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星団最強なのに回りくどい奴の物語。だってすぐ終わっちゃうじゃん。(改稿中)  作者: 耀聖(ようせい)
最終章・皆の幸せの形。
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演習は突如殺し合いに。

グレイスが潜む森で、訓練が始まります。

【少し前・グレイスの部隊】


「どうした、足を止めている暇はないぞ」

「この動き、素人じゃないな」


 サラの部隊との距離は、まだ数キロあった。


 傭兵達は歩きながらサラの部隊の様子をうかがっていたが、その動きの洗練されぶりに、思わず足を止めた。


「強襲する前に、戦いを一度拝見したい」


「まぁ、それくらいなら、とりあえず急ごう」


 中心部の北側で待機していたグレイス達は、サラの姿を求め、足を急がせる——。



 ※※※※※※



【サラの部隊】


 <まだ近づくのか(汗)>

 <もう少しよ>


 とっくに射程距離内へ入り、左側の敵との距離は100mを切っている。

 無線越しの声は平静そのものだが、ウルフは流石にビビっていた。


 <撃ったら突っ込む。なので後は頼むね>

 <ああ、任せろ、作戦は伝えてある>


 なんとも無謀な作戦を実行するサラ。

 ただし、これにはちゃんとした理由があった。

 サラは遊撃しながら右側の敵を引きつけ、ウルフたちが左側の敵を制圧する隙を作るのが役目だ。


 <さあ、行くわよ>


 ウルフを信じ、銃を構えスコープを覗くサラ。

 敵に照準を合わせ、トリガーに指を掛ける。


 パシューン


 サラは、撃った瞬間に走り出す。


「うわぁ!」


 赤い閃光は容赦なく敵を貫いた――。

 戦死判定を示す赤いマーカーが光り、敵の男子は、何が何だかわからない様子だ。


「どこだ、敵は——」


 パシューン


「くっそ」


 走りながら二射目が撃ち込まれ、あえなく死亡判定が下された。


(すごい腕前だな……負けちゃいられない)


 森の狩人と呼ばれるエルフ並みの射撃精度。走りながら正確に敵を撃ち抜くサラの腕前に、ウルフは驚いていた。


 パシューン


 パシューン


 彼は負けじと、一人、また一人と正確に狙い撃ちしていた。


「いやん、こないでー」


 残り一人は、銃を構えたまま、腰を低く突進してくるサラに慄き、戦意喪失していた。


 パシューン!


 戦闘開始から数秒。左側の敵は、あっという間に全滅した。


 そして——。


「敵だ敵だ!撃て撃て」


 予想通り、右側の連中が気付き、動き回るサラを狙い始める。


 パシューン!

 パシューン!


 狙い通り、無数の赤い閃光がサラに迫る——。


 <動けないフリするから、後はヨロ>


 <分かった。タイミングは任せる>


 自ら囮になったサラは大木に身を潜め、敵の射撃に押されて動けないように見せかけながら、散発的に撃ち返し始める。


 ウルフは静かに潜み、護衛達は既に位置につき、照準を合わせていた。


「前の隊は全滅したのか」

「ああ、だが敵は一人だ。みんなで囲むぞ」


 サラ以外の敵は全滅したと思い込み、周囲への警戒も薄れたまま、恐る恐る近づいてくる。


 パキン――。


 小枝を踏み折る音が聞こえるほどの距離まで、敵が迫っていた。

 木の陰に潜むサラにも、敵の殺気がはっきりと伝わってくる――。


 <撃て!>


 敵の意識がサラに完全に向いた、その瞬間を待っていた。


 反撃の狼煙となる鋭い命令が下され、赤い閃光が森を染めた……。



 ※※※※※※



【グレイスの部隊】


「見事なまでの連携だな」


「ああ、射撃精度も、制圧もプロ並みだよ(笑)」


 離れた場所でサラの戦いの様子を見ていた傭兵達。

 サラの対策が出来たのか、ゆっくりと動き始める。


 <逃げ道を塞ぐんだろ>


 <ああ、クロスファイアに持ち込む>


 光学迷彩によって透明化した三人は、サラが進んでくる位置に布陣する。



 ※※※※※※



【サラの部隊】


「んっ?」


 中心に向かっていたサラは、異変を感じ足を止めた。


「サラ、この先に変なのいるよ」


 突然、パタパタと羽を鳴らした風の妖精が現れ、この先の異変を知らせてくれる。


 変なのがいるということは、学生とは違う、全く別の何かが潜んでいると考えるのが正解だ。


 <ウルフ、迂回する。斜め後ろに下がる>


 <了解>


 先頭をウルフに任せ、サラがしんがりを務めながら、斜め後ろへ下がる。


 後方を注視しながら、ゆっくりと後ろ向きに下がっていく——。


(森の雰囲気が変だ……確かに嫌な予感がする)


 エルフの探査能力はないが、森遊びで培われた野生の勘が警告を鳴らす。


 その時だった——


「グハァァ!」


 突然、青い閃光が走った。次の瞬間、それがサラの肩に直撃した。


 サラは、反動でウルフの横まで吹き飛ばされてしまう——。


(ベストが反応しない……実銃から撃ち出されたスタン弾か!)


