黒いウサギの試練。
黒いうさぎは・・・。
<<人知れず存在するとある惑星>>
小高い山に囲まれその稜線に広がる牧草地帯に牛は放牧され、牧歌的な風景の中を歩いている1人の少女。いつもの散策いつもの光景いつもの分かれ道に差し掛かる。ふと、その先の分かれる真ん中に「黒い小さい丸い物」を見つけ、恐る恐る近づくと「黒いウサギ」をみつけた。
「黒いウサギは不吉ね」
黒ウサギはジッとこちらを見ていたが、突如目の前をピョンピョン跳ね回り遊んでくれと言っているようだ。少女は先程の不安が消え去り面白そうだと追いかけ始め、いつしか林の中に入りその道の先には大きな「魔獣」が立っていた。
「キャー!」
この地域に大きな獣は出るが、人に危害を加える凶暴な魔獣は住んでいない。だがそいつは切れ味が良さそうな尖った爪を持ち、凶悪そうな目で少女をジッと睨んでいる。怖くなった少女は来た道を戻ろうと振り返るものの、新たな魔獣が行くてを塞ぎその数は増え、底知れぬ恐怖を覚え、震え、泣き叫ぶ・・。
「君、怖いの?」
迫りくる恐怖に耐えきれず失禁してしまいその場に座り込むと、ゆっくりと少女の目の前に近づいた黒いウサギは口を開いた。
「イ゛ヤー!ウサギが喋ったー!こっちにこないでイヤー」
ウサギが喋り混乱した少女はガクガクと震え怯え、恐怖に意識が埋め尽くされているのか、「僕は何もしないよ」と語りかけても怯えは止まらない。それどころが周りに落ちている枝や小石を投げ始めてしまう。
「この子は《《適性》》が薄いからやっぱりダメか、仕方ないないなまた探すとするか」
黒ウサギと魔獣達は霧のように溶けていなくなり、分かれ道に少女が1人だけポツンと取り残され、失禁して濡れているはずだったおパンツは無事だった。
「あれ?ここに何かいたよね?私、何見てたんだっけ?」
ーー
<<とある惑星・王宮の森近くの草原>>
王族専用の森を抜けるとそこには広い草原があり、長い銀髪、エメラルドグリーンに輝く緑眼を持った6歳くらいの女の子が、懸命にシロツメクサの花を摘み王冠を作っている。
「ふんふん、ふーん、ふふふーん、あれ?こんにちはウサギさん」
陽気に鼻歌を奏でながらもうすぐ立派な王冠が出来そうになったその時、気配を感じ、ふと見上げ見つけたのは一匹の「黒ウサギ」だ。そして女の子は愛くるしいその姿を見て思わず優しく話しかける。
「あら、遊んでほしいのかな?」
ジッと見つめられたウサギは突然女の子の周りをピョンピョン跳ね回り、その様子は「一緒に遊ぼうよ」と語りかけているような雰囲気を漂わせていた。
「うふふ、じゃかけっこしようよ」
女の子は思わず追いかけ始めいつしか楽しく夢中になり、気が付いたら森の中まで戻って来ていた。しかし追いかけていたウサギは突然消え去り、周りを見渡しその姿を探すがどこにも見当たらなかった。
「どこいっちゃったのウサちゃん」
女の子は諦めたのか、もと来た道に戻るため振り返ると、そこには黒くて大きな”魔獣”が立っていた。それは鋭い眼光を放ち一瞬息が止まるような感覚に見舞われてしまう。更に凶暴な爪が鈍くギラリと光り、その存在感をさらに凶悪な者として仕立て上げる。
「駄目、逃げちゃ駄目」
睨まれた女の子は背中を見せて逃げれば襲われると思ったのか、凛とした表情を作り、凶暴そうな魔獣と向き合い相手の出方を待つことにする。しかし状況は良くなるどころか悪くなりそうだ。前後左右に気配を感じゆっくり見回すと隙間なく完全に周りを囲まれていた。
「ねえ魔獣さん何もしないなら帰り道を教えて!」
恐怖に耐えていた女の子は威圧は感じはするものの、微動だにしない魔獣を見て敵意というか殺意は感じず。勇気を振り絞り声をかけてみた。すると20匹はいただろう魔獣達は音も立てずに2列に並び道を作り、女の子はゆっくりと歩き始め、その先にさっきの黒ウサギを見つける。
「やあ、君は魔獣が怖くないの?」
声をかけてくる彼は魔獣の主人だろう。小さいが堂々としているのが手に取るようにわかる。そして魔獣は消え去り全てはこの黒いウサギが自分を試しているのだと気がついた。
「怖いわよ、けど泣いたら駄目なの、ちゃんと向き合わないと襲われると思ったの」
「君は強いね」
「わたし全然強く無いよ、けど魔獣に敵意は感じなかったの、だから出来ると思っただけ」
この女の子は黒いウサギと話しをしても怖がること無く向き合っていた。それは何かわからないが、そうしなければ駄目だと直感で感じ、今はもう恐怖心は消え去っていた・・。
「そっか、怖がらせてごめんね」
「いいの、私は王女だからこの位はできないと駄目なの」
その長くキラキラと輝く銀髪と、透き通るエメラルドグリーンの緑眼を持つ女の子を、ジッと見つめる黒ウサギは「間違いない、精霊女王の因子を受け継いでいる」と聞こえない声で呟き、黒い霧になって消えていくのだった。
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