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依頼と魔法の関係性

  星歴 1314年 4月20日 15時25分


 9区から、歩くこと5分。どうやら8区に入ったようだ。8区と9区の境にはこの先8区と書かれた看板が立っていた。


 8区は、王城から5キロほど離れた場所にあり、中央広場からは徒歩30分という場所に位置している。主に貴族などといった上級国民の邸宅が集まる区域であり平民のような俺たちには縁がないところだ。


 腕に巻いた時計を見ると時刻は、15時25分を指している。


 もっと早く到着できると思っていたが、道に迷い9区に行ってしまったため、無駄に時間がかかり50分ほどでようやく着くことができた。しかし、それほど疲れてはいない。


 王都は通称坂なき都市と言われており、街の中に坂がないのだ。そのため移動で疲れることはほぼないと言っていいだろう。


 ただ、街が広すぎるため遠くへ移動する場合は移動魔法陣を使った移動方法がもっともメジャーとなっている。


 しかし、この世の中には移動魔法陣酔いという面倒な体質を持つ人もいるらしい。そのような人たちは徒歩でしか移動できないのかといわれるとその通りなのだ。


 ちなみに移動魔法陣が、どのような仕組みかと聞かれても答えれる人はほとんどいないだろう。


 魔法などというものは、もう今では過去の文明となっているのだ。おそらく、王都中を探しても魔法を使うことができる者は数人しかいないだろうと思われるぐらいに。


 最近遠くの国で、産業革命なるものが起こったらしく、試験的に王都でも産業革命により生まれた技術を流用する予定だそうだ。


 その中でも、空を飛ぶ鉄の箱などといった謎のものを、移動魔方陣に変わる新たな移動手段にできないかと王都の役人たちは考えているようだ。


 稀にだが、景色を楽しみたいという理由で徒歩で移動する人もいるらしい。先程言った、空を飛ぶ鉄の箱なるものには窓もついており上空から景色を楽しむことができるらしい。


 そのようなことから景色を楽しみたい派の人たちにとっては、神さまからの贈りもののようだと感じることだろう。


 8区へ入り、歩くこと数分どうやら依頼を受けた依頼主の自宅の前へたどり着いたようだ。 場所はここであっているはずだ。


 そこにあったものは、俺の住む集合住宅の1部屋50個分ほどはあるだろう巨大な敷地を持つ邸宅だった。


 門が閉まっており中に入れないため、呼び鈴などはないだろうかと探してみると門の横の壁にそれらしきボタンがあったため押してみる。


 門の前で待つこと数分、豪邸の扉が開き見た目だけで判断すると二十代前半と思われる女性が出てきて門に向かって歩いてくる。


 髪は、青色で瞳の色も青色のようだ。その女性からはどことなくとてつもない迫力を感じる。その女性は、門の前に立つと俺に向かって話しかけてきた。

 

「いゃ〜ほんとにまさかだよね〜、こんな時代にあの呼び鈴が鳴るなんて」


  普通に、押せたのだが何かトリックでもあったのだろうか?


「君、魔法の才能があるよ!おまけに瞳の色が金色ときた」


 この人は何を言っているのだ、たしかに俺は瞳の色が金色でありよく人に気味悪がられる。まるで黒猫の目のようだと。


 そのため気づくとあだ名は黒猫になり、主に勉強面での成績が悪いと判明してからは馬鹿猫になっていた。


 黒猫と言われていたが、その名の通り髪の色は黒である。今思うと髪色を変えればよかったと思う。


「は、はぁそれはつまりどういうことですか?」


 なんだか、イマイチわからなかったので思わず聞き返す。


「金色の瞳は、全てのことに才能があると言われているんだよ」


 全てのことだと、俺は勉強に関しては大の苦手だが本当に全てのことに才能があるのだろうか。


「まぁ、もっとも自分が興味があることだけだけどね」


 どうりで、俺は勉強などできないわけだ、俺が興味があるのは勉強以外のことだけだからな。勉強はもうしばらくやりたくない。

 あの、数字とか難しい文字がたくさん並んでるの苦手なんだ。


「とりあえず、上がってよ。詳しい話は中でするよ」


 俺は、依頼を受けるためにここにきたはずだが…………聞いてみるか。


「あの、俺依頼板を見てここまで来たんですけど」


 もし依頼を受けることができずお金がもらえないとなると大変だ。


 女性は、少し首を傾げると納得したような顔になる。


「依頼板? あ〜あの依頼ね、あれ嘘だよ。魔法を使うことができない人からするとね」


 なに、嘘だとそれだとお金はどうなるのだろう。ちなみに俺が受けようとしたのは、照明を取り替えるのを手伝って欲しいという依頼である。


「でも、君お金欲しいから依頼受けたんでしょ? しかも魔法を使うこともできそうじゃない、それなら半分嘘ってことになるかな」


 半分嘘とは、どういうことだろう。


「つまり言うと、君の魔法の力で照明を直してもらいたいんだよ」


「もともとあの掲示板は、魔法使い用に設置された掲示板だったんだ」


 魔法使い用だと?確かにあの掲示板には絶対に達成できないだろってぐらいの難しそうな依頼がたくさんあるが。


「魔法が、世界から忘れ去られていく中で掲示板の役目も忘れられていったんだ」


 なるほど、確かに今の世界は魔法が忘れられつつある。中には、完全に魔法の力が失われた国もあるらしい。


「でも、君は依頼を見てここまで来てくれた。しかも魔法の適正がある、ここで君を帰らして魔法を習得させないってのももったいないしね」


 どうやら、俺はもう、嫌だと言ってこの場を離れることはできなさそうだ。


「つまり、魔法を覚えて光源を魔法の力で直すことができたらお金を渡すと?」


「そう、つまりそういうことだね!」


 なるほど、一種の賭けのようなものだな。俺は、賭けとかそういうのが大好きだ。


「よし、乗ったその依頼受けてやる!」


 絶対に魔法を習得してやる!


「俺は、ラナー・グレンテル。第一王立学園に通う学生だ 現在は旅に出る準備中だがな」


「ふむふむ、なるほど今年の旅人君は君なのか。 まぁいいか、それは置いとくとして。私は、リンネ・アリハタという名だ魔法使いをやっている」


 名前は、リンネさんというらしい。俺が光源を直せるようになるまでお世話になります!


「それじゃあよろしくね。ラナー君!」


 果たして、魔法を習得するとはどのような感じなのだろう。だが、別にどんなことだっていいとにかく俺は魔法を習得し、お金を絶対に手に入れてみせる。それが今一番の目的だ。

ついに、魔法という言葉が本格的に登場してきました。

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