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別れ・・。

フローレンスとアーレイが。。

ディスティア総統府。


秘書官)「セオドール総統、撃墜した不審船の詳細報告が来ました」


セオドール)「それで」


「ルドルフ准将を乗せてデルタに向かわせた輸送艇です」


「なんだと、確かか?」


「はい、防空識別圏内に入った際、識別番号があの輸送艇と一致しました」


「輸送艇はジャンプしたら爆破するんじゃなかったのか?」


「フライトレコーダーを解析しましたが、ジャンプは正常でしたがそのまま総統府に向かったようです。ただ総統府の建物にまっすぐ進んできたので撃墜されました」


「本当か?」


「交信記録にマテウス准将をを名乗る者が直接総統府に行くと連絡が入ったようです。記録も残っています」


「マテウスは廃人じゃ無かったのか」


「ええ、報告書はそうなっていますが、もしかして復活して船を奪って帰還を試みたのでしょうか?」


「死人は喋れないしな、状況証拠から判断するとその可能性が高いな」


「総統、捕虜を乗せて戻ってきた輸送艇を撃墜したとなると、世論が一気に悪い方向に傾きますよ」


「あれだけ上級士官に対して反発していたのに?」


「流石に嫌われている上級士官といえども、目の前で自国民が撃墜されて喜ぶ国民はいません」


「うーん、戻ってきたが船の故障で撃墜したと正直に発表する方が良いな」


「そうですねここで嘘を発表すると、ばれた時の反動は凄まじい事になります」


「遺留品は見つかったか?」


「モジュールが何個か回収されています」


「マテウスのか?」


「いえ、捕虜の士官の物と、送り出した下士官の物です。現在捜索中ですのでまだ見つかると思います」


「捕虜だった士官のモジュールが見つかると言う事は帰還を試みたと言う事か・・・」


「はい、そのように考えるのが普通だと思います」


「うまく批判を浴びないように出来るだけ刺激のないように発表しておけ」


「承知しました、報道官にうまくやらせます」


「頼むぞ」


熱核ミサイルによって船内は超高温になり燃え尽きたことで、DNA採取が物凄く困難になり身元確認は思うように進んでなかった・・。


ーー


ジェフとの謁見が終わり、先に王宮から出たアーレイは進捗状況を確認するために技研に向かった。


アーレイ)「どうだ、調整は終わったか?」


マドック)「はい、コールドスリープカプセルの準備はできました、あとは本人に合わせる調整が残っています」


「そうか、残りはカプセルの微調整とスーツだけか」


「はい、スーツはサイズ調整すれば終わりです、保存液の調合も済んでいます」


「ありがとう」


「だけど数百年前の技術って凄いですね。現代のスリープマシーンだとここまで劣化を抑えれません」


「まあ、準備と手間と費用が凄いからな。昔は到着まで数ヶ月が普通だったから、この技術が発展したんだよ」


「そうですね、ここまで精度を上げないと食糧も持ちませんし、歳をとるのも早いですよね。この技術なら10年でも全然大丈夫です」


「先人に感謝だな」


「はい、そう思います」


「もうすぐフローレンスが来るから測定を始めよう」


「はい」


貴重な1日は測定と調整に追われ、結局フローレンスとゆっくり出来なかったアーレイだった。


夜に王宮で待ち合わせの約束をしていたが調整に手間取り、王族主催の最後の食事会にも遅れて参加する始末。食事会もほどほどに切り上げ、また作業に取り掛かっていた。そんな多忙を極めたアーレイは午前2時過ぎにやっとベッドに潜り込む。


