフは次に控えている士官と交代させる指示を出した。


 士官C「人間の方が上位なので、命令する事自体が間違っています」


 士官D「獣人を従えるデルタ王族はもはや人間ではありません」


  3人目はディスティア人以外は人間では無いと断言。4人目はフローレンスに謝罪したく無いので、無理目な理論をドヤ顔で展開する。


 ルドルフ「軍規を守らず、迷惑をかけたことすら理解していないのか」

 士官E「軍紀は人間だけに適用しなければ成りません」


 罪を認めない理由としては些か無理があるが、差別主義者の彼らは至って当たり前らしく、真面目に受け答えをしていた。


 ダメだこいつら、問題をすり替えて反省すらしない。


 何とか反省の言葉を引き出そうと努力するルドルフだったが、変わるがわる話を聞くにつれ、段々殺意が湧き上がってきてしまう。


 士官F「ルドルフ准将、なぜ下等な獣人達の見方をするのですか」

 ルドルフ「軍人は種族の違いに関わらず軍規を優先するが当たり前だ。君は何故王女の胸を触ろうとした」


 一応全員に話を聞いてみるが他の連中と何ら変わらず。最後の1人はフローレンスの双丘に手を伸ばした奴だったので、どういう考えなのか聞いてみると・・。


「アレは獣人の見方をする人間の姿(フローレンス)をした生物ですよ、なので蹂躙しても特に問題は無いです」


 娼婦は人間では無いので問題無いと考えを持つ、とある宗教の教えと思うくらい、救いようが無いレベルだと言わざる得ない。ダメ押しの一言を言われたルドルフは、諦めた表情を浮かべ監視カメラの方をジッと見つめていた。


 <<クーン城・客間>>


「酷い!こんな可憐な王女を人間扱いしないなんて(オコ」


 モニターに向かって腰に手を置きプンスカ怒るのは、もちろんフローレンス王女様だ。あり得ない言い訳をする男の方が人間では無いと吠えていた。まぁ確かに美人さんなんで、自分の事を可憐と言うのは間違いでは無いけれど、自己評価が高い内面を知ったアーレイは生暖かい目で見ていたよ。


「凄いなアーレイ、初めて直で聞いたけど、差別主義者って聞く耳持たないんだな」


 別に捕虜の尋問は珍しく無いが、HAS会員にじっくりと選民主義の事を聞くのは稀だ。ルドルフが質問した事でより深い闇が垣間見れ、別室で聞いていたデルタの面々は一様に苦い顔をする。


「キースそれはな、差別する事で優越感にドップリ浸れるから、総統は扇動するために使っているんだよ」


 星団戦争が終わらない理由のひとつがこの差別主義と言われ、選民思想は差別心を煽り、対立する相手を下位だと批判するだけでお手軽に扇動出来たりする。なので戦争も差別も止められないのだ。


「にしてもコイツら酷くないか、現実から目を背けている」

「考えが純化すれば、他者の意見を無視する洗脳状態になりやすいし、もうその状態だろうな」

「それならメディカルチェックを受けさせ、思い知らせてやりましょう(オコ」


 かなりムカついているのか、フローレンスは目にもの見せてやろうと進言して来た。彼女なりの仕返しのつもりだろう。医学的に異常状態を示し改心すれば、少しはルドルフの気が休まるかもしれないと考えたアーレイは、アデールに精神科医師の派遣を頼む。


 <<メディカルチェック後・・>>


「アデール様、全員の診断が終了しました」

「ご苦労様」


 専門医による問診、医療用カプセルを用いて脳の緻密検査が行われ精神的侵蝕度合いを解析した後に、その結果は直ぐに公表された。


「これメディカルチェック表だよ、ほれ見ろ完全に異常値を示している」

「嘘だ、薬か何かを飲ませたんだろ、こんなもん信じられるか!」


 診断結果を元にアーレイが洗脳状態だと説明するものの、元からそのような状態で且つ敵将ということもあり猛烈に反発してしまう。


「君たちは自分たちが悪い事をした意識は無いのかな〜(棒」

「ある訳ないだろ、選ばれし民族だ、自分たちの行いは全てが正義だ(オコ」

「はーい、次の方どうぞ〜」


 とまあ、ブラッドの能力を使い洗脳を解く義理はないので、ひたすら流れ作業のように次から次へと説明を行う。万が一にでも反省の弁を述べるのであれば、更生する余地があると判断されレティシアに送られる事になっていた・・。


