タイラーとの出会い。
タイラーちゃん登場!
<<司令本部>>
「早速で悪いがアーレイ、ナンパ男を演じて諜報部員を誘き寄せてくれないか」
クリスはアーレイに囮作戦の趣旨を話し始める。諜報部としては手荒な事をする前に排除したいと考え、敵にマークされているアーレイを泳がせ何かしらのコンタクトを取った時点で根城に踏み込み一斉検挙する考えだ。
「敵国の諜報部員と分かっていても手出しができないのか、仕方ない囮になるよ」
「建前は旅行者だからね、まあデルタも同じような事をやっている」
役人、商人、旅行者は星団法によって移動する自由を与えられ、どこの国も諜報部員を秘密裏に送り込んでいるのが実情だ。そして命令書を手渡され一読すると・・。
「あら、レティじゃなくてあの子が協力してくれるんだ」
「彼女は軍人だからね、もちろん協力するそうだ」
命令書にはあの爆乳受付嬢と繁華街に繰り出しディスティア諜報部が食いつくのを待つと明記されていてアーレイが首を傾げると、実は協力を要請したがサフロンが許可を出さなかったと言われた。
「預言者だからなんか見たんだろ、じゃ受付いってくるわ」
真相はわからないが予言で良くない未来が見えたのだろうと勘ぐりながらアーレイは技研へと足を運ぶのだった。
<<技研・受付前>>
「こんにちはタイラーちゃん、話しを聞いているかな」
タイラーさんの身長はちょっと低めの160弱、艶やかな長いシルバーグリーンの髪色を持ち、顔立ちはエルフ族の美貌を人間寄りにした庶民的な美人さんだ。しかしあの巨大双丘を意識しないようにしても一瞬目を奪われたのは仕方ありません・・。
「こんにちはアーレイ中尉、上長から聞いたのですが口説かれろって任務ですか?」
命令書には「擬似デートを行い隙を作り、相手の出方を待つ」と明記してあるが、この子は乗っけから口説いていいよと、勝手に変換して目がランランと輝いていたよ。
「あはは、俺はナンパ好きの男の設定で敵を誘き寄せるだけだよ」
「あのー、本当に私で良いのですか〜」
レティの慎ましさとは違い、前のめりになりながら嬉しそうに返してくる。一瞬、話を聞かない系と思ってしまったのは内緒です。
「自然体でよろしくね、疑似デートだし」
「うふふ、楽しみです」
擬似デートと聞いても無邪気に喜び、凄く楽しそうだ。なんでも前向きに考える思考だろうと思いつつ、アーレイは予約したレストランの場所を教え諜報部に向かう。
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「おっちゃん尾行中〜」
「ですよね〜」
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目視でギリ見えるか見えないか後方をあのオッサンがヒタヒタと尾行していた。しかしその更に後方に数名の怪しい影を見つける。この状況にアーレイは隙さえ見せれば何かしら行動を起こすだろうと予想する。
<<デルタ諜報部>>
諜報部に出向くといきなり部長から「ありがとうございます」とお礼を言われ話を聞くと、根城に出入りしたデルタ側の協力者を特定できて捜査範囲が広がり「予算が倍増した」といわれる。
「特捜ですかそれは良かったですね」
「経費はすべて支払いますから存分にお使いください」
最初から教えてくれよと思いつつ作戦の詳細を聞いたアーレイは、とある難題を解決する為に急いでアパートへと戻る。
<<アーレイのアパート>>
始めの頃は下士官用の宿舎に住んでいたが距離が離れている事もあり、指令本部近くのアパートを借りて住んでいる。その部屋は寝泊まりをするだけなのでこれといった私物は無いが、リビングには非武装の近接戦用アンドロイドが鎮座していた。
Ai<この設定ですと戦闘力以外が不適格です>
「ああ、なんでこうなるんだ」
