判決とカルネの船員達。
星団会議の締めと、タイラーさん登場
<<翌日・懲罰委員会>>
翌日、熱核兵器の審議が行われると僅か数十分でディスティアは使用を認め、そのまま懲罰委員会が行われた。アーレイはセオドールの証人喚問を要求すると当然のように猛反発し、妥協案として艦隊視察を要求をすると、旧型艦の視察ならばと寝ぼけたことを提案してくる。
「フレッチャーと建造中の旗艦で勘弁してやる」
「ふざけるな、新型艦など見せられないわ」
とまあ予想通り拒否されることになるが、反省の色が見えないとして議長が「懲罰として惑星破壊ミサイルを周回軌道上に設置しますよ」と脅すと、急に日和って「新型以外なら見せれなくもない」と弱気な発言をしてチャンスが到来する。
「仕方ないな〜修理中のラインハルトの視察で勘弁してやるよ〜(ドヤ」
「クッソ、仕方ない」
やり手ビジネスマンの如く先にハードルを上げ、妥協する形で目的である空母視察の権利を勝ち取る。交渉に慣れてないのか代理人の男は苦虫を噛み潰したような表情を見せていた。因みにアーレイは腹の中で「ククク、コイツらチョロ過ぎる」と笑っていたのは内緒です。そして熱核兵器に関しての議論が始まりを迎える。
「普通科連隊じゃ意味ないな見るなら精鋭部隊、いや第201特殊工作部隊の武器でいいや」
次に首都防衛隊に狙いを定めたアーレイは先程と同じ様に、思いっきりハードルを上げて交渉に挑む事にする。すると代理人は顔を真っ青にして本国のセオドールと相談しているのか、ペコンペコンと頭を下げていたよ。そりゃ星団法違反の武器開発を手掛けるとの噂の部隊を見せろと言われれば、そう反応するのは普通だろう。
<<ディスティア側>>
「閣下、アーレイの奴は特工部隊の秘密を知っています」
<それさヤバいぞ、星団法違反の武器がばれてしまう断固拒否するんだ>
星団法違反の武器を「星団側との戦争」で使わなければ違法とはならないが、それはあくまでも建前で明るみの出れば疑惑の目で見られ、星団側が同じ武器を用いて自軍に対して自作自演の攻撃を行えば、ディスティアが使用していないと弁明しても覆すのは容易な事では無いだろう。そうなる事が目に見えてわかるセオドールは焦り気味だ。
<<懲罰委員会・議場>>
「アーレイ君、その要求は流石に無理なのでは」
「そうだ!普通科すら見せられるか」
星団法違反の武器は絶対見せられないので猛烈に反対していた。しかしここで諦めたら意味がないのでアーレイは「じゃもう惑星破壊ミサイルでいいや」ともっとハードルを上げてみた。
「おいこらふざけるな」
「だって星団法違反だしー、戦艦の件を再審議しようかな〜」
一応、会議が始まる前に自爆戦艦は除外する考えがあると匂わせていたが、カードとしては有効なので使って追い込んでみた。すると代理人のアイツは顔を真っ赤にして怒り出して湯気が出そうな勢いだ。まあ蒸し返されれば誰だって頭に来るだろう。
「代替え案があれば聞く用意がある(オコ」
「仕方ないですね〜首都防衛隊なら予備兵ばかりですのでそれで我慢します〜」
「少し待て」
代理人はセオドールと相談したいのだろう。いったん中断して先ほどと同じように頭を何度も下げるので密談しているのが丸わかりだ。そして待つ事5分、議長がそろそろ宜しいですかと区切って来ると、何とも言えない苦い表情の代理人はアーレイをまた睨んで来た。
「防衛隊なら構わん、だが防空システムは見せられん!(オコ」
「こいつら自分たちが悪さした自覚はあるのかな、まあいいやそれで手を打とうじゃないか(ドヤ」
アーレイは白々しくここまでハードル下げたんだから良いですよね!の体で、首都防衛隊の視察を勝ち取ったのであった。
ーー
<<セオドールの執務室>>
「はあ〜疲れたわ、すごくタフで弁が立って頭の回る奴だな(呆」
<ネゴシエーターの素質もあるのですかね。今までのデルタの代理人なんて可愛く見えます>
今回の懲罰委員会はアーレイの策略によって今まで類を見ない程の星団法違反が懲罰員会の議案に上がり、ディスティア側には事前に議長から「期間限定だが惑星破壊ミサイルが配備される可能性がある」と厳罰傾向になると打診を受けていた。セオドールとしてはそれだけは避けねばと考え、会議冒頭から代理人と密に連絡を取り合い委員会に臨んでいた。
「もうやりたくないな少し大人しくするか、指示だけでこんなに疲れるんだな」
「ええ、次は勘弁してもらいたいです」
