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星団最強なのに回りくどい奴の物語。だってすぐ終わっちゃうじゃん。(改稿中)  作者: 耀聖(ようせい)
奴隷獣人解放、アーヴィン電撃作戦。
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アーヴィン王国。

 <<デルタ王宮・謁見の間>>


「陛下、アーヴィンの草より連絡が入りました」

「あの案件だなクリスを呼べ」


 以前アーレイとの謁見の際に「奴隷解放は星団統一には通らなければならない橋だ」と言われ、ジェフはその考えに賛同して諜報部員をアーヴィン王国に送り込んでいた。そして現地から重要な情報が齎され今に至る。


「陛下お呼びでしょうか」

「奴隷解放に関しては君らに任せる」

「承知しました。それで情報とは」


 持ち込まれた情報によると摘発を免れた一部の奴隷商達は、デルタの手際の良さを恐れ店じまいを決断。それに伴い在庫処分を望み、供給量が減り暴騰する前に購入しようとする連中との思惑が一致し、大々的にオークションを開く事が決まった。となれば売り手と買い手の両方が集まる会場を強襲すれば一網打尽に出来るので、もし成功すれば奴隷ネットワークは壊滅できると話す。


「頼んだぞ、吉報を待っているぞ」


 もちろんアーレイの手際の良さを信じて丸投げだ。言われたクリスは少し緊張した面持ちで頭を下げ、去りゆくジェフに向かって仰せのままにと呟く。


 ーー


 <<鹵獲した輸送艦内>>


「なんで俺たちなんだよ、なあクリス」


 程遠い造船所で仕事をしていたアーレイの元に緊急召集が発令された。それも極秘任務で詳細は開示されず、慌てて宇宙港に上がり輸送艦に乗り込むと、いつものメンバーを見て嫌な予感が走っていた・・。


前回の実績(奴隷解放)を買われたんだろ」


 アーレイは自分専用艦の製造に着手して忙しいし、業火級5番艦が完成を迎え内覧中に呼び出され不満気味だ。因みにクリスはジェフの命令には忠実なので顔には一切出さない。


「まあそうだろうね、ならこの面子にならないわ」


 鹵獲した貨物船に乗っているのはもちろんクリス、キース、アーレイ、コロンの4人で、因みにピンキーは持ち込めないのでお留守番だ。


「ガウ、訓練中にいきなり呼び出してなに考えているのだ」


 訓練中だけど獣人解放レジスタンスとの橋渡しの為に、コロンも緊急召集された。まあ彼女がいないと事が進まないので仕方ないだろう。


「軍に入れば当然だぞコロン、じゃ説明を始める」


 手始めに勅命で奴隷解放作戦が発令されたので、成果を出せば昇進は間違いないと話すと「仕方ないのだ。仲間を救うのだ」とコロンはやる気を出し、キースは命令だからとクリスの説明を淡々と聞いていた。


「よろしくなコロン」

「ふん!お前には言われたくないのだアーレイ!フギャ!」


 アーレイは別にコロンの事は嫌っては無いので気軽に声かけたが、調子に乗りコロンが呼び捨てすると、黙っていたキースが思わず手を出しゲンコツを喰らってしまう。


「こらコロン、言葉使い気を付けろアーレイは中尉だぞ」

「ふん!痛いのだ。けどやっぱ嫌なのだ」


 相変わらず人間嫌いのコロンは顔を顰め敵対心丸出しだ。アーレイは「コロンには信用されていないから気にしない」と話せば調子に乗って「人間は信用しないのだ」と言い返され、馴染まない態度を見たクリスは流石に頭に来たのか、ピクんと眉が釣り上がる。


「いいのか、作戦中こんな奴に背中を預けられんぞ俺は」

「いないと思えば苦にならんだろ」


 嫌わない代わりに気にも留めないアーレイは涼しい顔してコロンを見ると、ギャウと吠えながら「作戦中はちゃんとやるのだ」と言い返して来た。「分別はあるからまぁいいや」と呟くとキースは「信用できない奴はいつか裏切る」と辛辣だ。


「いいよ俺と組むから気にするな」

「アーレイ、こんな馬鹿のために死ぬかもしれぞ」

「その時はその時さ、作戦中はちゃんとやると言っている」

「ガウ!当たり前なのだ」


 コロン的には仁義を切っているつもりだけど、キースからしたらまだまだ背中を任せられない相手らしく「アーレイに何かあったらお前を殺すからな」とドスを効かせ凄んでいた。


