想い思われ
ルナは衝撃的な出会いで・・・。
アーレイとクリスはラインスラストに戻っていた。
アーレイ)「そろそろキースが戻ってくる頃なんだが」
クリス)「今日は少し遅いよな」
「ああそうだね、何もなきゃ19時前には戻ってくるよな」
ガチャ、そんな話をしているとキースが部屋に入ってくる。
キース)「おお、アーレイもう戻っていたのか」
アーレイ)「お疲れキース」
「俺たちは18時過ぎに戻ってきた。それで何かいい情報取れた?」
「今日、あの若い子の情報が少し取れたぞ」
「どんな情報なの?」
「名前はルナ、彼女1人で弟2人を養っている。父親は戦死、母親はたぶん蒸発」
「妙に詳し個人情報だな。それとなんで制服に擦り傷が出来ているのかな?」
「シャトルに轢かれそうになった彼女を助けたんだよ」
「そうか、それで仲良くなったって事か!」
「まあな」
「この後どうするんだ?”彼氏”にでもなるか?」
「こら、俺は既婚者だぞ!」
「ラインの恋人!船乗りは港毎に恋人がいるって定説を実践するキース!」
クリス)「流石!」
アーレイ)「男の鏡だな!」
キース)「クリス、アーレイお前ら言いたい放題言いやがって!」
アーレイ)「ははは、いい女か?」
キース)「まあまあだな」
アーレイ)「あっ!キース、その女の子って好みだろ!!」
キース)「ふん!」
クリス)「ほら、好みだって顔に書いてあるぞ」
強面キースは表情が読みにくいが、目敏いアーレイは見逃さなかった。キースの口元がほんの少しだけゆるんでいる。
キース)「五月蝿い!」
アーレイ)「そう怒るなって」
クリス)「その彼女はどんな子だ?」
「アーレイは見ただろ」
「ああそうだね。ボーイッシュで可愛いね」
「見た印象そのままだよ、礼儀正しくて相手のことを良く考えている」
「ふーん」
「何だその顔は」
アーレイの顔は少しニヤけていた。
アーレイ)「可愛いよな彼女」
キース)「ふん!」
「それで、そっちは進んだのか?」
「デルタで怪しい電文の発信元を解析したら、送り主を隠蔽する特殊な通信機を使っていたよ」
「それって」
「たぶん諜報部とか政府関係者とかだね」
「商業連合じゃないよな」
「そうね、軍の回線に割り込めるのは政府関係者だけだからね」
「ええ!それじゃ諜報部にスパイがいるのか?」
「いや流石にわからないよ、可能性があるってだけだ」
「今のラインの状況を考えると、いてもおかしくはないな」
「そうだね、結構酷いからね」
「取敢えず彼女達を監視するしかないね」
「そう、お姉さんは商業連合との繋がりは判明したけど、他の関係者との線が繋がらない」
「他にいるのは間違い無いけどね」
「規約改正発表は明後日だ、それまでに尻尾は掴みたいな」
「そうだな」
その日の夜は4人で飲んでいた。カルネからポコが到着したのでお疲れさん会だ。
アーレイ)「ポコ、あっちで楽しんできたか?」
ポコ)「ナノ、飲み会で盛り上がって大変ナノ」
クリス)「どうしたの」
ポコ)「求婚されたナノ」
アーレイ)「いい話しじゃないか」
ポコ)「ダノー、ヘタレナノー」
キース)「そうか、君の眼鏡に適う相手じゃなかったか」
ポコ)「アーレイ様一筋!ナノ!」
アーレイ)「・・・・・」
クリス)「こら飼い主、責任取れよ」
アーレイ)「なあ、規約って管制塔だけ最初に流したら、足取り掴めるの早くなるんじゃね?」
クリス)「無視かよ!」
キース)「そうだね、回線数が少ない方が特定するのに時間が短くて済むな」
アーレイ)「よし早速、閣下に頼もう」
クリス)「そうだな」
ポコ)「アーレイ様、これナノ!」
アーレイ)「何これ?」
ポコ)「部屋を運んだ時のコンテナに誰か乗っていたナノ、その遺留品をジャクリーヌ様から渡されたナノ」
遺留品の入った袋を渡され、開封すると身分証とモジュール、スマホなどが入っている。