新たに作り上げたアンドロイドは装甲の軽量化の効果が出て抜群の戦闘能力を誇る。しかし新たに組み込まれた新型Aiが原因で、調整にて間取り最終テストが迫る中、隙間時間を縫って自分のアパートに持ち込み追い込み作業を行っていたのだ。
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「素直に私の設定を使えばいいのに」
「責任を持って行動できたっけ?」
「むーりー」
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状況分析や冗談を言うフェアリーを組み込んだとしても、人間並みに自立した考えまでは生成出来ず自由に行動を行うのは不可能だ。この戦闘用はそれとは違い状況を的確に判断して攻撃や援護、救援活動行える自立型に特化した仕様なのだが、攻撃力とのバランスで苦しんでいた。
「こいつを早く動かしたいな~」
アーレイ自信作のアンドロイドの見た目を例えるとしたら「20式○人・劫◯」のような直線的なデザインで、コックピットが無い分よりロボットらしく見える。まだ試作段階の多目的戦闘用はファ◯ブス◯ー物語のレッド・ミ◯ージュに似せたデザインを取り入れてみた。動かしたときを想像しながら作業するアーレイはまるで子供の様だ。
<<5時間後・・・>>
「あっ、もうこんな時間だ」
昼飯も食べずに調整に没頭していたアーレイは、待ち合わせ時間が迫っていることに気が付き、感情が幼稚だけど戦闘能力を優先にした状態で慌てて着替えアパートを出た。
<<レストラン・ダンケ>>
タイラー「アーレイで予約しています」
店員「畏まりました」
カラーンと古めかしい呼び鈴が鳴りキョロキョロと辺りを伺いながら入って来たタイラーは、赤色が交じる黒のゴスロリチックな洋装に身を包み、双丘が更に強調されていた。
「こんばんはタイラー」
「こ、こんばんはアーレイしゃま。き、緊張しているのででで、よ&%’%#」
「噛んだ!神すぎ」
「もう!ひじょいでしゅ」
凄く緊張していたタイラーは盛大に舌を噛み辿々しいスタートを切る事になり、まだ食前酒すら飲んで無いのに赤ら顔だ。
「任務にかんぱーい!」
今日が初デートの体なので笑顔を絶やす事なく、少し緊張した面持ちでグラスを重ね、流石に店には入って来ないだろうからゆっくりと食事を楽しむ事にする。
「タイラーちゃんは軍に入ったけど何で窓口なの」
「運動神経が鈍くてドジだと実戦は無理だそうです。だから受付なんです」
食事をしつつ他愛の無い話をしていると意外な事が判明する。彼女は幼少期の頃に両親を戦争で亡くし、成人するまで孤児院で過ごしたそうな。なので写真でしか顔は知らないと話し「敵討ちで入隊したの」と聞くと「戦って少しでも良い国を作りたいの、私みたいな子を増やしたくないの」と意外な言葉が返って来る。
「意外だね、けど前線に出れないのは悔しいでしょ」
「孤児院の出で学は無いし、運動音痴なので仕方ないです」
諦め口調で話すタイラーはどことなく寂し気な表情を浮かべ「本当は前線に出て戦いたい」と活躍の場を望んでいた。アーレイはやる気があるこの子をどこかに配属できないかと特技を聞くと・・・。
「精神魔法《《も》》使えますよ、けど訓練していないので実戦は無理かな」
カラミティ星団内に魔法適性者は割と数多く存在するものの、サフロンのような高位魔法士は極端に少なく、魔法技術も衰退したいま、活躍できる魔法部隊は既になく、残念そうな表情を浮かべていたので話題を変えることに。
「魔法が使えるんだ〜けどまだ赤いね」
「男性と、あの男の方と食事自体が初めてなので緊張しています」
恥ずかしくて赤くなったと思いきや本当の初デートで緊張していたらしい。まあとある高貴な人の世話になっているので、勝手に男性とお付き合いをすることが出来ないのは絶対の秘密です。
「何、タイラーちゃんの初めてを貰ったって事?」
「いやんもう。けどあっちの初めても貰ってくださいますか?」