アーレイ)「疲れた・・・」


翌日・・・約束通りアーレイの宿舎にフローレンスがやって来て、ピンポーン!インターフォンのボタンを押すが・・・。


フローレンス)「おはようございます!」


アーレイ)「・・・・・」


「ピンポーン、寝てるのかな?じゃ入っちゃお!」


カチ、王族のモジュールの前には鍵なんぞ無力だ・・・。


フローレンス)「フローレンス入りまーす」


中に入ると、インターフォンで起こされ、疲れ切ってボーっとしているアーレイが見える。


フローレンス)「あらら、お疲れですね」


アーレイ)「おはよう・・」


コポコポ、サーバーからコーヒーを注いでアーレイに渡す。


フローレンス)「はい、これでも飲んで目を覚ましてください」


アーレイ)「ありがとう」


顔を洗い、コーヒーを飲みやっと目が覚めてくるアーレイ。


フローレンス)「大丈夫ですか?」


アーレイ)「ああ、もう目は覚めたよ」


着替えを済ませ、リビングに移りソファーに座ると早速ピタッとくっつき頭をアーレイに持たれかけ甘えてくる。そのまま二人とも何も言わず無言で寄り添い合う。どれほど時間が経ったのだろうか、アーレイが呟くように喋り出す。


アーレイ)「フローレンス、ジャクリーヌから病気を心配して連絡が来たよ」


フローレンス)「ちょっと心苦しいのです。お母様以外に秘密にしていますから」


「うん、だけどきっちりやらないと君が死ぬ事になる」


「わかっています!」


少し悲しい顔の表情のフローレンスを見たアーレイは。


アーレイ)「ほら、おいで」


グッ、優しく抱きしめるアーレイ。


フローレンス)「もう!覚悟は決めた筈なのですが、気持ちが落ち着きません」


アーレイ)「その気持ちは大切だよ。それが思いやりに変わるから」


「もう、アーレイの馬鹿!」


んぐっ!そして離れる唇。


フローレンス)「起きたら1番最初に来てくださいね。そして抱きしめ下さい」


アーレイ)「わかったよ」


その後ものんびりと過ごす。フローレンスは最後まで一緒に過ごしたいと言い、食事も2人だけだった。


フローレンス)「。。。」


アーレイ)「もう行かないと」


ギュ!アーレイを抱きしめるフローレンス。


フローレンス)「うん!」


さすがに今日は一緒に寝る訳には行かないので一旦別れ、フローレンスは自分の部屋に戻る。


ーー


早朝、約束した時間、約束した場所の庭園に2人がいた。


フローレンス)「おはようございます、アーレイ様」


アーレイ)「おはようフローレンス、寒く無い?」


「はい、少し肌寒いですけど大丈夫!少し歩きましょ」


「いいよ」


朝霧が立ち込める中2人は仲良く手を繋ぎ歩いている。


フローレンス)「少し前まで、アーレイ様と手を繋いで王宮の庭を歩く何て思ってもみませんでした」


もちろん恋人繋ぎの2人。


アーレイ)「柔らかいねフローレンスの手」


フローレンス)「そりゃ女の子ですから!午後はもう凍ってますから握れませんよ。カッチカッチは嫌でしょ」


「そうだね」


「ふふふ」


「ははは」


残り短い時間を少しでも2人でゆっくり過ごそうと、恋人繋ぎの2人は庭園をゆっくり歩いていた。


アイシャ)「フローレンス・・」