違反したお前らが何を言うんだ、と突っ込みが入りそうだが、今回の件は余程堪えたのかセオドールは表立って当分の間は禁止武器を使うなとお触れを出すのだった。
※「惑星破壊ミサイル」
全長100mを超える巨大なミサイルは、数百年前ディスティア帝国が星団の覇者を目指し究極の破壊兵器として誕生させた。もちろん使用すれば惑星そのものが消滅してしまうので脅しとして使うつもりだったが、とある攻防戦の最中に手違いで発射され多くの人々の命を奪ってしまう。初めて開催された星団会議の場において固く使用を禁じられ、同時にクーン精霊王国が同じものを開発して抑止力として保持したことにより「アーブラハム帝国滅亡」以来使われることは無かった。
ーー
「ポコ、べクスターに乗ってクーンに行こう」
「はいナノ」
星団会議を終えたアーレイは代理人に挨拶を終えると転送阻害エリアに向かい、上空に待機していたベクスターに乗り込み逃げるようにフェデラリー共和国を後にする。もちろんディスティア諜報部が宇宙港で網を張って待ち構えているとの情報を得ていたためだった。
<<クーン精霊王国・客間>>
「ようこそお越しくださいましたアーレイ様」
「手間を掛けさせて悪いねアデール」
事前に連絡を入れていたのでアデールと執事のフランクが出迎えてくれ、そのまま客間に入り第9艦隊に転属させる乗組員の閲覧式の説明を受ける事になる。ポコはベクスターの整備があるのでクーン指令本部に行く際に合流する予定だ。
「ニコラより話しを聞きましたが、下士官達はアーレイ様を自分の目で確認しないと認めないそうです」
「まあ口頭で言われても実感は湧かないだろうな」
1番強いのはアーレイ少尉様だと説明しても、血気盛んな獣人達は自分たちの目で見るまで信用しないらしい。アデールも「これ飼い慣らすの大変なんですよ」と漏らし、すでにコレ扱いで5精霊の加護を持ってしても手に負えないらしい。
「やっぱ脳筋なんだな~」
「精霊の力で抑え込めますけど、全ての反発心までは刈り取れないのです(悩」
話を聞くと6精霊を保持する獣人精霊女王の存在があってこそ、獣人達は5精霊のアデールの命令に絶対服従すると言う。それだけ5と6の間にはとても大きな差があり、正式な女王は膨大な魔力を使い天変地異を起こし、強力な魔法を操る神のような存在だと付け加えて教えてくれた。
「そうなんだ。さてコイツらどうしたものかな」
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「アーレイ我の力を使い服従させればよい」
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ここでブラッドは力を存分に使えばいいと言ってくるが、黒の精霊を保持しているという事実が下士官に知れ渡れば、あっという間にデルタ軍にも広がる筈だ。そうなればジェフやディスティアにも知れ渡り、碌でもないことになるのは間違いないだろう。
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「前女王は力を欲するディスティアに追われたんだろ、面前の前で披露すれば同じことが起きるかもしれん」
「んまあそうだな、じゃあどうする」
「必要なら呼ぶよ」
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ブラッドの好意をやんわりと断り、腕を組み考え込んでいると整備を終えたポコが客間へと入って来た。すると「アーレイ様は何を悩んでいるナノナノ」と興味津々で近寄って来る。アーレイとしては3人寄れば文殊の知恵ではないがポコにも解決策を聞いてみる事に。
「簡単ナノ、あのね力のニコラ、技術のコロンって呼ばれているナノー」
「なにそれ、あああの結果ね」
模擬戦が行われた数日後、ポコはクーン宇宙軍に呼ばれ出向くとニコラから「アーレイ様の提案通り君は飛行技術で1番なので俺と同格だ」と言われ、どうやら2人で連中を取り仕切る事になったらしい。
「今回ポコは初披露目ナノ、なのでその場で下位の序列を決めればいいナノ」
と言う訳で、ニコラがポコの存在を認めた上で新たな序列を決める事になり、問題は解決しそうだ。アーレイはクーン指令本部へと足早に向かう。
<<クーン宇宙軍指令本部・運動場>>
デルタ宇宙軍に編入予定の乗組員8.500名が運動場に整列をしつつ、アーレイが現れるのを心待ちにしていた。ニコラ、ポコの順に演説台に上がると皆一斉に敬礼をする。