下ネタ的冗談をいうと暗い表情がパッと消え去り、同時に前のめりで凄く積極的な一面を見せる。アーレイはまたクリスの言葉を思い出していた・・。
「いきなりそこですか?」
「そうでもしないとデルタでは、一生機会が巡ってこないので!」
「そうなんですね〜そろそろ出ましょ」
単なる任務が出会い系の様相を見せてきたので店を出ることにする。さあここからが本番だと思い気合を入れると、早速フェアリーが嬉しそうに「後方200m尾行されています」と報告をしてくる。今まで黙っていたのは空気を読んだのだろうか「やればできるじゃん」と考えたらドヤ顔されたよ・・。
<<デルタ市内・繁華街>>
「タイラーちゃん、早速尾行されているよ」
「私の操を狙っているんですかね(喜」
任務の事など忘却の彼方のタイラーの思考は思いっきり斜め上を行き、何も言えなくなるアーレイは「間違いない、天然入ってる!」と思わずにはいられなかった。そして「おい!狙われているのは俺だ」と返すと「男色?」とこれまたぶっ飛んだ思考を見せ、「コラ」と言うとにっこり可愛らしい笑顔で誤魔化された。
「ゲフンゲフン、君に《《被害》》が及ばないようにこれを付けてくれないか?」
「えっ?プレゼントですか〜」
アーレイはポケットから取り出した銀色のブレスレットを渡す。それは小型レーザーやナイフなど物理攻撃を防ぐシールド発生装置だ。因みに少尉以上が使うモジュールにはその機能が付帯されていて、タイラーは軍曹なので渡そうとするが、これはチャンスと言わんばかりにニコニコ笑顔で腕を伸ばしてきた。
「勘違いしないで、シールド発生装置だから」
「アーレイ様それを付けてください!ドキドキしますね」
「ドキドキしなくて良いから!」
「だって側から見たら恋人同士にしか見えませんよ〜」
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「味見しちゃダメだよねこの流れ」
「任務中です」
「勤務時間外です」
「屁理屈」
「そだねー」
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なんでこんなに積極的なんだと考えたら、フェアリーがしたり顔でグルグルとウザいくらいモニターの中を飛び回っていたので一応聞いてみた。しかし正論を言われたので仕方なく任務続行となり、適当なバーを探して入ることに・・。
<<バー・黒猫>>
「うふふ、たにょひぃ~でしゅ(笑」
タイラーはアーレイにピッタリと寄り添い、結構な勢いで何杯ものカクテルを飲み干し、見た目からすると一々表現しなくても分かる状態に陥っていた・・。
「アーレイひゃま~私って可愛いでひゅか?」
「そりゃ可愛いよ」
「そうなんでひゅかー、それにゃらちょーとじひんがちゅきまひたー」
とまあ酩酊一歩手前?のタイラーさんはデヘヘと陽気に笑い上機嫌だ。流石にここまで酔うと素の性格が出るので観察するにはもってこいで、彼女の思考は少し斜めだけど陽気で素直な性格だとわかった。
「タイラー、もう帰ろう送るよ」
「はいー、にょんだらかへるのだー」
肩を抱きながら店を出れば本物の恋人同士に見えるだろうか、などと考えながらタイラーをエアータクシーに押し込んで家に返そうとする。しかし強引に手を引っ張られ部屋まで送ってと言いだした。
「家に送るだけだよ!」
「ぶー!」
プッと頬を膨らませるタイラーはそれはそれで可愛らしいが、タクシーが走り出すと案の定、黒いシャトルが尾行して来る。確認したアーレイは慌てて自分のアパートに行き先を変更すると、Aiドライバーは進路を変えた。
<<アーレイのアパート>>
「ここわーどこー?」
「俺の家だよ」
「きゃー、きたーそのひににゃったのでしゅねー」
酔っ払いのタイラーさんはアーレイのアパートと理解すると満面の笑みに変わり、何故かいきなり上着を脱ぎ始めた。