 ーー


 <<クーン城裏手・多目的ホール>>


 一連の取り調べが終わり処分を言い渡す為、城の裏手の森の中にある宿舎へと場所を移し、ルドルフを先頭にホールへと入ってゆく。アーレイ達は刺激しないように後方から様子見をする事にした。


 護衛「裏切りものルドルフふざけやがって」


 今まで同席させなかった護衛連中も加える事になり連れてこられるが、早々に裏切り者と決めつけ暴言を吐きつつ顰めっ面をしていた。じっと我慢していたルドルフは「マテウスを守りきれなかった癖に何を言う」と言いながら、椅子に拘束されている廃人マテウスを指さす。


 マテウス 「ウヒャ?ヒャッハー」

 全員 「・・・」


 ざわついていたホールに静寂が訪れ、渋い顔のまま一瞥したルドルフと事務方の1人が壇上へと上がる。


 ルドルフ「事務方と協議を行いディスティアの法律に則り君らの処分が決定された。なので一切の反論は許されない」

 事務方「反省の弁を述べた3名はレティシア収容所に送られ、残りの者達は南の島に送り返すことが決定されました」


 検査結果を元に大半はあの島に逆戻りになるが、反省の弁をちょっとだけ述べた3名だけは情状酌量が認められ、レティシアにて独房生活が待っている。しかし罪を償った事にはならず、帰国すれば軍事法廷で裁かれる事は避けられない。


「・・・・(黙」


 誰ひとり騒ぐ事なく静かに話を聞いている理由は、アデールが精神魔法を駆使して抑え込んでいる為で、実はもうウンザリしていたりする。


 不愉快極まりない連中、死ねば良いのに。


 誰かに言われて思考を読んでいるわけではなく、自分やフローレンスに向けられるいやらしい感情やアーレイに対しての恨みつらみが強烈に発せられ、それが嫌でも読み取れてしまい殺意すら湧いていた。


「決定に異論は無いよな」

「はい、決定に従います。流石に下士官はいませんよね」

「当然だ、自ら招いた失態だから擁護も援助もできる訳がない」


 士官達が急にしおらしくなった理由がもう一つあって、護衛を連れてくる合間に「アーレイ少佐は素直に従えば星団会議に上げず、内密に処理するつもりだ」と教えると、彼らはセオドールが恥を掻くと考えたのか大人しくなったのだ。


 閣下の名前を出すと効果的だな・・。


 差別心を逆手に取った作戦で従わせる腕前は中々どうして遣り手だ。一部始終を見ていたアーレイは何か思う事があるのか、腕を組みフフフと鼻で笑う。


 俺の艦隊にルドルフが来たら最高なんだけどな〜、味方にならんかな。


 >

「むーりー、絶対むーりー」

「ですよね〜」

 >


 流石に敵国に寝返る事はないだろうけど、アーレイもまたルドルフを認めている。そんな彼は謝罪するためか神妙な面持ちで、ラーの前に直立不動で立っていた。


「ラー所長、誠に申し訳ありません。ディスティアの軍人全てが、かの様な者達だけではありません。今までの非礼、私が代表してお詫び申し上げます」


 彼なりのケジメを付けたかったのか、深く頭を下げて責任者としての責務を全うすると共に、差別が無い奴がいると思わせたかったのだろう。


「出来る限りの事を行った自負がありますが、この様な結果になり大変残念です」


 ラーは愚痴の一つも言いたくなっていたが、相手が、それも敵将が深く頭を下げ誠意を見せたので、強めの表現だけで矛を納めた。


 やっぱ、ちょっとやりすぎたよな


 ルドルフが謝罪すると大半の連中は不服そうな顔をするが、レティシアに向かう3人だけは頭を下げない代わりに済まなそうな顔をしている。取り調べでHAS幹部候補者と判明した護衛らは、アデール術中にも関わらず強い敵意を剥き出しにしつつ、苦い表情を浮かべていた。