「クリス少佐、まもなくゲートインします」


 そしていよいよアーヴィン王国に向かうためのゲートを潜る。とは言え反星団側なので一旦ヒャンドへと向かい、そこからジャンプしてクロウ星団に入る事になる。


「それでは到着後の予定確認するぞ」


 今回もペアを組んで行動するのが基本だが、キースはコロンを信用していないのでクリスと組み、必然的にアーレイが飼い主になってしまう。


「俺とキースは草の待つホテルに直行して、アーレイと”ワンコ”はレジスタンスの所で情報収集だ」

「ギャウ!ワンコじゃない」


 態度の悪いコロンに対し説明するクリスは少し目が座っている。要するにワンコ呼ばわりをして怒りを体現したのだが、当の本人は単純バカなのか食って掛かり更に「悪い、コロン犬」と呼ばれ「ギャウ」と唸り声をあげると「黙れ馬鹿イヌ!懲罰委員会に告訴するぞ」と窘められてしまう。


「おいコロン、クリスを怒らせるなよ俺でも止められないぞ」

「わかったのだ」


  協力者との橋渡しが必要なのでクリスとしては最大限我慢していた。その気持ちを読んだキースはピキピキと青筋を立てて今にも本気でぶん殴りそうだ。しかし女なので口頭で注意して終わらせ、先が思いやられるのか深い溜息をついた。


 ーー


 <<アーヴィン王国>>


 惑星アーウェインに存在するアーヴィン王国は数百年前、ディスティア帝国が宇宙探検に乗り出し最初にコンタクトを取った国だ。その当時は差別主義は無く敵意を見せるどころか友好関係を築きたいとの申し出があり、その流れで今でも同盟国として固い絆で結ばれているそんな王国だ。


 <<アーヴィンの奴隷の歴史>>


 星団法の規制が入る前は農業用や採掘現場でカルネやクーン、フォーレストから奴隷として連れてこられた獣人達、約1万数千人を酷使していた。始まりは50数年前のことで、皮肉なことに良質で安価な農作物を生産するカルネ国に対抗するために使い始めたのが発端だ。そして規制強化され更に数年前に副将軍に成り上がったジャクリーヌが、オーランド国王に散々クレームを入れその数は激減していた・・。


 ーー


 <<ホテルアルデ・会議室>>


 商人として無事イミグレーションを通過した4名は分かれ、クリスとキースは草が待つホテルアルデの会議室へと入った。


「お待ちしていました」


 出迎えてくれるのは諜報部のリーダーのジェルメーヌと名乗る人間の中年女性だ。クリスとは面識があり、宜しくと声を掛けると盗聴防止の装置を起動させる。


「現在約300人弱が労働用と確認され、それとは別に出品される150名は全て慰め用になります」

 

 ヒャンド奴隷解放で出された判決が強烈だったので、労働系奴隷は大半が解放され現在出国待ちだ。しかし慰み用が解放された場合は、今までのことを話しそれを元に告訴される恐れがあるので、売りに出されようとしていた。


「クリス、獣人と奴隷商を一気に移送するつもりか」

「会場で押さえれば何とかなるが、人数がわからないと難しいな」


 前回と違い特殊部隊や大量の諜報部員が使えないことから、正確な人数の特定が難しく、困難が予想されクリスは腕を組み思案を巡らし始める。


 ーー


 <<首都アーヴィン・ダウンタウン>>


 協力者のレジスタンスに会うため、コロンを先頭に首都アーヴィンのダウンタウンを歩いていた。そして雑居ビルの一角に入ると地下室へと向かう。


「この地下通路は迷子になりそうだよ」

「そうだ、地下は迷路のようになっている」


 地下鉄はシャトルに変わり、下水道は再利用システムで垂れ流しなどせず、地下に広がる空間は科学の進歩で遺物へと変貌を遂げ用を足さない。レジスタンスとしては格好の隠れ場所になるので、転送装置と組み合わせ逃走経路として利用している。