「おい!タイラー、脱ぐな!」
「シャワーアヒましゅ?しょれともこのままでしゅか?」
「・・・・」
止めるのも聞かずあれよあれよの間に下着姿になってしまい、暴力的な双丘が露わになる。目のやり場に困るアーレイをよそにブラのホックを外そうと背中に手を回し、プルンプルンと揺らしていたよ。
「うふふ、ちんもくはきよひしないとーうけとりまひたー、とっちゃーえー」
「でたよ巨大双丘!」
ブラがハラリと床に落ち、お椀型の巨大な双丘が顕になり直視しないように横を向くと、その隙に乗じてタイラーが突進してくる。そして絡まるようにベッドに倒されてしまうが、横になった事で眠気を誘ったのかそのままスヤスヤと眠りに落ちてくれた。
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「ギリセーフ!」
「おい!」
「影まだいますよ〜」
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アーレイは極力見ないように毛布をかけながら、スースーと寝息を立て幸せそうに寝ているタイラーを横目で眺め「これで起きたら大変な事になるな」と思いつつライトを消す。
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「3名が強制開錠して侵入してきます」
「戦闘準備だな」
「了!」
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そしてライトを消せば諜報部の連中が踏み込んで来るチャンスを与えるのと同じだ。フェアリーのセンサーが不審者をキャッチすると、アーレイはバトルスーツという黒い薄い膜を全身に張り巡らせた。これは防弾チョッキ並の強度がありモジュールを通して命令を出すと全身を黒の膜で覆ってくれるアーマーの一種だ。因みに儀礼服や戦闘服の襟には緊急事態に対応する簡易マスクが装着されている
「あっ!コイツいたんだ!わすれてたわ」
最悪、黒の力を使えばいいやと考えていたが、月明かりに照らされた燻銀色のドロイドが目に入り、調整中だが目覚めさせた。
「おっはー、よるかー。あんたつくたひとー?」
感情が幼稚で規律が作用せず普段言葉?で語りかけてくるが「ディスティアの諜報部3名が侵入してくる」と伝えると「じゃ、せっていこてーして」と言われてしまい、中空モニターに<この設定で完了ですか>のメッセージとYES/NOのアイコンが現れた。
「仕方ない、幼稚だが頼りにするか」
アーレイはYesを選ぶと「はいはーい、後で名前つけてねー」と言った瞬間、ステルスモードで姿が見えなくなってしまう。
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「2階に侵入、まもなく」
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「敵だ」と叫び声が聞こえ、ゴン、グチャと何かが飛び出た音が続く。非武装なので間違いなく超硬質のパンチかチョップが頭を襲い、爆ぜたのだろうと容易に想像できる。
「ギャ!」
「クッソ、ドロイドなんて聞いてない」
鈍器で殴られたような音が響き、また1人撲殺されたらしいが最後の1人が攻撃を掻い潜り部屋に飛び込んでくる。すかさずスタンを放つがシールドで弾かれてしまい、暗視ゴーグル機能があるのだろう。真っ暗な部屋にも関わらずアーレイに小型のレーザーガンの銃口を向けた。
「ダメよ~ダメダメ〜」
「んー!」
ステルス状態のドロイドは音を立てずに背後に回り、レーザー銃と右手を一緒に握り潰しバキボキと嫌な音が聞こえ、男はもがき苦しむが、口をふさがれ呻き超えだけが漏れてくる。そのまま首が有り得ない方向を向くと、侵入者は呆気なく絶命してしまう。
「かんりょーほめてほめて、なまえよろぴくー!」
