商人の性。
ハーフエルフは人気です!
<<ホテルアルデ・セミスイートルーム>>
「確認したのだ、間違いなく城に囚われているのだ」
コロンの内偵調査の結果が出た。屋敷の残り香を頼りに城の風下に入ると同じ匂いがしたそうだ。
「流石コロン犬だな」
「ガルゥ!」
裏も取れた事だしやらなければいけないことが見えてくる。明日はエルフ情報を流し無理矢理にでもオークション開催に持っていかなければならない。キースは勝負所だと理解しているのか、強面の眉間に皺が寄り誰も話しかけれない雰囲気が流れていた。「酒でもどうだ」と勧めても首を横に振るばかりでそのまま静かに過ごすのだった。
ーー
<<翌日・オークション会場>>
開かないオークションに真実味を持たせるため、信頼する仲間の奴隷商以外には開催すると伝え、誰しも疑うこと無く郊外にある多目的ホールに三々五々集まり始めていた。そんな所に強面のキースが偽の身分証をチラつかせ会場に現れる。
「オークションに急ぎで出品したいのだが」
「悪いね数が集まらなくて受付はもう締め切ったよ、今回は懇親会だけだ」
知らされていない連中には受付で断りを入れ、いつもの懇親会は開かれると言われてしまう。まあここまでは想定内だ。なので食い下がりつつ相手の出方を見る事に。
「それは困ったな」
「困っているなら預かるぞ」
預かるという想定外の助け舟を出されキースは一瞬焦ったが、顔色一つ使えずに「もう店じまいするから現金が欲しいし、商品は上玉だぞ」と食い下がってみた。
「上玉でもな今回はもう」
「頼むよ、カルネの将軍が来る前に処分したい」
キース、ここは踏ん張りどころだ。何としてでも開催に持って行かなければならない。とは言え最初からエルフとは言わず少し引っ張って、本当に困った体で話を進めるしか無いだろう・・。
「そう言われてもな、秘密裏に処分すればいいじゃ無いか」
「そりゃ普通の奴隷だったら言われなくてもそうするよ」
困った演技が功を奏したのか受付の男はアドバイスを出してくる。なので勿体ぶると「数が多いのか、それとも希少なエルフ族か?」と興味を示したのでチャンス到来だ!
「そうだハーフエルフの若い女だ」
「なっ、なんだとハーフエルフの女だと、本当なのか」
受付の男はハーフエルフと聞くだけで前のめりになり、先程の態度とは一変して早く詳細を教えろと食いついてくる。とりあえず第一段階は突破だ。後はオークションを開くかどうかが勝負所だろう。
「希少過ぎるぞ、普通ハーフエルフじゃないぜ(ドヤ」
そしてキースは自分の手を胸に当て膨らみをアピールしながら「これだぜ、巨乳を見たきゃ明日にでも連れて来るぞ」と受付の男を煽ると、唖然とした表情を浮かべ口がポカンと開いてしまう。
「しゅ、主催者に聞く、聞いてくる。明日だな明日連れてこい(汗」
「連れて来るから開催してくれよ」
受付の男は立ち上がりキースとやり取りをしながら奥の部屋へと消えていった。この情報がコンドラトの耳に入り興味を持ち、実際にタイラーの爆乳を拝めば間違いなく開催する筈だ。しかし一つ不安がある。それは会頭の権力を使い独り占めすることだ。
奴隷商A「兄ちゃん、そのエルフは本物なのか」
奴隷商B「お前見ない顔だな」
ロビーで聞き耳を立てていた奴隷商達が、訝しげな表情を浮かべキースを睨みながら近づい来る。「待てよコイツらに話せば秘密に出来なくなる」と瞬時に判断してタブレットを取り出し、アーレイのモジュールからコピーしたタイラーの写真をチラ見させながら「俺は受け子だったんだが、捕まった奴隷商の店から連れ出したんだよ」と咄嗟に嘘をつき、追加で「仕入れたばかりだ、弄ってないぜ」と言うと食いついてくる。
奴隷商A「来た!チャンスだ」
奴隷商B「これは買うしかな〜い」
奴隷商C「巨乳エルフだと!」
アレな双丘のタイラーの写真はエアータクシーの車内で、且つ術式を発動する前の不満顔をしていた。連れ出した直後と思われたのか疑っていたオッサンはキースのことなど気に留めずに「買う買う」と連呼していたよ。
「明日な、明日連れてくるから」
