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捕虜視察とフローレンス。

勅命を受けたフローレンスは・・・。

 お茶の途中で抜け出したアーレイはポコが操縦するベクスターに乗り、自給自足生活をするマテウス達の様子を上空から観察をすると、その足でレティシアに向かい、外出した捕虜達の評判を聞きに回った後、クーン城へと戻っていた。


 <<数時間後・アーレイが使う客間>>


「別れ際の真剣な眼差しはヤバいな、何か仕掛けてきそうだ」


 歓迎会が終わりを迎え別れ際にニンマリと口角を上げるアデール、使命感を持った真剣な眼差しをするフローレンスを見て、アーレイは夜に何か仕掛けてくると予想していた。


 >

「早速、ナイトガウンを着たフローレンス様が接近しています」

「ジェフの差し金かな〜」

「ですよねー(棒」

 >


 周辺警戒中のフェアリーは頼んでもいないのに無駄に探査能力を駆使し、中空モニターにはナイトガウンを纏った姿を映し出していたが、隠されているレースの(勝負下着)下着も透けて見えている。探査モードはグラフィックなのでエロく映りはしないけど、薄着で訪れれば嫌でも夜這いと想像できるので、アーレイは深いため息をつく。


「藪に遅く失礼しますフローレンスです、アーレイ様起きていますか」


 廊下に放置するわけにもいかず扉を開けると、そこにはライトブルーのナイトガウンを纏ったモジモジ姿のフローレンスが立っていた。


「こんな夜更けにどうしたの、取り敢えず入ってください」

「恐れ入ります」


 目的が透けて見え、どうしたもんやらと考えながらソファーに座らせたのはいいが、目のやり場に困ることになる。胸元が開き双丘の割れ目を隠しきれず、丈が短いガウンは座れば美脚が顕になり、その奥に潜む決して見てはならないレースのアレが、ちょっとでも足を開けば見えそうなのだ。


「こんな夜更けに来たら勘違いされるよ、どうせタヌキ(ジェフ)の差金でしょ」

「いきなり押し掛けてすみません。勘がいいですね陛下に勅命を頂きまして(恥」


 箱入り王女様が顔を赤らめ少し俯き加減で爪を噛めば、嫌でも目的がわかる。手を出す気がないアーレイは立ち上がり飲み物を準備しつつ「俺が簡単に手を出すとでも思っているのかな〜」と牽制してみた。


「そうですよね〜お困りですよね〜、ですからお話に来ただけなんです」


 飲み物を手渡されたフローレンスはグラスに向かってぼんやりと目線を送り、それを斜め後ろから見れば対応に困り悩んでいる姿に見え、心情を知りたくなったアーレイは彼女の顎を引き、目線を合わせ探るのも悪くはないと考えた。しかし目を瞑り受け入れの姿勢を見せれば断る理由を探す事になり、女心を弄ぶのは嫌いなので「陛下の気持ちは理解できるが、それとこれとは別だ」と断りを入れる。


「アーレイ様さえ宜しければ口説いていいのですよ(恥」


 トロンと蕩けるような視線で見つめられ、髪を耳にかけたその手は広げた状態で膝に戻る。発言もさることながらこれはどう見ても「口説いて良いよ今晩は好きにして」と心開いている状態だ。細かな仕草の変化を見逃さないアーレイは「どうしたフローレンス、熱でもあるのか」と、とぼけてみたが「だから、口説いてください!お嫌いですか、好みじゃないですか」と諦めるどころか逆に詰め寄られてしまう。


「結構好みだけど、キャラ変わった?」

「アーレイ様、そう思うなら是非お試しください!わたしわたし」

「えっなに、急にどうした(汗」


 先ほどの悩む仕草は心が揺れ動き告白するか決めかねていたと気がつくが、時すでに遅く「結構好み」の言葉がトリガーになり、切羽詰まった表情に変化したフローレンスは愛の告白をしそうな勢いだ。そして・・・。


「アーレイ様のことが好きです!ずっとお慕いしておりました!」


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「いーけないんだ、いけないんだー」

「ゴラァ!灰にするぞ!!」

「すんません」

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  フェアリーがチャチャを入れてくるが相手にしている暇は無い。なにせ勇気を振り絞り告白したフローレンスは縋るような目に変化すると、アーレイをジッと見つめ、知らぬ間に右手が伸び重ね合わせてくるのだから。