「何で獣人に頭を下げんだよこら、カッコつけやがって」

「馬鹿が、お前は粛清して貰わないと駄目だな」


 真っ当な軍人として見本を示し反省を促すための行為に、傲慢な護衛らはあろう事かルドルフの気持ちを踏みにじる言葉を浴びさせてしまう。


 さて、彼らは拳で分からせないと駄目らしい。


 腹の底から怒りが湧き溢れると、強い残虐性が逆に冷静にさせるのか、ルドルフは静かに流し目で護衛達を一瞥する。強すぎる殺意を感じたアデールは思わず口角が上がり、行く末を見守ることに・・。


「殺しても意味はないので程々に、それと別室でお願いします」


 いつの間にかアーレイはルドルフの傍に立ち、気持ちを汲んだ発言をすると護衛らを別室に連れて行けと指示を出した。


「ありがとうアーレイ少佐、直ぐに終わらせる」


 鬼の形相に変わったルドルフは取り出した手袋をキュッとはめ、眼光鋭くゆっくりと踵を返す。その動作だけでも相当怒っていると分かる。


「拳を汚す必要はないぞ、ほれ」


 警備兵から借りた特殊警棒を投げられ、それを片手で受け取ったルドルフはニヤリと笑い別室の扉を開けるのだった。


 ーー


 <<数時間後・クーン城客間>>


「お二人とも苦労様でした」

「この度は大変ご迷惑をおかけしました。改めめて謝罪致します」


 罪人を南の島に送り届けたルドルフはクーン城へと戻ってくるなりアデールに頭を下げる。しかし表情は曇り覇気が感じられない程に憔悴していた。


 「それにしても酷い言われようだな、気にする事は無い」

 「ああ・・」


 別れ際、戦友と思っていた連中から罵詈雑言を浴びせられ、それはそれは酷い有様だったのだ。流石にそれは無いよなとアーレイは哀れみを感じずにはいられなかった。


 使えない事務方も放置すればよかったのに。


 拝謁中にも関わらず漫然と眺め動こうとしない事務方に対し、アーレイは睨みを聞かせ「おい、お前らもだろ」という目つきで見ると、慌てて前に出てきて頭を下げていた。


「責任者がルドルフ准将で助かりました。少なくてもここにいいる全員はそう思っています」

「アーレイ少佐、そう言ってもらえると助かる」


 労いの言葉を掛けると少し弱々しい声で返事を返してくる。色々あって精神的にすごく疲れたのだろう。アデールに促され席に座るとお茶を一口飲み大きなため息をついていた。


 「ディスティアは相変わらず何も変わりませんね。ルッチラは最後まで頑張っていたのに」

「え゛?」


 星団戦争の始まりから知るアデールは、当時親交のあった総統の奥様であるルッチラの名前を出す。しかし誰それ状態に陥ったルドルフは思考を巡らせるものの、答えに行き詰まり自分のAiに聞くと、数百年前の総統ハインツの奥様と知る。


 どういうことだ、なぜ大昔の総統閣下の妻の名前を出す。もしかして親交があったのか・・。


 困惑するルドルフは名前を出した意味を考え、悩み、眉間の皺が徐々に増えていく。取り敢えず思いついたセオドールの奥様だが為政者でも無く、言っちゃ悪いが金使いの荒い強欲ババアなので、アーレイから聞いていた慎ましく聡明なアデールとは仲良くなれる未来が描けない。


 ルドルフ、貴方の未来には運命が待っているのよ。


 難しい謎掛けの答えはここにいる誰もが答えられないだろう。それもその筈、予言で見た彼の姿は星団戦争終結に関わるキーマンの1人で、彼はこれからの人生が激変するほどの大きな出来事が待っている。


「気にしないで下さい、裏口すら無い状態を憂いているだけですの」


 その未来を教えればこの先が変わる恐れがあり、その時がくれば意味が分かると考え言葉を濁す。


「はぁ、そうなのですね・・」


 意味が分からずキョトンとしているルドルフに笑みを送り有耶無耶にすると、アーレイにも何かしら伝えたかったのかちょっとだけ横目で見る。


 裏口ですか、確かに重要だね。


 流し目から遠からず近からずの正解を得たアーレイだったが、ルドルフに話した全ての意味は分からない。しかし星団統一には敵側の協力者が絶対必要だとヒントを得たお陰で、攻略法が朧げに見え始めていた。


「相当お疲れの様ですわね、癒しを施しましょう」

「それは魔法でしょうか(大汗」


 癒しをすると語りながら傍に立つと手先が青く光り始め、初めて魔法を目の当たりにしたルドルフは強面にも関わらず、冷や汗をかき腰が引けてビビっていた。5精霊の加護を持つアデールなら、簡易治癒魔法など無詠唱で発動出来る筈だが態々見せる為に印を組んだ。