「大丈夫か、サラ、撃たれているじゃないか」


 左肩から立ち上る煙と、ベストに開いた穴を見て、実銃だと嫌でも理解した。


 だが——


「アーマースーツ着ているから平気よ、とりあえず下がりましょう」


 軍用のアーレイワークスのモジュールならシールド機能があるが、さすがに訓練にそれを使うわけにはいかない。


 その代わり、防御力の高いアーマースーツを着用していた。肩の装甲が衝撃を受け止めたおかげで、致命傷には至らなかった――。


「サラ、救援を呼ぶか?」


「奴らはプロよ、既に通信を妨害されているわ。さぁ、走りましょう」


 殺す気ならとっくに撃ち込んでくる。


 静かなのは、こちらが動くのを待って、いたぶるつもりなのだろう。


(狙いは私よね……さてどうやって反撃しようかしら)


 もはや、グレイスが仕組んだとしか思えなかった。

 だが支援しているのはプロの連中だ。

 サラは難しい判断を迫られることになる。


 考えながら走っているその時だった——。


「ガフゥ」


 まさかの足元から、青い閃光が走りウルフの足を貫く。

 それは、待ち伏せ用に配置した小型ドローンの攻撃だった――。


「ウルフ!すぐに治療をする。護衛の方は周辺警戒をお願い」


 サラはバックパックから医療用トリコーダを取り出すと、すぐに治療を始める。

 傷は浅く、みるみる回復してゆく。


「すまない助かる。君達実銃の許可を出す。みんなを守ってくれ」


 ウルフは護衛たちを本来の任務に戻し、自分たちの安全確保を優先させた。


 護衛たちは軍用モジュールや支援装置を装備している。そう簡単にやられることはないだろう。


「承知しました王子」


 護衛達は、早速簡易型のシールド装置を起動させて、安全地帯を作り出す。


 これで傭兵達は迂闊に手を出せなくなる。


「狙いは私なのに、巻き込んで悪いわね」

「これからどうする? 君が狙われているんだろう」


 狙いが自分だと分かっている以上、ウルフたちをこの場に留めておくわけにはいかない。


「私が何とかします。ウルフ、悪いけど、みんなをお願いします」


 覚悟を決めたサラは、物静かにウルフと向き合う。


 普通の女の子なら慌てふためくところだが、サラの表情は静かに凛としたものへ変わっていく。


(雰囲気が……変わった)


 目を見開き驚くウルフ。


 その堂々とした佇まいは、民を守るためなら死をも恐れない軍人――いや、王族のような気高さを感じさせるには十分だった。


 「すまない」


 「いえ、当然のことです」


 サラはふっと笑みをこぼすと、銃を肩に掛けて走り去っていった。



 ※※※※※※



【グレイスの部隊】


 <早い早い、待ってくれ>


 <足止めするから、慌てるな>


 グレイスたちは、ありえない速度で森を駆け抜けるサラを必死に追いかけていた。


 しかし、バックパックを捨てて身軽になったサラに、簡単に追いつけるはずもなかった。


 先ほどまで見えていた赤髪は、すでに緑に邪魔され、視界から消えた――。


 <クッソ見失ったぞ、マップからも消えた>

 <ダメだ赤外線モードにも反応しない>


 マーカーで追跡できる以上、自分たちが優位に立っていると思っていた。

 しかし、サラはマップから忽然と姿を消した。


 そして――。


 ビュー


 「んっ、何だいきなり風が吹いたぞ」


 自分たちの周りだけ風が吹き、身体に木の葉が纏わり付く。


 静かな森に突如として吹いた風、底知れぬ不気味さが脳裏を過る――。


 ゴン!


 「ギャ!」


 突如、足元の草むらが跳ね上がり、何かがグレイスに襲いかかった。


 グレイスはいきなりの衝撃に、悲鳴を上げた。


 ゴンゴン!


 「ギャー!」


 鈍い音とともに、見えない何かの攻撃が続く。何もない空間に、シールドの淡い光だけが浮かび上がっていた——。

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