「ここから転送される」

「わかった」


 そしてとある場所まで来ると光の粒子に変わりどこかに飛ばされた・・。


 ーー


 <<レジスタンスの根城>>


 転送され辺りを見渡すとそこは町外れの住宅街だった。勝手を知るコロンは目的の家へと向かい扉をノックする。


「合言葉!棒と言えば」

「犬!」


 コロン、お前は犬だから合言葉はそれなんだと、アーレイは吹き出しそうになり堪えていると、程なくしてカチャリと鍵が外れる音がした。


「久しぶりだなポコ」

「おう、久しいなウルフ」


 出迎えたのは狼族のウルフという30過ぎの男だ。人懐っこい柔らかな笑みを浮かべ優しそうに見えるが、頬には傷があり、死線を潜り抜けた奴特有のギラリとした眼光を放っている。コロンとは親しい仲らしく抱擁して再開を喜び合っていた。


「それで、そのお客さんは誰だ」

「紹介する、こいつが協力者のデルタ軍アーレイ中尉なのだ」

「アーレイと申します。この度の協力感謝します」

「おう、俺がレジスタンスの頭メレル・ウルフだ。よろしくな」


 一通り挨拶を済ませソファーに座りレジスタンスの状況を聞こうとするが、いきなり「そっちの掴んだ情報はガセだぜ」とドヤ顔を決めていた。そして順を追って話を聞く事になる。


「ジャクリーヌ副将軍が表に立って、カルネ出身者の奴隷は全員解放された」


 ヒャンド奴隷解放のニュースが流れた直後、ジャクリーヌは間髪入れずにオーランド国王に対し、カルネの奴隷を開放しないと穀物取引価格を下げると脅したと詳細を語る。コロンも頷きながら「チャンスを逃さないのは流石だ」と褒めていたので、前々から機会を伺っていたらしい。


「副将軍は相当な実力者だな」

「副将軍はカルネで解放された星団側の奴隷をクーンに送り届けるぞ」

「おお、敵国認定しているのに直接出向くのか」


 ナ−を届けたグランから頃合いを見て届けることは知っていたが、まさか本人が向かうとは思いもよらなかった。なので詳細を聞くと「既に出発している筈だ」と言われ、アーレイはここで何か閃いたのかアデールに単電文を送る事を決める。


 >

「観光用のシムが必要ですよ〜」

「ああ、後で買うから送ってくれ」

「はいよ〜」

 >


 ウルフの話は続き「帰りにアーヴィンに立ち寄り、全ての奴隷解放の折衝を行う」と話し「あれま、俺たちの出番がないな」と肩を落とす。


「言わなくても分かると思うが、副将軍が4日後に来日するとなれば、3日後のオークションなんて到底無理だろ」


 前日ならば逃げられると普通は考えつく。しかしVIPの副将軍がアポ無しで訪ねて来るわけもなく事前に要請されれば調査を行い、そんな時にオークションなど開催したらそれこそアーヴィン政府は喜んで検挙するだろう。なので偽情報だと確信を得ることが出来た。


「だが何故、偽情報を流す必要がある、流石にわからんな」


 疑問が湧くアーレイを見たウルフは「君達が奴隷ネットワークを半壊させたから、俺達諸共消したいんだよ」と言われ「あはは馬鹿だね」と返すと「あのコンドラトに目を付けられたんだな」と話し苦笑いしていた。どうやら恨み深い人物らしい・・。


「それでな奴隷達は奴の城に幽閉されているぞ。働いている奴の情報なので間違いない」

「なら裏を取れば確実だな、コロン出番だぞ」

「ん?」


 警備が厳重な城なので簡単に入れないと思ったのかハテナ顔するコロンに「囚われていた屋敷の匂いを比べたら分かるだろ」と話すと理解したのか「任せろ」とヤル気を見せていた。


「城を強襲するつもりなのか」

「いや、派手にはやらない静かに救出するだけだ」


 嘘情報と分かり作戦変更を余儀なくされたアーレイはどうやって商人達を一同に集める方法が無いか、話をしながら思考を巡らし其れが表情に出ていた。悩む姿を見たウルフは「商人を捕まえるのは難易度が高いぞ」と言いつつ腕を組み「何故、人間なのに獣人解放に協力をする」と続けて語りかけて来た。彼は人間が協力すること自体が信じられないらしい。


「俺は差別は嫌いだしジャクリーヌに頼まれたし、色々考えがあるんだよ」

「なんと、知り合いか」

「一応知り合いかな、直接会ったことは無いが手紙でのやりとりはしている」


 話だけでは信用しないと思い、ジャクリーヌと交わした数枚の手紙を見せる。もちろん黒の精霊の話は見せない。だがウルフよりコロンが信じられないような顔をしていた。文面から人間を頼り、お礼の言葉が綴られていたからだろう。