「フローレンス落ち着け!気持ちはわかった、だがこれから先は駄目だ」

「はい、落ち着いていますよ、駄目ですか、ずっと慕っていました」


 立ち上がったフローレンスはソファー越しに急接近中で、このまま抱きしめキスすればベットイン確実なシチュエーションだ。アーレイを追い詰めるように胸元がはだけブラが丸見えになり心情的にはこのまま流されてしまいそうになる。だがしかし「恋愛対象として見ていたわけじゃないし、そもそもジェフの策略には乗らない」と断りを入れ我に返る。


「まあ、そうですよね。お嫌いになりましたか」

「嫌いになる理由がないよ」

「安心しました。これから育みましょう!」

「な・に・を・か・なフローレンス」

「決まっています愛です!」

「はい?」


 美麗な女の子にグイグイと迫られ悪い気分では無いし、どちら言えばめっちゃ好みなので恋人にしたいくらいだ。しかし策略に乗るのは不本意なので今晩は諦め帰ってもらうのが得策だろうと悩んでいると、出歯亀Aiがまたポヨンと現れる。


 >

「話聞かない系ですかね?」

「経験がないなりに頑張っていると思うよ」

「優しいですね〜(棒」

「好みだからね〜」

「スケベ」

「煩い、ポンコツ」

「本部に報告しよっと」

「勘弁してくれ(汗」

「誠意を見せて貰おうか!(ドヤ」

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 随分と人間の感情が理解できるようになったと感心していたが、切羽詰まった表情で徐々ににじり寄り、このままだと彼女から抱きしめてきそうなのだ。心を鬼にして「今日はとりあえず帰ってね」と言うと彼女はスッと距離を空けた。


「わかりました」

「素直だね」


 ここでフローレンスは「だって嫌われたくないもんここは引き際よ!」と考え、アーレイは「いい引き際だ、ヤバいやっぱ良い女だ」と両者の心の中で駆け引きが繰り広げられていたのは内緒ね。


「それではおやすみなさい」


 その後、何事もなく静かにフローレンスは部屋を出ていくのだった。


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「うん、残り香がいい匂いだ」

「汁ですよ!」

「知っとるわ!」

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 片思いが分泌物で裏付けされ、これでロックオンされたのは2人目だ。その気になればハーレムも夢では無いだろう。しかし地球に残した妻翔子の事を思うと踏ん切りがつかないアーレイだった。


 <<翌日早朝・食堂>>


「おはようアデール、朝早くて悪いね」

「アーレイ様おはようございます。このタイミングでしか喋れないので承知しております」


 朝日が顔を出す頃、アーレイは食堂に出向きフローレンスの前では語れないことや、レティシアの今後についての話し合いをするべくアデールと会っていた。予定も詰まっているので、なるはやで済ませて今は一息ついてお茶を嗜んでいる。


「昨晩は大変でしたね、貴方様なら手を出しても構わないのですよ」

「ブッ!こらこら、一般人ならともかく王女様はダメだろ」


 開口一番アデールはとんでも無い事を言い放ち、アーレイは危うくお茶を吹き出しそうになる。敬ってくれるのは構わないけど、あまりの無茶振りに開いた口が塞がらない。


「だって黒の力を持ってすれば星団征服などいとも簡単ですのよ」

「怖いこと言うなよ、この話はもうやめよう」


 中に潜むブラッドが何か言いたげだったのでアーレイは「恐怖で支配すれば長くは続かない」と心の中で呟くと納得したのか鳴りを潜める。その気持ちを魔法で見透かすアデールはウフフと口角を上げ、性格を含め色々と推し測っていた。


「それでは2人は予定通りクーン見学コースへと案内いたします」

「俺は収容所に出向いてラーと会うから後は任せた。いつも有難うアデール」

「勿体無いお言葉ですアーレイ様」


 >

「フローレンス様が入り口付近で待機中」

「あらら、聞かれたかな」

 >


 いつもの習慣で早めに起きたフローレンスは温かな飲み物を求めふらりと食堂に向かい、聞き慣れた声が聞こえ中に入るタイミングを計っていたらしい。


「えっ?いまアデール様がアーレイ様に対して”様”付けで喋っていたよね(汗」


 扉の向こうでアデールの最後の言葉を聞いてしまったフローレンスは一瞬聞き間違えたのかと混乱中だ。幸い深く頭を下げていた場面は見られなかったので決定打にはならず疑問だけが頭の中を駆け巡っっていた。


