姫様は最後のお仕事
フローレンスは冷凍睡眠が決まり、最後のお仕事。
デルタ中立地域。
ベクスターに乗り中立地域に先着していたアーレイはリビングルームでフローレンスとくつろいでいた、もちろんポコは操縦席だ。
アーレイ)「こらフローレンス、いつまでくっ付いているんだ」
フローレンス)「だって、婚姻の報告が冷凍睡眠の解凍後まで遅れるからです」
「しょうがないよ陛下に報告してみろよ、あの陛下だよ」
<国を挙げて祝うのじゃー!冷凍睡眠なんかせんでも良い!!>
アーレイ)「てっなるでしょ。」
フローレンス)「そうですけど〜、私はこの交渉を最後に冷凍睡眠に入らないといけませんので、余っている時間はくっつくと決めたのです」
「分かったよ。ルドルフの前じゃベタベタするなよ」
「そのくらいの分別はつきます!」
ポコ)「ジャンプアウトしてくる船を確認したナノ」
アーレイ)「ほらもう来るよ」
フローレンス)「最後にキスして!」
「わかりました」
「ンン!」
ベタベタMAXの熱いフローレンスのキス・・・。
フローレンス)「まだよ!んんん!!」
シュンとアウトして来たのは観測船ではなく小型の輸送船だった。ピッピ、キスの最中にルドルフから連絡が入る。
ルドルフ)「アーレイ久しぶりだな」
アーレイ)「おかえり、今回は随分と小さい船だな」
「そうなんだ、色々あるんだよ」
「分かった、今から直接クーンに向かうから」
「分かった」
城に到着するアーレイ一行。謁見の間に通されるとアデールもほぼ同時に入ってくるが、いきなりスタスタスタとルドルフの目の前に移動してくる。
アデール)「久しぶりねルドルフ准将」
ルドルフ)「色々面倒なことを頼んで申し訳ない」
下士官)「わわわ、近い・・」
「良いのよ、貴方が困っているならいくらでも手を貸すわ」
「それはありがたい」
「今回のお付きの方は”普通”の軍人さんなのね、貴方も人気者なのかしら」
「はい、私を慕ってくれる下士官ばかりです、あまり自覚はありませんが」
「皆さん紹介が遅れました、クーン精霊王国の女王アデールと申します。よろしくね」
下士官)「は、はい、こちらこそよろしくお願いします」
バ、バッ!いきなり近距離での謁見で緊張していた同行者達は、挨拶されると敬礼するが少し乱れていた。
アデール)「楽にしてね」
同行者達)「はい!」
ルドルフ)「だらしない、乱れたぞ」
「し、失礼しました!」
「ここじゃ堅苦しいでしょお茶でも飲みながら話を進めましょうではこちらに」
「お気遣い感謝します」
客間に通され、皆にお茶が振る舞われる。
アデール)「さあどうぞ、今日は新茶よ」
ルドルフ)「ありがとうございます」
皆、一口飲むと・・・。
下士官)「おお、これは美味しいグリーンティーですね」
アデール)「そうでしょ1番茶葉ですから、どうですかルドルフ准将」
ルドルフ)「はい、とても美味しいです。これは厳選した茶葉ですね旨味が強いです」
「貴方も良い舌を持っているわね、それでは交渉に関してはどのように進めますか」
「セオドール総統は捕虜として残っている上級士官の国籍破棄を決めました。現在、国籍なしの”ジプシー”のような存在です。とはいえデルタ的には捕虜ですので身代金を払いそれで手打ちとなりました」
「そうですか、クーンとしてはあの士官たちに国籍を与えるつもりです」
「ええ、本当ですか!」
「はい、勿論ここで自立した生活をして貰わないといけませんが」
「そ、それは」
「無理とでも?」
「いえ、なんでもありません」
「早く言いなさいよ」
「はい、差別主義者ですから必ず問題行動を起こすと思います」
「大丈夫よ”力”じゃ絶対敵わないから。下士官たちが使用した収容所を改修して彼らの寝床にするつもりよ」
「はぁ、まぁ、あそこなら生活はできますね」
「そうでしょ!人道的な判断ですよねアーレイ少佐」
アーレイ)「はい、そう思います」