 「ラインスラストとカルネの小競り合いはあんたが絡んでいるのか?」

 「直接は絡んでいないが、船のテストでたまたま派遣されたので現状は知っている」


 ウルフが遠回しに聞いて来たのは間違いなく黒の精霊の事だろうと思い、当事者のアーレイは話を濁すと「人前で出たらしいぞ何か知っているか」と問われるものの「話し合いで解決したと報告に上がっていた」とはぐらかした。


 >

「お・と・ぼ・け・上手!」

「コラァ!フェ!」

「仕方ないよね~(火の精霊」

 >


 大人しいと思っていたが嫌なタイミングで突っ込みを入れて来るAiに、何かが憑りついているのは秘密です。


 ーー


 <<ホテルアルデ・会議室>>


「クリス、オークション自体が罠だな」


 ウルフの根城を後にしたコロンは裏取りの為にコンドラトの城へ向かい、アーレイはクリスの所に戻り、オークションは誘い出す為の罠だと説明すると・・。


「アーレイ、今回の作戦を中止した方が良いかな」

「いやまだ何か手立てがある筈だ。ジェルメール奴隷の扱いについて教えてくれないか」

「畏まりました」


 城で囚われている奴隷を救出するのはもちろんの事、供給元を完全に絶つのが任務の肝だと理解しているアーレイは、何としてでもオークションを開催させる方向に舵を切らせたいと考え、ヒントを得ようとこの国の奴隷の扱いを聞くことにした。


 「労働用は減少の一歩を辿っていますが、慰み用の需要は高いままです」

 「どこの世界でも同じなんだな、種族的に違いはあるのか」

 「慰み用としてエルフの需要が異常に高く、この国ではびっくりするような値段で取引されております」


 ヒャンドでは取引値段の高すぎるエルフ族の需要は無比で、ラインスラスト並みに裕福なアーヴィンでは逆に引き合いが多いと語り、最近入荷が極端に少なく、若いだけで値段が暴騰する傾向だと締めくくる。となれば商人の欲を擽ればオークションを開けるのではないかと閃いた。


「それなら直接持ち込めばオークションを開く筈だ。逆に罠にはめて奴隷商人を一網打尽にするぞ」

「なるほど商人の欲を逆に利用するのか、しかし囮はどうするんだアーレイ」


 頭の中で既に誰を囮にすれば良いのか見当がついているアーレイは「ヒャンドのレスターとあの巨乳受付嬢しかないだろう」と話しドヤ顔を決める。因みにレスターさんは顔を隠していましたが、結構な美人さんなのは確認済みだったりします・・。


「えっエルフ族で巨乳ですか、それは大変な事になりますよ(汗」

「そうなの?」

「下世話な話、エルフ族は控えめですから」


 確認の為にタイラーの写真を見せると、エルフではあり得ない双丘を見たジェルメールは逆に凄すぎてドン引きしつつ「本当に出品されたら10億スカーは間違いない」と太鼓判を押していた。確証を得たアーレイはクリスに「じゃ招集だね」と語ると「商人役をどうする」と返されたので、キースをジッと見詰めると吹き出しそうになったのはご愛嬌です。


 <<モジュール連絡中のアーレイ>>


「タイラー聞こえるか?」

 <アーレイ様、もう決心なさったのですか?>


 観光用シムを手に入れたので取り敢えずタイラーに連絡を取ると、開口一番思い切り斜め上の返しを喰らい、見えはしないがジト目になったわ・・・。


「そこじゃなくてまた囮りを頼みたい。いきなりはびっくりするから先に話した」

 <うふふ、選んでいただいて嬉しいです。ふん♪ふん♪>

「喜ぶことか?」

 <また会えますね~(喜>


 通話の向こうで幸せが開花する様子が目に浮かぶアーレイは一瞬、ヤベ選択ミスったと思い考え直すが、タイラー以外《《即日対応》》できる軍人のエルフ族など知らないので諦めるしか無かった。


「タイラーって人間だけど偽装でもさせるのか」

「あの子、実はハーフエルフなんだよね~」

「え゛知らんかったわ~」


 キースは素直に驚いてくれるが、クリスは訝しげな表情をして「秘密を知るほど親密なんだな」とボソッと呟く。アーレイは生を拝見(巨大双丘)した事が発端で、距離が縮まり秘密を知ったとは口が裂けても言えませんでした・・。

宜しければブクマ、評価、感想お願いナノ。

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