アーレイ)「あっ、これ多分ディスティア諜報部員の遺留品だ解析しよう。これも使えるかも」
ポコ)「ナノー!」
ナデナデ!ポコの頭を撫でるアーレイ。
アーレイ)「良くやった!」
ポコ)「ナノー!」
クリス)「さすが飼い主は扱いが違うな」
ーー
ルナ)「ふぅ〜、これで洗濯終わりっと」
洗濯を終えたルナはソファーに座り、衣類を畳みながら今日の出来事を振り返っていた。
ルナ)「キースさんカッコよかったなー、笑うと強面が崩れて良い笑顔するんだよなー」
弟達)「・・・・」
「キャー、そうだ抱っこされたんだ!いやーん」
洗濯物を畳みながら妄想しているルナ。「ボッー」としたり微笑んだり衣類をブンブン振って”いやんいやん”している姉を弟達が不思議そうに弟たちは見ていた・・・・。
弟2)「ねーちゃんが変になったの」
弟1)「顔が赤いよ、熱あるのかな?壊れたのかな?」
そんな弟達の視線に気が付き、更に赤くなるルナ。
ルナ)「わ、わたし、いま変だった?」
弟1)「うん、一人芝居してたよ」
「あわわ・・・」
「顔が赤いよ大丈夫?」
弟に見られたことが恥ずかしいのかルナは真っ赤な顔になった。
ルナ)「大丈夫よ・・何でもないの・・・」
弟1「ならいいけど、ねーちゃん久しぶりに笑ってたね」
「そう?」
「うん。最近暗かったもん!いいことあったんでしょ」
「そうなの、今日ねー、シャトルに轢かれそうになったところを助けて貰ったの」
「そうなんだ。怪我しなかったの」
「大丈夫よ」
「ねえ、ねえどんな人なの」
「その人はねー、兵隊さんでー、強そうでー、カッコよかったの!」
「へー、ねーちゃんその人好きになったの?」
「い、い、いや、まさか今日会ったばかりよ!」
「ふーん。じゃ、また会って確かめれば!」
「こらマセガキ、怒るわよ!」
「だって顔赤いんだもん」
「ごらぁ!!」
「うぅわー、怒ったー!」
ドドド、バタン、子供達は追いかけられ部屋に逃げこむ。
ルナ)「もう!」
ボフン!追うのを諦めまたソファーに座り、落ち着きを取り戻したルナはまた想いに耽る。
ルナ)「けど、”奥さん”いるよね~」
「休みの日に連絡してみようかな・・・」
「うーん、理由どうしようかな??」
ルナの表情と仕草が気になり、子供達はドアの隙間から中の様子を覗いていた。
弟1)「あんな”にやけ顔”って、今まで見たことなかったよな」
弟2)「うん、そうだんね兄ちゃん」
「絶対ねーちゃんその男に興味あるよね」
「そーじゃない」
「チューとかするのかな」
「わかんない」
ルナ)「ゴラァ!聞こえているわよ」
バタバタバタ、慌てて逃げ出す子供達。
ルナ)「ほんと子供ってなんでズゲズゲ言うのかな!」
ーー
翌日、朝から総統に呼ばれたよ。
リュック)「アーレイおはよう」
アーレイ)「おはようございます総統」
「朝から悪いね、今しか時間がないんだよ」
「分かりました、それで何か問題でも」
「労働規約改定の件だがチョット問題が有って、すぐには出せない」
「わかりました。スパイを探すのに時間が欲しくて丁度良かったです」
「すまんな、労働組合が改訂規約の内容を見て猛烈に反対したんだよ」
「帝国にも組合あるのですね」
「ああ、終戦後に意見を聞く場として作ったら、団結して普通の組合になってしまった」
「中立国ですからそれで良いと思います」
「そう言ってくれると助かる」
「決まりましたら連絡お願いします」
「うむ。それと夜、屋敷に来てくれるか、飯でも食べながら海賊の話を聞きたい」
「承知しました」
ーー
部屋に戻るとキースは既に監視の為に出かけていた。
アーレイ)「キースはもう行ったんだ」
クリス)「ああ、ルナの家だよ」
「ふーん」
「こら、アーレイ」
「なんだ、クリス」
「その顔は何か企んでるだろ」
「ちょっとな、考え事してるだけだ」
「手伝う事あるか?」