アデール)「それと、金額の事はわからないから、貴方に一任します」
アーレイ)「畏まりました。それではルドルフ准将」
ルドルフ)「はい」
「今回の参加したメンバーについて教えてください」
「はい?」
「いやだから今回は統率が取れなくて、先ほど珍しく苦言を申しましたよね、ですから教えてください」
「アーレイ少佐、金額は?」
「ああ適当でいいや。面倒だから切が良いところで900億でどう?」
物凄く適当にしゃべるアーレイ。
ルドルフ)「・・・・こら、アーレイ」
アーレイ)「はい、なんでしょう」
「ちゃんと計算したのか」
「まあなんとなくですが、ご不満?」
「いや、結構安い金額だ」
「でしょ、じゃそれでお願いするわ。さあ金額のことが終わったから早く聞かせて!」
下士官)「ルドルフ准将、こんなに簡単に決めて良いんですか?」
ルドルフ)「まあ、相手がアーレイだし、設定した最低価格にドンピシャだよ」
「そうですね、値切るとかないのですか」
「これ以上値切れと」
「はい」
「奴は確実に値上げしてくる、聞いてみようか?」
「そ、そうなのですか、それでは念のため聞いてみてください」
「アーレイ少佐、もちろんこの値段に不満はないのだが、もし、”値下げは可能か”と言ったらどうする」
アーレイ)「1200億に変更する」
ルドルフ)「・・・・・・」
下士官)「わ、わかりました」
アーレイ)「それでヒソヒソ話は終わったのかな?」
ルドルフ)「ああ、君の一言で終わったよ、それで今回のメンバーは士官に反抗的なメンバーばかり集められている」
「ふーん、やっぱりね、なんとなく情報は掴んでいた」
「知っていたのか、それなら君はどう判断する?」
「怒るなよみんな、俺の集めた情報を元に喋るから」
下士官達)「・・・・・」
訝しげな表情の下士官たち・・。
アーレイ)「返事は?」
下士官達)「はい」
「多分帰りのジャンプで船が爆発するか、ディスティアに到着したら爆破されるかな」
「まさか」
「そう思うなら船を調べれば?」
ルドルフ)「分かった、けどどうして知っているんだ?」
アーレイ)「情報源は明かせないけど、ジャンプコア暴走プログラムの作り方を諜報部の連中が方々に聞いて廻っていたんだよ、そして君が来る時期が一致したから」
「なんだそのレアな情報は・・・」
呆れ顔のルドルフ。
アーレイ)「ふふーんだ!」
勿論この情報はゲルベルトのネットワークとメレルの部下から上がってきた報告だった。
アーレイ)「それじゃちょっと調べてみますか」
そして証拠を得るために輸送艇の機関部に向かった。
ルドルフ)「アーレイ少佐、やはり何か仕掛けてある」
アーレイ)「やっぱり」
「ジャンプコアにつながるバイパスの整備パネルが開けないように固定してある」
「そうか、それなら専門技師を呼ぼう!」
「はぁ?」
アーレイ)「今回、同行した整備士のランクは?」
下士官)「通常整備の下士官だけで、重要箇所の調整は出来ますが分解整備は無理です」
「ですよねー、ちょっと待っててデルタから呼ぶからさ」
「・・・・相変わらず行動が早いな」
アーレイ)「クリス聞こえる?」
クリス)「どうした」
「あのな、ディスティアの船体に詳しい奴とエンジンとジャンプコア弄れる技官をクーンに呼んで!」
「また、悪巧みか?」
「そうね、ちょっと困っている」
「わかった、2時間で送る」
アーレイ)「ルドルフ、2時間で来るよ(ドヤ!」
ドヤ顔のアーレイ。
ルドルフ)「お前なー」
アーレイ)「先に士官を見に行こうと思うけど?」
ルドルフ)「わかったよ!」
下士官)「准将、アーレイ少佐ってあんな感じなのですか?」
「そうだよ、常に先を読んで行動が早い、君はどう見る?」
「確かに頭の回転は早くて即断します、それと人気者ですか?」
「ああ、ディスティアには絶対いないタイプだ」
「准将と正反対ですね」
「褒めてないよな」
「いえ、何と言うか良いコンビです、結構、息があってますね」
