困惑
大詰めに入ってきました。
夕方、事務棟を出たルナは急いで自宅のタブレットを遠隔操作してキースにメールを送る。
同僚)「おつかれさまでした~」
ルアナ)「よし、家のタブレットにコネクト開始!ピッ!良し繋がった、アドレスをコピペしてっと、文章を貼り付けってと、ふむふむ、よし、急がなきゃ!」
ポチ!遠隔操作してキースにメールを送る。そしてすぐに、ピピ!キースにメールが届く。
キース)「ん?知らないアドレスだな・・・なになに題名が ”ルナでーす!”」
知らないアドレスだったがルナの名前で気づく。
キース)「あっ、あの子だ!」
>>
「題名 ルナでーす!」
「昨日はありがとうございました」
「少し気になる情報があるのでお伝えします」
「ラインスラスト諜報部にキースさんと会った事をしつこく聞かれました」
「そいつはドナート中尉と言います。キースさん気をつけてくださいね、そいつ嫌な奴だからキースさんの名前は教えませんでしたよ」
「たぶん監視していると思います」
「ルナ」
「PS.また、次回楽しみにしています!!」
>>
メールを開き読むと諜報部が動いていると知らせてきた。
キース)「この子、なんで別アドレスで送ってきた?・・・彼女は監視されているのか?だけどこんな内容のメールを俺に送るスパイって考えられんぞ!何でだ?ますますわからなくなってきた」
キースの中空モニターに映るメールの文章の先には、後姿のルナが歩いているのだった。
キース)「今日はもういいかな・・・」
買い物も終わりこの道を曲がればもうすぐルナの自宅だ。キースはもうこの辺でいいかなと思って歩いていた。
キース)「んっ?」
ふと道の反対側に見慣れぬシャトルが止まっているのを発見。近づき中を見ると運転手の男が「ルナ」の方をジッと見ている。
キース)「あれは諜報部の連中かな?とりあえずシャトルのナンバーを控えるか」
助手席にに近づき詳しく中の様子を伺う。何やらルナと不鮮明なキースの写真が添付されたボードを手に持っていた。その写真には重要監視対象者のスタンプが押してある。もちろん諜報部の判子だ。
キース)「そうか、彼女に俺が接触するのを待っているのかな?、これは慎重に行動した方がいいな」
キースはチョットむかついたので、エンジンの吸気口に小石を2,3個投げ込む。
キース)「ふん、アホども」
ポイ!カボン!ガクガクガク!いきなり振動が発生しシャトルが揺れた。
諜報部員)「な、なんだ!」
慌てて飛び出す諜報員。周りを見回すが誰もいない。下から異物を吐き出したシャトルは何もなかったように元通り宙に浮いていた。
諜報部員)「何だったんだ?」
首をかしげる諜報員。キースは無言で離れた所で腹を抱えて笑っていた。
キース)「ざまぁ!」
ーー
総統府内、アーレイ達が使っている部屋にリュックが入ってくる。
リュック)「アーレイようやく提示した条件を受け入れた、後は頼んだぞ」
アーレイ)「はい、承知しましたリュック総統、ありがとうございます」
「発表は明日で良いのか」
「はい」
「これでうまくいくのか」
「はい、前回の事を考えると間違いないと思います」
「本当にありがとう、君たちには感謝しかない」
「総統、まだ終わっていませんので喜ぶのは早いです」
「そうだな、頼んだぞ」
「勿論です」
ーー
労働規約改正発表当日、アーレイ達3人があの部屋に集まっている。
アーレイ)「総統からまた連絡が来た。予定通り本日規約を発表する」
クリス)「おお、やっと許可が降りたのか」
「ああ、詳細は今から話す」
「頼む、デルタ諜報部の連中も今か今かと待っているぞ」
「昼休憩1時間前に張り出すそうだ。管制塔が1番最初に貼り出し、管理棟は30分後だ」
「それは都合が良い時間だ、昼休みに一斉に送信する前に秘密裏に送信すれば確実にバレる」
「ああ、うまく飛びつくといいな」
「そうだな」
ーー
クリス)「アーレイ、発表されたぞ」
2人は回線のマップを見ている。
クリス)「変化ないな。管制塔にスパイはいないのか?」
アーレイ)「まだわからないよ、むこうも用心しているはずだ」
「そうだな」
30分後・・・。
クリス)「管理棟に張り出しがあったぞ、これで全館放送をするから全員に周知するはずだよ」
アーレイ)「動きはないな、マップに変化が無いわ」
「相手も慎重なのか・・」
「そうだね、緊急要件じゃないからね」
「待つしかないのか」
「そう、焦らずに待つしかない」
時間だけが過ぎていき、昼休みに入る。
クリス)「おお、来た来た!事務棟から諜報部員のドナート宛てにメールだ暗号化されている」
キース)「アーレイそいつはルナの知り合いだぞ」
アーレイ)「ああ、送り主はルナのスマホだ・・・・」
クリス)「繋がったぞ」
キース)「ああ、バッチリだ。だが何かしらあると思うドナートを嫌っていた」
クリス)「気になるのか?」
キース)「ふん!」
アーレイ)「これで諜報部を押さえれる。あとは乱数表だ」
キース)「諜報部に踏み込むか?」
クリス)「流石に中立国とは言えそれは出来ないよ」
キース)「夕方ルナと接触して確認してくる」
アーレイ)「彼女は監視されているんだろ」
キース)「通信はヤバいから、スーパーマーケットの中で接触するよ」
アーレイ)「わかった、ピンキー付けようか?」
キース)「いらん。1人で大丈夫だ!」
ーー
夕方、キースはいつもの様にルナの後を追っている。