「アデール様の方が格上よね!なんでどうして、うーん悩んでも仕方ない」


 意を決したフローレンスは扉を開け室内へと入ると「レティシアが上手くいったのは署長とアデール様のおかげです」と言いつつアーレイは頭を下げ「貴方様のお知恵を借りて正解です」とアデールもまた頭を下げていた。この発言を聞き「なーんだ、互いを褒め称えていたのか」と納得していた。


「おはようございますアデール様、アーレイ様」

「おはようございますフローレンス」


 多少モヤモヤするがフローレンスは元気に挨拶を交わし、アーレイとアデールも何食わぬ顔でにこやかな笑みで返す。


「おはようございます。本日はVIP用見学コースを回り昼食後、帰国予定です」

「もちろんアーレイ様も一緒ですよね」


 一緒に行けると想像したのかフローレンスはニコニコ笑顔で親密になろうと余念がない。だがレティシアに行くつもりのアーレイは申し訳なさそうに頭に手を置く。


「悪いが別件があるので、アデール様に護衛を用意して貰った」

「わたしはアーレイ様に絶対ついて行きたいです」

「フローレンス、アーレイに従いなさい(オコ」

「嫌です!フリップは見学に、私はアーレイ様と共に行動します!(キリ」


 厳しい表情に変わったアデールが止めに入るも、一緒に動けるまたとないチャンスと捉えているのか、ベクトランの時と同様に目力が強く、決心を固めたフローレンスは背筋をピンと伸ばし首を縦に振ろうとはしない。


「あらあら目標を持つと変わるものね。アーレイの目的は捕虜収容所の視察よ」

「アーレイ様、私を収容所に連れて行って下さい、必ずお役に立ちます」


 強い信念を発揮しているフローレンスは引きそうにもない。アーレイは「敵国兵士が集まる捕虜収容所は危険だ」と説明するものの、それは護衛のお仕事ですと突っぱねられ、断っても勝手にベクスターに乗り込んでくる勢いだ。


「凄く強い信念を感じます。ここまで言うのであれば連れて行けばいいじゃない」

「承知しましたアデール様、派手な服は控えパンツスタイルに着替えてくれないか」

「はい承知しました。動けるような洋装に着替えてまいります」


 提案に対し反論は不敬にあたると判断したアーレイは帯同する許可を出す。フローレンスは表情は崩しはしないけど爛々と目が輝き始め、静かに席を立ち一礼すると颯爽と食堂を後にした。


「アデール頼むよ〜余り接点を持ちたくないんだよ~」

「あの子は一度決めたら曲げませんよ。うふふ未来が見えているのかしら(笑」

「おい!」


 ぶっちゃげこの5精霊の加護持ちのおばさまは、サフロン同様に未来予知能力を持つ。まだ確実では無いけどそれなりに影響を及ぼすことを知っているのか、手で口を押さえウフフと笑みを溢していたよ。


 ーー


 <<レティシア捕虜収容所>>


「アーレイ少佐、お久しぶりです」

「バグナー大尉、変わりはないか」


 ベクスターが上空に姿を現すと慌てたバグナーとラーが小走りで駐機場に出迎えてくれた。挨拶もそこそこに現状報告を聞きながら会議室へと向かう。フローレンスは長い髪を2本の三つ編みで整え、それを更にお団子状に纏めた状態でツバの付いた帽子を深く被り、極力目立たないように3歩後を付いて来る。


「アーレイ少佐、この方は誰ですか」

「デルタの王女様だ、自己紹介宜しく」

「デルタ王国のフローレンスと申します」


 帽子を取り1本前に出たフローレンスは軽く会釈をしながら短めの挨拶を行い、バグナーは隠されていた美貌を目の当たりにすると「マジですか!」と言い放ち固まってしまう。


「どうしたバグナー」

「デ、ディスティア軍バグナー大尉です。アーレイ少佐には大変お世話になっております(汗」


 遅れて挨拶を行うバグナーに対してフローレンスは訝しげな表情に変わり「敵国の兵士なのにアーレイ様と仲が宜しいですわね」と、珍しく嫌味を含んだ返しをしていた。長年宿敵として認識している手前、心情的に許せないのだろう。