「皆も知っている通り、飛行技術ではデルタ軍のポコ少尉が1番だ」
冒頭、ニコラがポコを認め技術系の序列1位だと宣言すると、誰も反論することなく決定に従う。次にアーレイが登壇すると一瞬ざわつきニコラが「全員注目!今からデルタ宇宙軍アーレイ少佐より挨拶がある」と宣言すると途端に静かになり、8.500名もの視線がアーレイに突き刺さる。
「デルタ第9艦隊指揮官アーレイ少佐だ。先ず初めにアデールの呼びかけに賛同してくれたことに感謝する」
志願してくれたことに感謝を表し次にアーレイは「俺の部下のニコラと勝負して序列を決めて貰う」と宣言をすると、トラ族の男が飛び出してくるなり「アーレイ少佐は本当にニコラより強いのですか」と聞いて来た。なので最後列まで聞こえるような大声で「ニコラの態度を見て分からないなら俺が瞬殺してやる」と宣言する。
「アーレイ様、わたくしが露払いを致します(オコ」
「あわわ、ニコラは勘弁してくれ(焦」
挑戦状を叩き付けた虎族のにーちゃんは、アーレイの前で平伏しつつ、先陣を切ると啖呵を切ったニコラを見て、一瞬で縮み上がり戦意喪失してしまう。だが口の利き方自体が不敬にあたると言って胸ぐらを掴み、今にもタコ殴りしそうな怒気を放っていた。
「アーレイ様に挑む前に俺が相手するから夜露死苦」
「終ったナノ〜」
チョットした茶番劇に見え無くもないが、アーレイの前で平伏すニコラを見て乗組員達は嫌でも一番強いのはアーレイだと認識せざる得なく、飼い慣らし問題はあっという間に終わりを迎えるのだった。
ーー
<<デルタ国際空港・デルタ軍駐機場>>
「ジェフ陛下に敬礼!」
デルタ宇宙軍に編入される8.500名は数機の貨物船から下船すると隊列を組みむと、一糸乱れぬ行進を行いジェフに敬礼をしながら簡易的ではあるが閲覧式を執り行っていた。
「8.500人とはいやはや予想を遥かに超える人数だなアーレイ」
「喜んではいられません、全員第9艦隊で纏めないととんでもない事になります」
クーンの獣人達はデルタより闘争本能が強く扱い難いと説明すると「君の艦隊だ好きにしなさい」と言われ、更に空母打撃群を組めとの正式な勅命を頂いた。
「ありがとうございます陛下」
「フォフォ、ここまでやる奴は初めてじゃ頼もしいぞ」
ディスティアを手玉に取り、人材不足を色々なアイデアで解消し理想を形にしてゆくアーレイを見たジェフはとても満足そうだ。
ーー
<<司令本部・サロンバーカウンター>>
「中々帰ってこないと思ったら人集めだったんだな、それにしても会議は面白すぎたわ」
「そりゃ陛下も激おこだし、この前の仕返ししたいから流石に頑張るよ」
閲覧式が終わり訓練施設にクーンの連中を放り込んだアーレイは、事務手続きからやっと解放され本部に戻って来る。笑いながら出迎えてくれたクリスから、琥珀色の飲み物を渡され乾杯すると急に真剣な表情に変わった。
「今回の事で君は最重要保護人物の1人になったぞ、護衛は王女より上の扱いになった」
星団会議が終わった直後、ディスティア諜報部にアーレイ暗殺の指令が発令され、デルタ市内にアサシンと思われる連中が入国してきたと教えてくれる。当の本人は気にすることなく「そうかこの前みたいに影同士で飲めないな」と残念そうに話す。
「ええ!お前、そんな事やってたの?」
休暇の際、一人抜け出し酒場の事を話すとクリスは目を丸くして驚き「予想以上に斜め上な奴だな」と言われてしまう。なのでありがとうと返すと「褒めてねーし、外に出かける時は12人のSP付きだぞ」と念を押されてしまう。
「おちおちナンパも出来ないな」
「王女にしとけ、君が一声掛ければ即結婚してくれるぞ」
王女とはフローレンスの事だろうと即座に思いついたアーレイは「独身だったら貰うわ」と言いそうになったが、絶対フラグが立つと思い口をつぐむ。そうこうしていると様子を見にきたポコに肩をポンポンと叩かれた。
「アーレイ様、ポコを口説いていいナノー」
「ポコ、お前は圏外だから心配するな」
見た目中学生のポコはクネクネとセクシーポーズを決め懸命にアピールしてくるが、性欲が湧くどころか逆に萎えたアーレイはキッパリとお断りを入れる。しかし嘘泣きを始めてしまいサロン中の注目を集めてしまい、カオスな状況になろうとするころ巨乳をゆらしながら「アーレイ様~♡」と黄色い声をあげたエロフが登場してしまう。当然、視線は殺気へと変わる。
「おお、揺れてる揺れてる!」
