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ギルド乗っ取り

「錬金術ギルドになにが起こったんですか?」

「実は乗っ取られそうなんだ」

「なんですって!」


 リタリフの町の錬金術ギルドと言えば既に運営から手を引いているのものの僕が生まれ育った実家である。

 その実家であるギルドが乗っ取られようとしてるだと?

 ボーゲンに乗っ取られていた頃の辛い日々を思い出し嫌な気分になる。

 リサさんは暗い顔をしがら話を続けた。


「調べてみると、王都の錬金術ギルドの本部がかかわっているらしいのよ」


 王都の錬金術ギルドが?

 なんでなんだよ?

 マイカ姉ちゃんが続ける。


「私が調べてみたんだが、リタリフのギルドを機能させなくして乗っ取る陰謀らしいんだ」


 リタリフの町の錬金術ギルドは、大賢者の弟子となった僕がギルド長をしていたのを王都の錬金術ギルドが知らないはずがない。

 その僕に所縁ゆかりのあるギルドに喧嘩を売ってきただと?

 わけが分からない。

 大賢者の弟子の僕を完全に舐めてる?

 僕はギルドの様子を見にリタリフの町へと戻ることにした。


 *


 先に出たリサさんとマイカ姉ちゃんに続き、僕らも飛竜の『ヒエン』で後を追う。

 ヒエンはシルバーの持っていた飛竜の中で一番速い飛竜だけど、まだ僕たちが飛竜に慣れてないのを感じ取ったヒエンがかなり手加減をしてくれてるのか無茶な速度を出さない。

 そのせいかマイカ姉ちゃんたちと大きく距離を離されてしまった。

 故郷のリタリフに着くと、既に着いていたリサさんたちがギルドに押し寄せたケガ人たちを捌いていた。


「こんなポーション使えるかよ! いつもと色が違うじゃねーか!」

「こいつは劣化ポーションだろ? もっとまともなのをくれよ!」


 リサさんもケガ人たちが言いたいことがわかるので、泣きそうになって対応している。


「ポーションはこれしかないんだ。これで我慢してくれ」

「こんなポーションじゃ、大ケガには効きやしねえ! 仲間の命が懸かってるんだ! アーキのとは言わねーけど、アンナが作ってるポーションをくれよ!」


 僕の作る効果の強いポーションにすっかり慣らされてしまったのか、かなり無茶な戦闘をする癖が付いてしまった冒険者たちに効き目の弱いポーションの出番は無いようだ。

 まともなポーションを求めるケガ人たちで、既に暴動寸前の荒れよう。


「このギルドで作ったポーションはみんな王都の錬金術ギルドに接収されてこれしか残ってないんです。これで我慢してください」

「我慢て、こんなの飲ませたら仲間が死んじまうよ! って……アーキじゃねーか! すまん、ポーションを作ってくれ! 今すぐにだ!」


 僕がギルドに戻って来たのに気が付いたケガ人たち。

 まるで救世主が現れたかのように、ギルドに押し寄せた大勢のケガ人が僕を取り囲む。

 中には僕の胸倉をつかんで泣き崩れ懇願してくる人も。

 ホムが魔法の炎を手に灯し威嚇する。


「それ以上アーキに近づいたら、ホムが消し炭にする。死にかけが死んでもなんの問題もない。一番近いのからホムが燃やす! 大丈夫、死ななければお前たちが欲しがっているアーキのポーションで元通り」


 目がマジだったホムを恐れて、一瞬で人垣が大きく後退した。

 ホムさん、やりすぎですよ。

 ガクガク震えておしっこちびりそうになってる人迄いるし。


「10分だけ待ってください。全員分のポーションを作りますので」


 ギルドの隅にあった錬金台でポーションの錬成を始める。

 久しぶりのポーション作りだったけど腕は鈍って無いようだ。

 次々にハイクオリティー品のハイパーポーションが出来上がる。

 ほぼ全数ハイクオリティー品が出来ているのは我ながらすごいと思う。

 師匠も感心している。


「これだけのハイクオリティー品を作れるアーキは神がかっているな。ポーション作りではわしを完全に超えているのう」


 リサさんは出来上がったポーションを配りまくる。

 その場で飲んだケガ人は、みんなあっという間に全快。

 動けない仲間の元へハイパーポーションの瓶を抱えて走り出す人も結構な数がいた。


「すげーな!」

「やっぱ、アーキのポーションは格別だね」

「これだよ、やっぱこれ!」

「ポーションはアーキの作ったものに限る!」


 それを聞いたホムが、なぜか得意気になっている。


「アーキのポーションは格別、ホムは誇らしい」


 ギルドに押し寄せていたケガ人は全快し、潮が引くようにみな笑顔で去っていった。

 僕はリサさんに事情を聞いてみる。


「こうなった原因を聞いてしまったんですが、ポーションの接収っていったいどうなっているんですか?」

「このギルドのポーションの生産量のほぼ全量にあたる週500本をギルドに納めろと、突如やって来たギルド本部の職員に言われたのよ」


 ほぼ全量ってそんな無茶な。

 リタリフの町のケガ人はどうするんだよ?


「ポーションは週に1000本ほど作ってるんだけど、アーキ君と違って全部ポーションやハイパーポーションが作れるわけじゃないからね」


 ギルド本部としては生産量の半分しか接収してないから問題ないというスタンスらしい。

 ちゃんと出来てるポーションの品質も考慮してくれないと、この問題は続くぞ。

 王都のギルド本部は一体なにを考えてるんだよ?

 ギルドと所縁のある師匠も黙っていられなくなって助け舟を出した。


「接収するにしても、10本20本ならわかるが全量とは酷いのう。わしが交渉してきてやるので、この問題は大賢者マーリンに任せてもうしばらく辛抱してくれ」


 マイカ姉ちゃんの飛竜に乗せて貰って、師匠とホムは王都へと向かった。


 *


 これは僕の起こした問題でもある。

 格安でポーションを売り、リタリフの住民をポーション漬けにしたのは僕が原因だし、ギルド本部にリタリフにちょっかいを出すなと釘を刺さなかったのも僕の責任でもある。

 僕が出来ることがあれば僕が解決しないといけない。

 この問題を根本から解決する方法を思いついたので、荒れたギルドを片付けるリサさんに告げる。


「この件は僕に任せてくれませんか? この大賢者の弟子のアーキに!」

「アーキ君がなんとか出来るの?」


 リサさんはかなり驚いた顔で僕にすがるように見つめた。

読んでくださいましてありがとうございます。

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