ゴゴゴ!修羅の顔に変わるルドルフ。
下士官)「ヒッ!」
ルドルフ)「貴様殺す!」
下士官)「やめて〜」
そしてベクスターと輸送艇の2隻で孤島に向かった・・。
下士官)「准将、アーレイ少佐の補佐官は何方ですか?よく見ると凄い美人ですよね」
ルドルフ)「まぁ、そうだな美人だよな」
下士官)「誰ですか、知ってますよね」
「んっ、知りたいのか?」
「ええ、もちろんです、軍人とは思えない身のこなしと美貌ですし・・」
「彼女はフローレンス第二王女だ」
下士官)「はっ?王族?まじですか」
下士官2)「えー!」
ものすごく驚く下士官達・・。
ルドルフ)「そうだ、俺も最初驚いた。けど王女の時の姿を見たら更にびっくりするぞ」
下士官)「それにしてもアーレイ少佐と仲が良いですね、羨ましい〜な〜」
フローレンスは親しげにアーレイと話をしていて、帽子で隠してはいるが他の人には絶対見せない笑顔で溢れている。
下士官2)「嗚呼、恋人同士みたいな笑顔が溢れている・・」
羨ましそうに見ている下士官に。ゴン!ルドルフの鉄拳が飛ぶ。
ルドルフ)「こら、うつつを抜かすな」
下士官2)「はい(涙」
孤島に降り立つ一行。エンジン音がしたので士官達はダラダラと建物から出てくる。
捕虜)「ルドルフ准将、来てくれたのですか?」
ルドルフ)「君らの処遇を伝えに来ただけだ、君達の国籍は”放棄”された当然無国籍だ」
「今、何と?、間違いですよね、ディスティアに帰れますよね」
「君達に帰る故郷は無くなったと言ったつもりなんだが」
「どうすればいいのですか?」
「幸いこの国の女王陛下の温情で、クーンの国籍は取得出来る」
「それは、勘弁して下さい」
「選択肢が無いぞ。国籍の無い君達を保護する理由が無いので食料支援は明日から無い」
「えええー」
「良く考えて判断してくれ」
「は、はい・・」
国籍破棄の衝撃的内容は全員に伝えられると、慌てて対策のために建物の中に集まり議論を始めていた・・・。
アーレイ)「長いな!」
ルドルフ)「まぁ、衝撃的だったからな」
俺たちは暇なのでベクスターの近くでのんびりしている。少し経つと話し合いが終わったのか士官達はベクスターに向かって歩いてくるが、何故か手には鉄の棒を持っている。
アーレイ)「ほれ、ピンキー、遊び相手が来たから適当に遊んでやれ」
ピンキー)「ほーい」
シュン、ピンキーがステルス解除する。
ピンキー)「ショーサーみんなぶった斬ってイイ?」
アーレイ)「暴れたらイイよー」
「わかたー、ルンルン」
捕虜達)「・・・何あれ」
ブーン、ブン、ブン、ウヒョ、ウヒョ!、ピンキーがレーザーソードを振り回して剣舞の舞を舞っていた。
士官)「駄目だ、絶対勝てない」
士官2)「ああ、鉄の棒じゃ絶対勝てない」
カラーン、その大型のレーザーソードを振り回し舞っているピンキーを見て、みんな諦めたようだ、鉄の棒をその辺に投げ捨てる。
アーレイ)「さて、皆さんの意見を聞かせてくれないか」
士官3)「アーレイ貴様だけは許さん」
「あんた誰だっけ黙ってくれないかな?俺は結論が知りたいだけだ」
「・・・・・」
アーレイ)「埒が明かないのでルドルフ准将、引き上げますか?」
ルドルフ)「そうだな。沈黙は残留希望と言うことで」
捕虜)「まっ待ってくれ。クーンの国籍を頂く」
ルドルフ)「全員の総意か?」
「そうだ」
「今から全員の名前、性別、年齢、生年月日を書いた名簿を作れ」
「わかった、少し待ってくれすぐ作成する」
「出来たら連絡をしてくれ」
「分かった、その後はどうするのだ」
「”グリーンカード”を仮発行するから役所に行って本登録だ」
「終ったら自由なのか?」
「そうだ自由になる、だがここで自立した生活を送るために、就職斡旋まで世話をすると女王は言っている」
「俺たちに働けと?」
「そうだよ、もう軍人でもない君らは生きる為にここで働くしかないよ」
「・・・・・」