「コラ!」
「お久しぶりでーす」
タイラーの暴力的なアレがボヨンボヨンと波打ち、クリスは巨乳好きなのか鼻の下が伸びていたよ。それを横目で見ていると中空モニターにフェアリーがグルグルと喜び飛び回る。
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「巨乳警報発令」
「はっ?」
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「ぐほぉぉ。。。タイラー!」
途中、思いっきりジャンプしタイラーはポコを跳ね飛ばし、アーレイの胸に向かって飛び込むと、そのままギュッと抱きしめられ、巨大なアレをグイグイ押し付ける。まあ感触は悪くないが周りの目線が突き刺さるので速攻で剥がす。
「いつでもお待ちしていますのよ♡」
悪びれる様子もなく話し聞かない系エロフは、相変わらずの推しの強さは変わらず「お断りしてます」と答えると全く耳に入らないのかポケットをゴソゴソし始める。
「はいこれ、サフロン様からのお手紙です」
「はっ?なにそれ」
サフランと繋がりがあるタイラーは間違いなくアーレイの事を熱っぽく語り、何とか進展させようと相談したはずだ。でなければ直筆の手紙など出さないだろう。もう嫌な予感しかしないが読まない訳にはいかず便箋をパラリと開く。
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アーレイくん、タイラーは人生の岐路に立っているから望みを聞いてあげてね。アーヴィンの貸しがあるよね、じゃ宜しく。
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読み終え半笑いの目でタイラーを見るが、既に内容を知っているのかニコニコと笑顔を溢し「何処にするタイラー」の言葉を心待ちにする様子が手に取るように分かる。全く預言者は肝心な事を教えずに困ったものだと思いつつ「SPが同伴になるぞ」と回りくどくお断りを入れてみた。
「あら、護衛が付いてバッチリですね!安心してラブラブ出来ますわ」
予想通り斜め上の答えが返ってくるとクリスは「がんばれよ」とか言うし、フェアリーには「Aiでも分かりますモテ期ですね」といわれる始末だ。あの件のお礼が済んでないのと、サフロンは何かしら暗い未来を知った上での事だろうと考え、アーレイは仕方ないかと思い始める。
「なぜ、そこまでプラスに変換出来るんだよ」
「うふふ、それは長所でーす。お店はもう予約しました♡」
断らない前提で進めていたのだろう。アーレイのモジュールには無国籍料理店のアドレスが送られてくる。そして跳ね飛ばされたポコは復活するとガルルと唸り声を上げ「敵認定ナノー!」と怒りを露わにしていた。
「そうそう、極秘ですがデルタ軍は魔法部隊復活するそうですよ」
「無視されたナノ・・」
受付嬢は耳が良すぎる種族の利点を生かし、漏れ出て来るお偉方の会話を聞いていたらしい。クリスは知っていたのか苦笑いをしていたよ。因みにポコは無視されて顰めっ面だ。
「それ本当なの、ならタイラー活躍出来るかもね」
「もしかすると受付嬢から脱却出来るかもです」
武器の取り扱いが苦手なのと運動音痴が元で今の職業に甘んじているタイラーは、魔法がちゃんと使えるように成れば部隊で活躍出来るかもしれない。そう思ったアーレイは頑張れよとエールを送ると「専属魔法部隊にしてください」とお願いされる。
「あはは、それはクリスの仕事だな」
「コラ、面倒を押し付けるな」
もし仮に魔法部隊が誕生するとしたら、クーンやフォーレストなどからも魔法士を集める事になるだろう。そうなれば今回の乗組員と同様に他の艦隊に配置するのは難しく、内々で聞いていたクリスは核心を突かれたのか微妙な表情に変わる。
「さあさあ今夜は一緒にご飯食べにいきましょ♡」
強メンタルのタイラーは話をぶった斬ると、しれっとアーレイの腕に自分の腕を絡めてくる。となれば忠犬ポコもプンスカ怒りつつ反対の腕に抱きつき一緒に行くと言い出してしまう。
「悪いなポコ、偉い人からの要請で断れないんだよ」
「ムカつくけど分かったナノ」
仕事の一環として割り切り素直に引き下がってくれたと思いきや、ポコはジッとタイラーを睨み敵認定していた。なのでアーレイは「偉くなると色々あるんだよ」と慰めの言葉を送るのだった。
宜しければ、ブクマ!お願いします。