「仲間に伝えるからバックレるなよ」
キースはその場から一旦立ち去り。数時間後、レスターが先に到着したので同行していた諜報部員を奴隷商に仕立て上げ、オークション会場に連れて行くことになる。
<<数時間後・オークション会場>>
「こちらでオークションがあると聞き、急遽連れて来ました」
「駄目だ駄目だ、飛び込みは受け付けない」
コンドラトの耳に入っているはずだが何故か追加を受け付けないと、先程の男が頑なに拒み始めたので「見てから決めろ」と言って、レスターのスカーフを剥ぎ取り素顔を晒す。
奴隷商A「なんだと、またハーフエルフだと、俺はこの場で買うぞ」
受付「えっ?」
周りでまた聞き耳をたてていた商人たちは、レスターの周りを囲み値踏みをし始め、受付の男は2人目のハーフエルフを見て何がなんだかわからない様子だ。
奴隷商B「いま、いま買う!2億だ」
奴隷商C「俺は2億5000だ」
受付の男「わわ明日だ、明日決めるから連れて帰れ!もう今日は業務終了だ」
騒ぎになりそうな雰囲気が漂い始め、受付の男はレスターの頭にスカーフを乱暴に被せ連れて行けと背中を押した。そしてクローズの看板を立てかけて足早に去って行くのだった。
<<コンドラトの城>>
商業連合の会頭の座を15年近く居座るコンドラトは奴隷売買で莫大な利益を上げ、古城をキャッシュで購入して贅沢の限りを尽くして暮らしている。因みにここの住まいは別荘だったりする。
「コンドラト様、大変です。2人目のハーフエルフが現れました」
「な、なんだと、もう1人だと本当か?」
受付の男はタイラーの事を報告はしていたようだが、コンドラトはやはりキースが危惧した通り直接交渉して買うつもりだったのだろう。2人目が現れたと聞くと驚くと同時に苦虫を噛み潰したような表情に変わる。
「奴隷商の中でも相当噂になっております」
「ああ、仕方ないオークションは予定を変更して開催する」
1人ならまだ何とかなったが2人目も専有すれば子飼いの連中の反感を買い、その噂が広まれば会頭の《《再選》》が危うくなるだろう。奴隷エルフにはそれだけ巨額が動くということなので、コンドラトは渋々開催を認めるしか無かった。
「コンドラト様、アーレイがクリス少佐と共に、街中の顔認証に引っかかりました」
「やはり現れたか、奴らの行動を逐一報告するんだ」
嘘情報に乗ってアーヴィンに姿を表さない方が不自然だと考えた2人は、わざと顔認証に引っかかる為に街中を歩き回っていた。まあコンドラトの事だ、開催時間をギリギリまで公表せず切り抜けるつもりだろう。しきりに時計を見ていた・・。
ーー
<<夕方アーヴィン国際空港・到着ロビー>>
「ふんふん♪アーレイ様はどこかな〜」
一般人の旅行者として到着ロビーに姿を見せるタイラーさんは、丸く大きな白い帽子に黒の幅広サングラス、黒のTシャツに白い短パン姿で、本人的には目立たないつもりだ。
乗客「おお、デカイ!それも可愛い!!」
サングラスで素顔を隠しても、輪郭から美顔と想像できるし、強烈に自己主張する《《Eの花》》は黒色Tシャツで目立たないようにはしているが、巨大な膨らみは男達の目線を釘付けにするには十分な威力だ。通りすがりの男たちの鼻の下が伸びるのは仕方ないし、何故か引き寄せられる様に後に続いていたよ。
「あー、みーつけたー!お待たせ〜」
「グフォ・・」
アーレイを見つけると小走りで近づきダイブすると、そのまま双丘をぼよ〜と押し当てギュッと抱きつく。そして「どう気持ちいい、えへへ」と笑い、腹部に衝撃を受けたアーレイは顔が青くなりながら「確かに凄い」と思いつつ全力で剥がす。
「おい、タイラーいきなり何するんだよ」
「だって会いたかったんだもん♡」
直球で逢いたいと語り満面の笑みで抱きつく姿を見れば、回りを伺う連中には恋人同士に見え、アーレイに妬みという名の視線が集中しそれは殺気に塗れていた。
「死ねば良いのに」
「爆発しろ」
「刺されてしまえ」
男の妬みは激しく、くどいと有名だ。突き刺さる目線に耐えきれないアーレイはタイラーの手を引っ張り、エアータクシー乗り場に一直線だ!