王宮の窓からアイシャ女王が、その2人の姿を悲しそうな目で見ていた・・・。


ーー


アーレイ)「ブラッド、頼みがある」


ブラッド)「なんだ」


「聞かなくても知っているだろ」


「フローレンスはいい女だな」


「そうだよ、頼む」


「わかっているぞ、何年経っても今のまま固定するぞ」


「ありがとう、ブラッド」


「我にも責任があるからな」


「そうだな頼んだよ」


「わかった」


ーー


散歩を終え一旦アーレイは技研に行き予定を確認すると、再び王宮に入りフローレンスの部屋に行く。初めて入る部屋はどことなく居心地が悪い。


フローレンス)「アーレイ様、この部屋に入るのは初めてですよね」


アーレイ)「うん、落ち着かないね」


「あのー、最後にこのスーツ調整は誰が行うのですか?」


「ペラペラ」のスーツを「ヒラヒラ」させている。


アーレイ)「それは流石に侍女になると思うよ」


フローレンス)「アーレイ様にお願いします」


「・・・全裸ですよ〜」


「ええ、最後に目に焼き付けてください」


「恥ずかしくないの?」


「もう!恥ずかしいに決まってます!!」


「どっちなんだ?」


「ガン見しなければ耐えれます!」


「わかりました」


予定時間になり別室に医療転送装置が運び込まれる。フローレンスは朝食と昨日食べた物を体内から出す為だ。庶民や一般兵士だと下剤を飲んで出すが、流石に王族の彼女は転送装置で除去する。


医者から説明を受け、ガウンに着替え転送装置の中に入り仰向けに寝て、落ち着いたところで医者がスイッチを入れるとほんの数秒で処理が終わる。見た目は何も変化がない。


看護婦)「姫様処置は終わりました、以上になります」


フローレンス)「ありがとうございます」


そして装置から出てアーレイが待つ部屋に戻る。


フローレンス)「終わりました」


少し恥ずかしそうに隣に座るフローレンス。その薄いガウンは下着は着用していないのでボディラインが薄くみえシースルーとまでは言わないがそれなりにエロい格好だ。


フローレンス)「これ、過激ですよね」


アーレイ)「ああ、目のやり場に困るよ」


「ふふ、これから先は当分お預けですね」


「ソレ、言います?」


「だって」


「うん、わかっているよ」


「待っているからね」


「そうだね」


たわいのない会話続けていると手際良く医療用転送装置が運び出され、後はカプセルが到着するまでに専用スーツに着替えるだけだ。医療器具が運び終わりアーレイと二人っきりになるとなぜか「ソワソワ」し始めるフローレンス。


アーレイ)「どうした?」


フローレンス)「・・・・・!」


「スーツに着替えるの?」


「うん」


「わかった」


二人とも立ち上がり、アーレイは後ろからガウンの紐を解きゆっくり脱がしていく。


パサ!ガウンが脱がされ全裸になるが、胸は腕で隠していてアーレイは後ろから見ているので背中以外ほとんど見えいていない。


アーレイは後ろからペラペラのスーツに足を通しゆっくり上に上げ、そして腕を通し最後に背中のチャックを締める。


あとはスーツがシワにならないように伸ばしながら調整する。太腿のシワを伸ばしていると、フローレンスの顔は真っ赤になっていた。胸に触らないようにシワを伸ばしやっと終わる。