「力の根源たるアデールが精霊に命ずる。ルドルフに癒しの光を与え給」


 疲労回復程度ならは手先以外は光らないし、粒子も現れないのでこれと言った変化はないが、施されたルドルフは倦怠感が抜けるのが分かったのか恍惚の表情に変わっていく。


「アデール様!こ、これは凄いです、一気に疲れが抜けました(笑」

「精霊の力は凄いでしょ、凄く疲れていたから相当効いたはずよ」

「ありがとうございましたアデール様」


 初めこそビビっていたけど、元々肝が据わっているルドルフは慌てる事なくご満悦の表情を浮かべ始め、思考を読んでいたアデールは感謝の気持ちと敬意を感じ取り軽く口角を上げた。


「フローレンスもお疲れね、今回は良く頑張りました」

「温室育ちにはちょっと辛かったです。特にアノの音が・・」


 今はもう顔色は戻っているが、ルドルフが制裁を加えているときに漏れ聞こえた悲鳴や怒号が原因で、恐怖のあまり真っ青になっていた。荒事に無縁な王女様には辛い経験だったらしい・・。


「温室・・・あっそう言えば王女様だった」

「確かにデルタ第2王女ですけど、今は軍人のフローレンス少佐ですわよ(笑」

「失念していましたすみません。ですが王族があのような危険なことをするなんて酷くないかアーレイ少佐(汗」


 動画を確認した時は既に頭に血が上りフローレンスが王族だとすっかり忘れていたようで、温室の言葉を聞いて仁王立ちして文句を言い放つ気の強さを思い出すけど、声に出さなければとポリポリと頭を掻きつつ、恥ずかしさを打ち消すためなのかアーレイに話題を振る。


「アーレイ様に仕えたいので志願しましたの、お気になさらず(笑」

「そうですねー(棒」


 自身の行動が原因で騒動に巻き込まれたと理解しているフローレンスはアーレイが口を開く前に微妙な言い回しで詰め寄る。その速さは流石貴族社会で揉まれて育った王族だなと理解しつつ、恥と言うか秘密を隠したいという心中を読んだアーレイは棒読みだ。


「女は意外と強いんですよルドルフ様。けどアーレイ様はちょっと違うでしょ」

「何ていうか敵なのに同じ志を持った味方のような感覚になります」

「分け隔てがありませんしね、とは言え戦場で一戦交えたくない相手でしょ」


 口が滑らかになったフローレンスはアーレイの評価を第三者の、それも敵将から聞き出そうと躍起になっている。話の流れを聞いているアーレイは”なんだかなぁ”みたいな顔を、アデールはその必死さに生暖かい目を送っていたわ。


「戦闘はちょっと避けたいですね。小狡(こずるい)いというか、的確に隙を突いてきて非常にやり難い相手です」

「ナニ!俺の評価は小狡いんだ。解せぬ」

「アーレイ様は(したたか)かなんですよ、私の想い通りに全然ならないし!」


 両者とも攻略しづらい相手の認識で一致するとフローレンスは自身の不満と重なったのか、それがそのまま言葉に出てしまう。そして漫才みたいな掛け合いが始まりを迎える・・。


「それをここで言うのか?」

「ふんだ!ちゃんと振り向いてくれないからです!!」

「あらあら、青春って感じねフローレンス(笑」

「アーレイ少佐、こっちが恥ずかしくなるよ」

「それ、俺に言うなよルドルフ!」

「ぷっ!だって面白いよ、これはちょっとした喜劇だ」

「もう、ルドルフ様!」

「悪い悪い!」

「もう!」

「何故そんなにフローレンス王女を避けるんだ。器量も性格も良くて何が不満なのだ。俺が若いころなら二つ返事で貰っているぞ」

「ふん!色々あるんだよ」

「そうだそうだ!アーレイ様の目は節穴です!」


 >

「持てる男は辛いね~(笑」

「フェ、なんか言ったか」

「Aiの私でも娶ると判断しました」

「俺のAiは俺の気持ちを察してくれないポンコツか・・」

「ムキィ!」

 >


 何とも締まらない結末を迎えるのだった・・。

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