「アーレイ少佐のお陰で昨日は外出許可日でした。みな感謝しております」

「はっ?外出ですか、敵国の兵士ですよ大丈夫なのでしょうか」


 捕虜が外出するなど前代未聞でフローレンスが驚くのも無理はない。アーレイはその疑問に答えるため外出許可を出した下りを説明するが、それでも納得できないのか眉間に出来た皺が取れることは無かった。


「信用するから彼らもそれに応えているだけだよ。なあバグナー、最近は違和感なく過ごせているだろ」

「みな本来の任務を忘れ農作業に邁進しています(笑」


 農作業で得た金が外出の際に使えることでそれが励みになり真面目に働いていると聞くと、フローレンスは約束を守る事で信用が生まれそれが良い循環になっていると気が付き、この事を考え付いたアーレイの評価がますます上がり皺は無くなり笑みを溢していた。


「なるほど勉強になります、バグナーさん困った事はないですか」


 先ほどまで敵視していたフローレンスだったが疑う事をやめ、アーレイの役に立ちたいと即座に気持ちを切り替え、補佐としての役割に徹する事に決めた瞬間だった。


「農作業の時に使う手袋が破れ、手指を怪我するものが増えています」

「服装などは問題無いようですね。手袋と簡易治療キットをご用意します」

「そ、それはありがたい。有難うございますフローレンス様」


 バグナーの着衣をサッと確認したフローレンスはアーレイの目を見て反論しないと悟ったのか、消耗品と医療物資の提供を独断で決める。まあ供給元はデルタなので止めなかったのだろう。


「アーレイ少佐ご意見よろしいでしょうか、私の独断なので怒らずに聞いてください」

「別に怒りはしないよ、気が付いた事があるなら何なりと仰ってください」


 補佐としての役割に目覚めたのかフローレンスは現状認識をしつつ、安堵するバグナーの表情の中に不安の影がある事に気が付き何かを閃いたようだ。アーレイとしては女性ならではの気づきを期待しているのかお任せ状態だったりする。


「残されている家族に手紙を出せたら良いと思うのです。文面の検閲は必要ですけど」

「フローレンス様、そこまでは望んでいません」

「私の独善ですから気にしないでください。バグナー大尉は手紙を送りたくないのですか」


 直ぐに届くメールでは無く、心情が伝わりやすい手紙と考え付いたのは女性ならではの視点だ。そう理解したアーレイは凄く感心しつつ、これはもしかしたら敵との窓口を作れるチャンスだと同時に考え始め、提案されたバグナーは屈託の無い笑顔を溢し心から感謝したのかフローレンスに向けて羨望の眼差しを向けていた。


「そ、それは勿論であります、フローレンス様ありがとうございます」

「それはとてもいい考えですね。特別に許可を出します」

「駄目と言われるかと思いました。有難うございます」


 本人的には突飛な考えだと思っていたのだろうか少し不安な表情をしていたが、アーレイが許可を出すと小躍りはしないが、ガッツポーズを決め内心では大喜びをしていた。

 

「細かい事はこのまま残って打ち合わせをお願いしても宜しいでしょうか、自分はラーと農場の視察に行って来ます」

「えっ私ひとりですか、あの~護衛は・・(汗」


 本気を試すために敢えて護衛無しでバグナーと2人で話し合えと突き放す。アーレイは「バグナーもいるし、君に手出しする事は無い」と断言すると、そのまま部屋を出て行ってしまう。残されたフローレンスは少し呆然としていたが気を取り直すと真剣な表情に変わり、タブレットを取り出しバグナーと向きあうのだった。


 >

「ピンキーよろしくね」

「はいなー、ころしちゃだめ?」

「ダメよ!」

「はいはーい」

 >


 実はクーンに到着した時からステルスピンキーはフローレンスの護衛のサポートをやっていたりする・・・。

宜しければブクマ評価お願いしますナノ。

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