「何で認識阻害しているのに気が付いた」
「だって、好きな人のオーラは見間違えないもん♡」
「・・・」
本格的な変装はせずモジュールに備わっている認識阻害モードを使い、接近しないと本人と認識できない筈なのだが、探査魔法を駆使して存在を認識するタイラーは手段を選ばない。
ーー
<<ホテルアルデ・セミスイートルーム>>
「はあ、大変だったわ」
「アーレイ様、いつで良いですわよ」
追手を確認しながら遠回りしてホテルに入り一息ついた途端、ニコニコ笑顔と微妙な言い回しで誘ってくる。アーレイは「任務だよね」と牽制するも、「はい、任務という名のスキンシップです」と相変わらず斜め上を行くタイラーは健在だ。
「おい!まだ日が高いぞ」
「あら夜なら良いのですね!畏まりました、優しくお願いしますね」
「・・・」
相変わらず斜め上というか常にアーレイを欲するタイラーちゃんだった。
<<数時間後・・>>
「皆様諜報部特製のフェイスマスクはお気に召しましたか」
明日は朝から動くため就寝前に変装することになり、クリスとアーレイは諜報部が使う変装用の特殊フェイスマスクを被り微調整を行っていた。
「これ凄いな、目の位置が変わったように見せかけるんだ」
「はい、市井の顔認証はもちろん民間用のスキャンセンサーなら感知できないマスクです」
「なんか俺チャラいな」
特製のマスクを被ったアーレイは堀が深く目つきが鋭く変わり、クリスは逆にチャラいオッサンのように変貌を遂げ、ジェルメールは何の特徴も無く印象に残らない普通の顔だ。
「ちょい悪のアーレイ様は素敵ですね。惚れ直しました、エヘ!」
「おい、タイラー締めるぞ」
傍らで変装する様子を見ていたタイラーはニコニコ笑顔でアーレイの替わり様をずっと観察していた。文句を言われても「いやん、そんな趣味はないのですー」と身体をクネクネさせて受け流すし、クリスに苦言を言ってもどこ吹く風で「お前が選んだのだから責任はお前だ」と言われてしまう。
「なんの責任を取るんだ」
「いやん、責任とって娶ってくださるのですね。嬉しいです♡」
「ほらみろ、変なこと言うから勘違いするだろ」
好き勝手に変換して大好きアピールするタイラーを見たクリスは呆れて黙ってしまい、小言を言ってもフッと鼻で笑われてしまう。「他人事だと思いやがって」と呟くと「ほら酒でも飲むぞ」と無視されるのだった・・。
ーー
<<翌日・オークション会場>>
コンドラトの一声でオークションの開催が正式に決まり事前見学会という名目で2人の品定めが始まろうとしていた。
「今回の目玉商品になります。皆様お静かに品定めを行ってください」
受付の男を先導にマジックミラーが設置してある部屋へと入ると、まず最初に目にしたのはレスターの方だった。行動制限の首輪を付けられ少し諦めた表情で佇む姿は逆に可憐に映るのか見学者達は深いため息をつき、その奥に控えているタイラーを見ると表情が一変、鼻の下が伸び始めるのが目に見えてわかる。
「凄い、こりゃまるで王女様だな間違いなく暴騰するぞ」
「確かにきちんと教育がなされているな、こりゃたまげたわ」
凄く意外だったのがタイラーの仕草だ。フローレンス程では無いにせよ背筋をピンと伸ばし両足を揃えて斜めに置き、お茶を飲む姿はまるで王族を見ているかのようだ。間違いなく王族のサフロンが礼儀作法を叩き込んだのだろう。中身は”アレ”だけど、どこに出してもおかしくない貴賓が溢れていたわ。
「確かにこれは想定外の美しさだ。絶対競り落とさなければ」
熱気が充満し始めた頃、コンドラトが姿を現す。そしてタイラーを一目見るなり「必ず落とせ」と耳打ちをしてニンマリとしていたが、査定表を見るなり驚愕の表情に変わる。
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種族・ハーフエルフ属
入手経緯・王族が侍女に生ませた娘。親の借金の為に売却。
年齢19歳(人間換算)
身長159cm・体重49kg
3サイズB94/W60/H80
検診結果・処女(未再生)・健康体・持病なし
予想最低落札価格12億スカー
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「生娘という事はこれが初公開だな、こりゃ20は確実だ是が非でも落とすんだぞ」