ステルスを解除して姿を現したドロイドには返り血がべっとりと張り付き、鈍く光る赤いシールドと相まって装甲が濃い目のピンク色に染まっていた。少し酔っていたアーレイはその姿を見てピンキーモ◯キーを連想してしまい「ピンキーかよ」と呟いてしまう。
「ピンキーだね、りょうーかいありがとねー」
「まあいいか・・」
適当に呟いた言葉を名前と受け取ったピンキーは嬉しいのか、変な踊りを舞い始め、訂正するのもめんどくさくなったアーレイはジト目になりつつ諜報部に連絡をいれたら「よし、今から根城に向かう」と宣言して通話を一方的に切られてしまう。なので作戦が終わるまで仮眠する事にしたよ。
<<数時間後・翌朝>>
「ちゅーいあさだよーきのーまた出たよ~」
「ありゃー(汗」
日が出て間もない朝の時間に起こされたアーレイはソファーから起き上がると、連絡が途絶えた仲間を確認しに来たのだろう。2人の男が無惨な姿で横たわっているのが見えた。程なくすると諜報部から連絡が入りアパートに向かうと言われ、タイラーの様子をうかがうと未だスヤスヤと寝息をたてていたよ。
「おはようタイラー、悪いけど起きてくれ」
「ンンッ・・・ん?」
そして目覚めたタイラーはボーっとしていたが、先ず初めに半裸に気が付き顔が真っ赤に変わり始め、アーレイを見れば昨日の服のままで致したとは思えず、ぽかんとした表情へと変わる。
「何もしてないからね、酩酊タイラーちゃん」
「んー確かに違和感はないです。けどこれ血の匂い・・キャー!」
下着の乱れや下腹部に違和感を感じず、目的を果たせなかった事を理解するものの、血の匂いに気が付き死体の山を見た途端、飛び上がるように驚いてしまう。当然半裸なので巨大なアレが顕になり、アーレイさんは口には出さないが「丸見えね、Eーね!」と喜んでいたのは内緒です。
「何もしていないし、任務を行っただけだよ」
「恥ずかしいー、裸見られた、裸見られたー!もうお嫁に行けなーい」
「ソレ言う?」
生娘が裸を見られたらそう反応するのが普通だろう。しかし不可抗力まで責任は取れないと思うアーレイはジト目だ。
「では、今からお願いします!」
「君は死体が無いと興奮しない性癖なのか?もうすぐ諜報部が来るよ」
「そ、そうですね・・」
何とか諦めたタイラーに衣類を渡すと、顔を真っ赤にしながらコソコソと袖を通し、ほどなくすると諜報部と鑑識がアパートに現れた。
「アーレイ中尉、災難でしたね」
「最悪だよ、もうここは引き払うよ」
アーレイは簡潔に説明を始め、侵入者は全てドロイドが対処したと伝え、後は活動ログを見てくれと話し、アパートを後に作して戦本部へと向かうのだった・・。
<<アパート近くの路地>>
「やっぱりあいつに近づいたら駄目って言ったのに」
アパート近くの路地で一部始終を観察していたのはホテルに現れたオッチャンだ。あの時の余裕の態度に違和感を覚え、長年の勘からアーレイには無闇に近づかない方が良いと仲間に忠告を出していたらしい。
「さて、どうやって脱出しようかな」
オッチャンは根城に戻らなかった事で運良く摘発を逃れ、デルタからどうやって抜け出すか思案しながらそのばから消え去っていく・・。
<<移動中・シャトル内>>
「今回はありがとう、けど最後に嫌な思いさせちゃったね」
「お役に立てれば良いです。けど裸を見られた方がショックです」
タイラーに対し不可抗力だといくら説明しても終始俯き、悲壮感が漂い始めてしまう。ここで娶ると宣言すれば間違いなくフローレンス推しのジェフが強権を発動する未来が想像できるので、アーレイは心を鬼にして「任務だから諦めて」と断りを入れた。
「わかりました、けどいつまでもお待ちしています」
一応引き下がってくれたが、諦めること無くいつまでも待つと言い出してしまう。異星人で期限付きだとバラすことは出来ないので「いつまで待っても無駄だよ」と返す。
「実はわたしハーフエルフなので、すぐには歳をとりませんのよ」