キース)「ふむ、いつもと変わらんな」
その彼女はいつも立ち寄る店の中に入る。
キース)「さて、用心しないと・・」
彼女の真後ろにキースは立っているがステルスは解除はしない。店内の監視カメラを覗かれている可能性がるからだ。
キースは彼女の背後にそっと近づき小声で呟く。
キース)「振り向くなルナ、君は常時監視されている」
彼女は一瞬「ビクッ!」と反応するが冷静に商品の陳列棚に向いたまま言い返した。
ルナ)「ねぇ、キースさんでしょ」
キース)「そうだ、メールありがとう」
軽く後ろを確認するルナ。
ルナ)「見えないね、それで何の用なのかな?」
キース)「今日、ドナートにメールを送ったでしょ」
いきなり秘密を言われたルナは、少し目を細め厳しい表情に変わるが即座に返答する。
ルナ)「・・・・ええ、送ったわ」
キース)「彼は敵国のスパイだ」
「やっぱりそうなんだ、キースさん歩くね」
「わかった」
人が少ない日用品コーナーに移動し、説明書を読んでいるフリをしてまた喋りだす。
ルナ)「ねえ、キースさんの調べ物って私の事?」
キース)「君は船舶航行に関する情報を知る立場で、スパイに接触する可能性が高いから監視していた」
「けど、キースさんに協力していることがバレちゃったよ」
「そうだね、けど君はドナートを嫌っていたでしょ」
「うん、お父さんが死んで、今の職場を紹介してくれたり世話にはなっているんだけど、色々要求がね・・エスカレートして困っているの」
「もしかして身体目当てか?」
「うん。月10万で愛人やらないかって」
「そりゃ酷いな、嫌っている理由がわかるよ。許せない奴だな」
「けどね、大学も行っていない私が残業なしで働ける安定した仕事って少ないの」
「弟の世話か・・」
「そう、あと数年頑張れば解放されるの。それまで我慢するしかないの」
「けど、このまま脅され続けるんだろ」
「うん、今の仕事辞めるか、諦めて愛人になるしか選択肢がないの」
「君は情報を漏洩させたからただじゃ済まないよ。下手したら殺される」
「・・・・わかっている、だから愛人になるしか無いの。もういや!ここから逃げたいよ」
「ルナ」
「ねえ、キースさん私を拐ってよ・・・・・・お願い・・・」
「それは・・・・・」
「うう、ヒック、ううう」
「ルナ・・」
彼女は泣くのを我慢していたが、涙腺が崩壊していた・・・。
ルナ)「わかってるよ、無理なのはわかっているわよ」
キースは彼女の肩を抱いて安心させようとする。ステルス化で見えていないが、彼女はその透明の手を「ギュッ」と握って安心を求めていた・・・・。
キース)「。。。(嗚呼、こんな時アーレイならどうするんだろう・・・わかった任せろ、俺がどうにかする。良いよ拐ってやる。どれだ?????」
迷いに迷っているキース。少しの間考え結論を導き出す。
キース)「ルナ、この問題が解決すれば君はドナートから解放される、俺も君のことは見捨てない。だからもう少しだけ頑張れ」
ルナ)「うん!信じているよキースさん。けど、私どうなるのかな?」
「心配するな、その時は何とかする、狙いは君じゃない本命はドナートと他のスパイだ」
「どうやって捕まえるの?」
「奴は暗号用の乱数表を持っているはずなんだ。その証拠品がないと逮捕出来ても大した罪にならない」
「それ私が調べた方がいい?」
「いや、君にそんな危険な事はさせない。なんでも良いからヒントになる様なこと知らないか?」
「明日、通信部に行って何か送信するはずよ、前回の発表の時も来てたから」
「来る時間は分かる?」
「送信するときは午前中としか言えないわ。来る時間がバラバラなの」
「ありがとう助かるよ」
「あいつね送信した後、必ず私の所に来て何かしら話をするのよ、明日は会いたくないよ・・」
「・・・」
「ねえキースさんこの前、私を助けたのは偶然なの?」
「実は尾行していた。シャトルに轢かれそうな君を見て反射的に助けちゃった」
「普通、尾行中の相手を助けないよね、キースさんはたしか諜報部の人間じゃないよね歩兵だよね」
「そうだよ、諜報活動は全く専門じゃない」
「ふふ、だから助けたのか〜、ありがとうキースさん!」
「いや・・・監視対象者を助けるって本末転倒だよ」
「ふふ、私で良かったかもね」
「なんで?」
「だって、悪い子じゃないもん」
「こら!君はいまスパイの手先って認定しているぞ」
「ひゃー、ごめんなさい!許して!」
「ルナ」
「はい」
「君を助けたい」
「うん、ありがとう・・あのねキースさん」
「なんだ」
「私ねキースさんの事・#$)&$%・の」
「キースは小さい声で良く聞き取れなかった」
「はい?聞こえない」
「ごめん忘れて、わすれて・・・・」
「ルナ!」
「気にしないで私の独り言だから・・・」
「ルナ、君を絶対助けるから諦めないで・・・」
「わかったわ・・・」
「じゃ消えるよ。連絡はメールに返信するね」
「待ってる」
握っていた手が離れ「スッ」と気配が消える、声がしていた方を見ても誰もいなかった。
そんな誰もいない通路に向かってルナは呟く。
ルナ)「あーあ行っちゃったよ。もう少しお喋りしたかったな〜」
キース)「・・・・」
「デルタに一緒に行きたいよ〜」
「・・・・・」
「好きだよキース」
まだそんなに離れていなかったキースにはガッツリその呟きが聞こえていた。
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