「コンドラト様お任せください、35迄準備が出来ていますので確実に落とせます」
通常、最低予想価格の倍まで上がるのは稀だ。しかしコンドラトは本気で落としたいのか3倍近い予算を組んでいた。そのやり取りの一部始終を聞いていたアーレイは「美貌と欲に負けたな」と呟く。
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「ここにいる全員の顔データー採取したか」
「もちろロン!」
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見学会に訪れた40名弱の顔データが取れた。これで万が一逃がしたとしても後から身柄を拘束する時に大いに役に立つだろう。去り際にアーレイは既に依頼主と交渉し始めている奴隷商の様子を見てほそく笑むのだった。
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<そ、そんなに上物か!>
「今まで見たことが無いです。美顔にFカップおまけに生娘ですよ旦那」
<なんだと!!>
「20じゃ無理かも、上限高めにお願いしますよ~」
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欲に塗れた依頼主とのやり取りは離れていてもよく聞こえる。数分後のロビー内はスマホ片手の奴隷商達で埋め尽くされるのだった。
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<<数時間後・ホテルアルデ>>
クリス 「任務とはいえ大変だったね。取り敢えずゆっくりしてくれ」
見学会が終わりを迎えレスターとタイラーは尾行を恐れ素顔を隠しながらエアータクシーを数回乗り換え、追手が追跡していない事を確認した後、集合場所であるホテルへと戻って来た。
レスター「緊張して疲れました。お言葉に甘えてゆっくりさせてもらいます」
タイラー「夜はアーレイ様が部屋の中で警備してくださいね」
アーレイ「ちょっと何を言っているのかわからない」
レスターはお疲れだったが、タイラーは移動中も含め隙あらばアーレイに密着して猛烈アピールをする始末で、ホテルに入るなり隣に座りニコニコと幸せそうだった。そして相変わらずのプッシュにジト目になるが「わたし、賊に襲われちゃうかも」と言って話を聞かないし「俺、タイラーに襲われるかも」と返すとクリスは頭を抱えていたよ。
「タイラーとレスターと同じ部屋だ!」
「チェ、つまんなーい」
プッと頬を膨らますタイラーは不満を露わにしつつ終始アーレイの側から離れようとはしなかった。
「なあタイラー、簡単に嘘を発見する魔法ってあるの」
「わたしは精神の揺れで見抜きますけどー」
念の為にタイラーに聞くと魔法が使えなくても魔法陣を紙に描き魔力を流し込んだ状態なら簡易的に判別が出来ると言われ、その場で書いて使える状態にして貰うことに。
「はい、これを相手の皮膚に触れさせれば判別可能です」
手慣れた手つきで幾何学模様のような魔法陣を描き見せてくれる。嘘を付くと赤くボンヤリと光を発するそうな。ただし1枚に付き1回の効力しかなく、使いたければ魔力を流し込んでと言われてしまう。
「なるほど、便利だね」
微量な魔力しか生成出来ないアーレイは追加を頼むと何かしら要求しそうなので、受け取ると何食わぬ顔で「ありがとう」とだけ言った。
「追加はいらないのですか」
「1枚で十分です」
「・・・」
口を尖らせたので「お礼のキスはしませんよ」と先に断言すると「チェ」といって素直に諦めてくれたよ。きっと後で何かしら要求してくるだろうと予想するアーレイだった。
「それではおやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
そして食事が終わり就寝時間を迎える頃、アーレイは単独で城に忍び込む為に人知れずホテルを出て行くのだった。
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