「え゛?」
驚くアーレイをよそに偽装魔法を解除すると見えてきたのは尖った耳だ。それ以外にも髪色はシルバーグリーンから薄緑色に変わり、顔立ち自体がシャープに変貌を遂げ、目の前にいるのは人間のタイラーではなくどう見てもエルフ族のタイラーだ。
「ハーフエルフだと分かっただけで誘拐の対象にされるのです」
奴隷解放の際、エルフ族は超高値で取引される事実を知ったアーレイは、様変わりした桁違いの美顔のタイラーを見て妙に納得してしまう。
「それは大変だね」
「それではお待ちしていますわアーレイ様!」
「いいよ、その時はよろしく」
>
「そんなに軽く約束して良いんですか?」
「そのうち忘れるだろ」
「しーらない!」
>
ヒャンドの1件で悲惨なハーフエルフの男女を見ていたアーレイは、懇願する姿を見て情が湧いたのか軽く約束をしてしまう。その言葉を聞いたタイラーは優しい笑顔を浮かべていたよ。
「サフロン様が申しておりましたよ、アーレイ様は規格外だって。娶られるとしたら側室でしょうかね」
「側室?」
「アーレイ様はモテますからね、ではこれで約束してください」
ここでサフロンの名が出てびっくりしたが、それより《《側室》》って言葉で何か秘密を知っているのかと訝しげな表情を浮かべる。タイラーは即座にモテると誤魔化して、更に注意を逸らしたいのか手の平に魔法陣を出現させた。
「なんの魔法?」
「契約魔法です。その日が来た時に拒否すると効果が発動するのですよ」
初めて見る魔法陣に釘付けになりサフロンや側室のことを忘れ、その効果について聞きたくなり説明を求めると、日本で言う”指切りげんまん”と同じで、魔法によって約束を結ぶだけだと言われた。
「発動したら死ぬの?」
「私の能力が低いので占有率は高いですが効果は頭が痛くなる程度です」
初めて見る魔法陣はそれは自分に対する契約と聞けば、アーレイでもビビってしまう。なので素直に拒否すると、「娶れる状況になって拒否すれば発動するだけです」と言われた。
「怖いよ〜タイラー」
聞く耳を持たないタイラーはアーレイをジッと見ると「さあ男らしく約束してください!私の恥ずかしいところ見ましたよね!」と詰め寄られその迫力に負け素直に「はい」と言ってしまう。
「無詠唱なので簡単ですよ」
軽く口角を上げ微笑むタイラーは無詠唱で術式を発動すると、手の平の魔法陣が光り輝きポツンと光の粒子が出現する。ふわふわと揺れながらそれはアーレイの胸に吸い込まれていくのだった・・。
ーー
<<作戦本部・サロン>>
「いきなり本腰を入れて来るとは大変だったな」
「成果が無くて焦っていたんだろ」
タイラーを技研に送り届けたアーレイはその足で作戦本部へと向かい、報告書を提出した後、クリスとまったりしていた。
「ドロイドを洗浄してお持ちしました」
一息入れると諜報部員がピンキーを洗浄して本部に連れてきてくれた。
「ピンキーきたよー、褒めてー」
「アーレイなんじゃこりゃ」
事の顛末を話すと納得してくれたが、設定の変更ができないことを知るクリスは頭を抱えていた。
「こいつの設定は焼き付けだからな」
ハッキング防止や鹵獲される事を想定して絶対書き換え出来ない焼き付け処理を施してあるので変更が出来ないのだ。その後もアーレイが飼い主のように絡む様子を見たクリスは呆れを通り越していた・・。
「Aiの入れ替えしかないな」
「やだ、それやだ」
人間に文句を言うドロイドなど存在しない。しかしピンキーはキッパリと言い返しクリスは呆然としてしまい「コイツの価値はまだまだ調べ足りない」とアーレイが言うと「君は狙われているし、諜報部から礼も言われたので護衛だな」と言われ分解を免れることになる。
「護衛よろしく一緒に行動してくれ」
「はいはーい」
そうしてちょっと風変わりなアーレイの仲間が増えるのだった。
宜しければブクマ、感想、評価お願いナノ!