彼女は振り返り、「もう、恥ずかしい!」と言って抱きついてきた。薄いスーツは体温も皮膚の感触もダイレクトに伝わってくる。


アーレイ)「きつく抱きしめると”シワ”ができるからまた触られるよ」


フローレンス)「はい・・」


「どうする、カプセルが来たらすぐに入る?」


「もう少しこのままでいさせて」


「うん、いいよ」


ーー


ガチャ、扉が開きスリープ用の透明カプセルが入ってくる。シュンとスライドして蓋が開くがまだ保存液は入れられていない。運んできたスタッフはそのまま外に出ていく。


フローレンスはたっぷりアーレイを抱きしめ、満足したのかソファーに座っていた。


フローレンス)「ねえ、最後にアーレイに座っていい?」


アーレイ)「どうぞ」


彼女はゆっくりアーレイの太腿に横座りする。アーレイは腰に手を回し彼女を支える。


フローレンス)「ここに座ると、同じ身長になるんだね」


アーレイ)「そうだね、君も結構身長高いからね」


「アーレイ、この後どうするの?」


「精霊の力を使って仮死状態にするんだよ」


「痛いの?」


「いや、すぐに意識がなくなるだけだよ」


「そうなんだ・・・・今からキスして終わったらいつでも良いよ」


「わかったよ」


「お願いね」


クチュ、言い終わると同時にお互いに唇と重ね合わせる。


「ンン」


数十秒重ねていた唇が離れる。


アーレイ)「早く起こせるように頑張るねフローレンス」


フローレンス)「うん、待ってるから、信じているから、必ず私を迎えにきてね」


「ああ」


泣くのを必死に堪えているフローレンスにまた口づけをする。


「ん、んん」


最後と感じたのか彼女は情熱的な口づけをする。


スッと離れ、にっこり笑うフローレンス。アーレイも笑いそのまま彼女の意識は落ち、全身の力が抜けアーレイが優しく抱き抱える。


そして穏やかな表情で眠っている彼女に、ごめんねフローレンス必ず起こすから、と言い終わると、お姫様抱っこしてソファーを離れカプセルに優しく寝かす。


アーレイ)「ブラッド頼むな」


ブラッド)「任せろ、もう彼女は仮死状態だ。元々5精霊の加護を受けているので、老化もせんし死にもしない」


「ありがとう、ブラッド」


「もっと俺の力を使って良いんだぞ」


「程々にするよ、使いすぎは良く無いから」


「ふん、お前らしいな」


ーー


カプセルに入ったフローレンスを技研に運び込む。


アーレイ)「マドック後は頼むね」


マドック)「はい、すぐに始めます」


技研のスタッフは呼吸器を装着し始める。呼吸器は特注品で顔全体を包み込み、器具が顔に直接当たらないようにできている。


マドック)「それでは保存液を入れます」


そして何本も繋がれたパイプから常温の保存液が充填されゆっくりとフローレンスはその液に包まれた。


マドック)「アーレイ少尉、1時間ほどで過冷却状態になります」


アーレイ)「わかった、また戻ってくる」


「お待ちしています」


1時間後・・・・。


マドック)「いつでも良いです。このボタンをせば一瞬で凍ります。彼女の容態は安定していますのでこのまま冷却すれば大丈夫です」


アーレイ)「わかった」


アーレイはフローレンスを見て少し悲しそうな表情をしていた。


「早く終わらせるからな」と呟き「カチ!」そしてスイッチをいれる。


「ピキピキ」と音がして一瞬で保存液が白く濁る。もちろん完全に固まるわけでは無い。「ギリギリ」の状態を保つのだ。


彼女の長い髪は綺麗に広がった状態で固定されていて、少し濁る液のなかで安らかな寝顔を見せていた・・・・。


ーー


数時間後、お別れの会が始まる。


王宮の正面の庭の真ん中にカプセルが置いてある。周りは花で飾られその中心に眠るフローレンスがいた。


挨拶などは無く、最初は「王族」「貴族」「議会」「軍関係者」の順に寝顔を見てお別れをするのだった。そして関係者が終わると一般にも開放される。


その何処までも続く長い列は彼女が皆に慕われていた証だ。参列者達は悲しみに包まれ、彼女の復活を願い手を合わせ祈っていた。昼過ぎに始まった式典は夜になっても人が途切れる事はなかった。日が変わる頃にやっと最後の訪問者が終わる。


ズズズ、王宮の門が閉まるとアーレイが現れカプセルと共に王宮の中に入って行く。カプセルは地下に作られた部屋に置かれた。


マドック)「生命維持装置と生体モニターを接続しました」


カプセル横のモニターを確認すると、脳波は正常に睡眠を表す線を描き、その部屋は24時間監視され、異常が有れば即対応出来る体制が整っている。


マドック)「それではセキュリティーシステムを起動します」


監視室とカプセルの間に防弾ガラスの扉が閉められる。


Ai)「ロックしました」


アーレイは最後にフローレンス見届けると、静かに部屋を出ていく。


ーー


ディスティア、総統の私邸。


執事)「閣下、影が確認してきました」


セオドール)「どうだった」


「はい、とても安らかな寝顔で寝ていました」


「そうか、わかった」


報告を聞いたセオドールは何故か静かだった。彼も親として思う所があるのだろうか・・・。

宜しければブクマ、評価お願いします。

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