「あっ、今日の晩飯さ総統に呼ばれたわ、海賊の詳細報告頼むよ」
「分かった、今から資料作るよ」
「俺は夜迄に戻ってくるわ」
「どこ行くの?」
「あっちこっち」
「・・・」
「なんだよ」
「別に、じゃ夜な」
「出歩くなら ”阻害” しとけよ」
「わかった」
ーー
クリスと別れたアーレイはポコとC -100に乗ってデルタに向かう、ゴォー、独特の低い音立てて高度を上げる。
数十分後・・。
ポコ)「着陸するナノー」
着陸したのは首都ではなく僻地にある軍港だった。そこは海に面して水中訓練を主に行う基地だ。特殊艦が何隻も見えている。
トレーシー)「あら、アーレイじゃないの!」
アーレイ)「よっ」
「何しに来たのよ」
「君に会いたかった!」
「それ、口説き文句?」
「いやまさか。口説いたらキースに撃たれるわ」
「ハハそうね」
その女性はキースの奥さんトレーシーだ。デルタ軍人事課で主に新規採用、中途採用の面接官を担当していた。普段からデルタ中の基地をを飛び回っている。
トレーシー)「それで用件は?」
アーレイ)「時間ある?あるなら外で話そうか」
「大丈夫よ、聞かれたく話なの」
「プライベートなことだからね」
「あら、わざわざそのために来たの」
「今はまだ暇だからね、早めにと思って」
「ふーん」
2人は兵舎を出て、海の見える丘に向かいながら歩いている。
アーレイ)「ねえ、君たちは里親制度とかは使わないんだよね」
トレーシー)「プライベートの話ってその事?」
「そうだよ、君たち二人の事」
アーレイの意外な質問に戸惑ったが、少し考えたトレーシーは・・。
トレーシー)「そうね、知らない親の子供とかは遠慮したいわね」
アーレイ)「子供欲しいんでしょ、なんで嫁を増やさないの?」
「キースが私を気遣って作らないのよ、全然気にしていないんだけどさ」
「まぁ、あいつ見た目と違って優しいところあるからね」
「そうよ、そこが好きで結婚したんだから。けど私の本心は作って欲しいのよ」
「それじゃトレーシーは嫁が増えても構わないんだね」
「ええもちろんよ。彼の子供なら愛情注げるもん!それでアーレイ何かいい縁でもあるの?」
「まだわからないけどね」
「何よそれ」
「君の考えを聞きたかったんだ、いきなりだと納得できないでしょ」
「ふふ、けどキースは周りから言われて動くような男じゃないわよ、結構頑固よ」
「知ってる、だからこうやって周りから固めていくんだよ」
「ふふ、貴方らしいわね」
「まぁね」
「それで、その女の子はキースの好みなの?」
「多分ね、雰囲気は少し君に似ているね」
「そ、そうなの」
「まだ実際に話をした事はないけど、キースの報告を聞いている限り馬鹿じゃなさそう」
「そうねキースって意外に頭の回転早いから、要点を得ない喋り方されるとイライラしちゃうのよね」
「顔には出ないけどね」
「ふはは、そうねそれは確かに」
「嫌っていないってことは彼女は利発だと思うよ」
「ねぇ、それって私のことも褒めているの」
「そうだよ、君と話すとサクサク話が進んで楽だし、感もいいから助かるよ」
「もう、アーレイ!」
パシパシ、トレーシーは恥ずかしいのか少し赤いよ。けど肩を叩かれたわ。
アーレイ)「はは、乙女だね」
トレーシー)「もう!」
そんなトレーシーはルナに雰囲気がそっくりだ。髪は少し長いがシュッとしたプロポーションで身長高め、大きすぎない双丘、目も大きく小顔で可愛い系の顔立ちだ。ルナと違うのはタイトスカートとヒールが良く似合う事くらいだ。
アーレイ)「それじゃ俺は行くね」
トレーシー)「あら、もう行くの」
「ああ、他にも色々ね」
「うん、またね」
「じゃトレーシー、また連絡するよ」
「アーレイ」
「ん?」
「ありがとう」
「気にするな、決まったわけじゃない」
「楽しみに待っているわ」
「わかった」
宜しければブクマ、評価お願いします。