不満顔の元上級士官達。
ルドルフ)「躊躇っているのか?俺なら生活を安定させて次の行動に移るけどな。何をするにも金が必要になる。すでに一般人だぞ」
捕虜)「そんなこと言われなくても分かっている」
「じゃ、頑張ってくれ」
「・・・・」
「おい、間違えるな。これでもアデール女王様の最大の”温情”を頂いたんだぞ。感謝の言葉の一言もないのか!」
「・・・・・すまん」
「君らは国籍破棄されたポンコツなのに、助けられた事に対し礼も言えないダメ人間だな、本当に腹が立つ!」
「・・・・・・(沈」
「カードが出来たら移動用の輸送艇を送る。じゃ、良く考えてな」
「わかった待っている」
アーレイ)「さあ引き上げるとしますか」
そしてアーレイ達が引き上げてすぐに捕虜達は集まり、次の行動を考えていた・・。
「おい、この中で輸送艇を飛ばせる奴はいるか?」
「はい、私は飛ばせます」
「よし!輸送艇が来たら乗っ取り、ディスティアに帰還するぞ」
「それは良い考えです、階級の低い士官は残して逃げましょう」
「あのルドルフ准将はどうしますか?」
「あんな奴もちろん置いていく、担当になったからって威張りやがって、たかが准将の癖に」
「わかりました」
ーー
帰りのベクスター内。
ルドルフ)「アーレイ少佐、彼らはどの様に動くと思いますか?」
アーレイ)「まぁ、普通に考えれば輸送艇を乗っ取りますね〜」
下士官)「ですよねー」
ルドルフ)「やはりそう動くよな」
アーレイ)「なんなら帰った後の彼らの会話でも聞きますか」
ルドルフ)「いや、聞かなくてもわかるよ」
アーレイ)「この船に全員乗れるの?」
下士官)「いえ、この輸送艇は30人が限界です」
アーレイ)「そうれはそれは、醜い争いになるね」
下士官)「そうですね、上官から先に乗り込むはずです」
ルドルフ)「どうするつもりだ?」
アーレイ)「金だけくれれば後は知らない好きにしていいよ。けどアイツらの非道は絶対許さない」
下士官)「准将、アーレイ少佐って怒らすと怖い系ですか」
ルドルフ)「そうだよ、普段優しく面白い奴ほど怒らすと怖いよ」
下士官)「そうですね・・・」
ーーー
城に戻ると予定より早くデルタの技官達が到着すると連絡が入る。
フローレンス)「アーレイ様、技官が到着しましたよ」
少し経つと、マドック達いつもの3名が入ってくる。
アーレイ)「良く来てくれた」
マドック)「いえ、アーレイ少尉が困っているって聞いて面白そうなので来てしまいました」
「なんだと、そんなに俺が困るのが好きなのか?」
「いえ、興味が沸くのですよ!!」
「もういいや、早速見てくれディスティアの輸送艇だ」
「べクスターの横の輸送艇ですね、わかりました」
「そこにいるのが、ディスティアの整備士だよ」
マドック)「初めまして、よろしくお願いします」
下士官)「はい、こちらこそお願いします」
技術屋同士はそんなに敵対していないのか、ごく普通に接していた。
アーレイ)「それではディスティアの整備士さん、案内して貰っても良いですか?」
下士官)「はい、勿論です」
アーレイ)「じゃお願い」
ルドルフ)「アーレイ少佐、あの3名はデルタの整備士なのか?」
アーレイ)「いや違うよ、俺の直属の技術士官。物凄く有能で俺の無茶を聞いてくれる頼もしい3人だよ、気になるだろ」
「ふーん、いや別に」
「顔に書いてあるぞ!”業火”かな?”暴虐”かなって」
「おい、人の思考を読むなアーレイ!」
「図星だ(小声」
「・・・・・聞こえているぞ」
下士官)「ほんと、敵とは思えないくらい仲がいいですね!」
ゴゴゴ、本日二回目の修羅ルドルフはデーモンまで進化していた。
ルドルフ)「殺す!、灰にしてやる」
下士官)「きゃーやめてー」
バシューン、ぎゃー、スタンモードで撃たれ痺れていたわ(笑
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